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睡眠不足が招く、うつ病の可能性

睡眠不足が招く、うつ病の可能性
睡眠不足が招く、うつ病の可能性
睡眠不足が招く、うつ病の可能性

「周囲の光や音、ストレスが質のよい睡眠を妨げている」「睡眠不足はうつ病になりやすい」など私たちの周りには、睡眠に関する情報が飛び交っています。ではなぜ私たちには睡眠が大切で、ぐっすり眠れないとさまざまな弊害が出るのでしょうか。今回は、心とカラダの健康のために、なぜ睡眠が大切なのかをご説明しつつ、うつ病と睡眠の関係について詳しくお話しします。

睡眠不足の原因

睡眠には心身の疲労を回復させる役割があります。しかし、毎日眠いと思っていても「ぐっすり眠っている」という人は意外に少ないのが現代日本の現状です。
2017年に行われた厚生労働省による国民健康・栄養調査によると、日本人の成人男性・女性の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も多いという結果になりました。40代の働き盛りにいたっては、平均睡眠時間が6時間未満の割合です。平均睡眠時間は過去30年間にわたって減少し続け、特に女性は睡眠不足の傾向が強く見られます。
睡眠不足になる原因はさまざまですが、スマホ、ネット、ゲームの普及で子どもから大人まで夜型生活をしている人が増えたことは、大きく影響しているといえるでしょう。また、遅くまで営業しているお店の明かりが増えたことなども、現代的な要因として問題視されています。

睡眠不足が蓄積する“睡眠負債”に

みなさんは「睡眠負債」という言葉をご存じでしょうか。
2017年のユーキャン新語・流行語大賞トップ10にも選ばれた言葉で、意味は「睡眠不足が借金のように積み重なり、あらゆる不調を引き起こす状態のこと」です。日本は睡眠負債大国とも呼ばれており、睡眠不足を感じている人がたくさんいます。
あなたが今、毎日寝ても疲れが取れない、とにかくいつも眠い、という状態であるなら睡眠負債に突入してしまっているかもしれません。
眠りは生理的な欲求であり、意識しなくてもカラダが勝手に「寝て、起きて」を繰り返します。しかし、理想的な睡眠時間は約8時間(年齢によって前後する)だといわれており、人は人生の3分の1を眠りに費やしています。私たちはもう少しだけ意識を向ける必要がありそうです。

睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる

日本は睡眠不足の人が非常に多い国です。先進国だから仕方がないという見方もありますが、経済協力開発機構(OECD)が15~64歳までを対象に実施した調査によると、加盟国全体の平均睡眠時間は8時間25分。アメリカやイギリスなどの先進諸国はその平均をも上回り、日本は他国の平均から極端に少ない7時間22分だということがわかりました。
日本人には、普段の睡眠不足を休日の寝だめで帳尻を合わせて、「まだ大丈夫」と思っている人がとても多いのです。最近の研究では、普段の睡眠不足と休日の寝だめを繰り返すライフスタイルが、生活習慣病やうつ病、認知症などのリスクを高めていることもわかってきました。
また、睡眠不足は頭が回らなかったり、咄嗟の反応ができなくなったりと、カラダの機能を低下させ、日中の仕事のパフォーマンスにも悪影響です。場合によっては、運転中などに「居眠りで記憶が飛んだ」その一瞬が命に関わる危険性もあります。睡眠不足による不調で悩まされている場合や日常生活に支障がでている場合は、たかが寝不足とは考えず、早めに専門の医療機関へ受診しましょう。

ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!

睡眠不足が及ぼす心身への影響

睡眠障害(不眠・過眠)

不眠症

不眠症とは、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める、ほとんど眠れないなどの睡眠に関する不調が1ヵ月以上続く症状のことです。よく眠れないためにカラダがつねに重だるく、食欲不振や体調を崩しやすくなる、集中力が続かないなどの不調が見られます。

過眠症

過眠症とは、夜はしっかり眠っているはずなのに昼間の眠気が強く、目覚めていられない状態をいいます。過眠症になると、人と話している最中など、通常では考えられない状況下で居眠りをしてしまうことがあります。10~20代で発症しやすい症状だといわれています。

発症原因はさまざまですが、仕事や人間関係などのストレス、心身の病気、体内リズムの乱れ、刺激物の摂取、加齢、環境など、複数の要因が重なって引き起こされると考えられています。一般的には、生活リズムの見直しなどによって改善されていくと考えられていますが、なかなか改善されない場合はうつ病などの精神疾患の可能性もあるので、精神科や心療内科への受診をおすすめします。

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生活習慣病

日本には、厚生労働省が重点的に対策すべきとして指定している5大疾病があります。
2006年より、「4大疾病」が指定され、2013年には新たにうつ病を含む「精神疾患」が加わり、「5大疾病」に変わりました。

生活習慣病

これらの病気は、国民に広く関わる疾患として判断され、重点的な対策が必要とされています。
近年、うつ病などの精神疾患にかかる人が多く、生活習慣病とうつ病などの精神疾患にも密接な関わりがあるのです。まず、病気を発症すると誰もが少なからずショックを受けるでしょう。続いて、生活習慣病は長期にわたる治療が必要となり、症状によってはストイックな生活習慣の改善、仕事中も薬を切らせないストレス、定期的な検査の必要性、病気によって周囲に迷惑をかける申し訳なさ、合併症への不安など、あげればキリがないほど精神面への負担がのしかかります。
ストレス過多によって不眠症になれば、さらにカラダが疲れやすくなり、気分が落ち込み、何に対してもやる気がなくなっていくといった、うつ病はこうして発症していくのです。
国が重点的に対策すべきというほど、誰もがうつ病になる可能性があります。うつ病は専門治療を必要としますので、精神科や心療内科に早めに受診するようにしましょう。

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睡眠不足は、
なぜうつ病を引き起こすのか?

睡眠不足は万病のもとともいわれています。
長い間、睡眠不足が続くと、不安や抑うつが強まり、うつ病にかかりやすくなることが最近の研究でわかってきました。また、うつ病の初期症状として不眠が出現しやすいことから、うつ病の発症や再発を早期発見する指針としても睡眠障害は注目されています。
もともとうつ病患者さんは何らかの睡眠障害があるといわれており、実に全体の9割が眠りに関する悩みを抱えています。眠ったはずなのに疲れが取れず、日中もずっと倦怠感に包まれている場合は、うつ病の可能性も疑いましょう。
今現在健康な人であっても、ストレスなどによって長い間睡眠不足が続くと、日中に我慢できないほどの眠気におそわれる可能性があります。睡眠不足が続き、ストレスがたまっていたり、うつっぽいと感じたりする場合は、まずはセルフチェックしてみることをおすすめします。セルフチェックの結果次第では、早めに専門の医療機関を受診し、日常生活に支障が出る前に手を打ちましょう。

睡眠不足の対策

厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~」の第8条に、「勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を」という項目があります。一般的にぐっすり眠ることが健康にいいことは周知の事実ですが、あえて指針に一項目を設けるほど、いい仕事をするために良い睡眠は欠かせないということがよくわかります。

日中の眠気が睡眠不足のサイン

日中の眠気が睡眠不足のサイン
睡眠不足が招く、うつ病の可能性

日中に激しい眠気におそわれる。それこそが寝不足のサインです。
睡眠不足による休養不足は、人間の心とカラダに悪影響をもたらし、しばしば大惨事を引き起こします。世界では睡眠不足によるタンカー事故や墜落事故などの産業事故が報道され、痛ましいニュースに耳を疑いました。日本でも過酷な労働による長距離ドライバーの居眠り運転や、睡眠時無呼吸症候群を患っている運転手の事故が相次いでいます。睡眠不足は、注意力の低下や抑うつなどに陥りやすく、結果的に人為的ミスにつながってしまうのです。
睡眠は心とカラダを休めるために必要なだけでなく、記憶・気分調節・免疫機能のアップなどのためにも大切です。しっかり眠ることは、健やかな毎日を送るための源といえるでしょう。

午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善
午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

寝不足により午後の仕事が眠くてはかどらない場合は、昼食後~14時前後までに30分以内の短い昼寝をすることが、作業能率のアップに効果的です。仮眠はワーキングメモリー(作業記憶)を34%改善するといわれています。15時以降はまた夜に眠れなくなる可能性があるため避けましょう。

午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

横にならず、デスクに伏せて寝るだけでも効果はあるといわれています。眠る際はイヤホンなどで防音対策をし、短い時間でも深い眠りに落ちる工夫をしてください。カフェインはすぐに効果が出るわけではないため、眠る前にコーヒーやお茶などを飲んでも問題ありませんが、眠る直前にスマホやPCを見るとブルーライトが脳を覚醒させてしまって眠りが浅くなるため、注意が必要です。

午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

今、世界のビジネスでは仮眠によるパフォーマンスアップが注目されています。日本ではまだまだ主流とはいえませんが、一人ひとりの意識が変わることで、世の中の見方も変わってくるはず。「居眠りを繰り返すのではなく、いさぎよく仮眠を取ってメリハリのある仕事をする」それこそが、経済成長を続ける国の正しい姿といえるのかもしれません。

うつ病は専門の
医療機関にご相談を

うつ病には、専門の治療が必要です。
品川メンタルクリニックでは、うつ症状の度合い(軽度~重度)を検査・診断したり、うつ病治療をはじめ、うつ病を予防するために受けられる治療もご用意しています。薬を使わない検査と治療法のため、他のクリニックでうつ病と診断され、薬の副作用に悩んでいる人にも安心して受けていただけるでしょう。
今の治療が自分に合っていないのではないかと悩みながら治療を続けるのではなく、ご自分に合った負担の少ない治療法を一緒に考えていきましょう。

心身に負担の少ない治療法
「磁気刺激治療(TMS)」とは

うつ病の人は「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」という脳の部位の血流が悪くなっている傾向があり、磁気刺激治療(TMS)はその悪い部分を磁気で刺激し、脳を正常に働かせていく治療です。
うつ病治療の主流である薬物療法は、副作用が生じる可能性があるだけでなく、薬の効果で「元気になった」と勘違いして治療をやめてしまう人も少なくありません。うつ病の根本的な改善には、医師の判断による継続的な治療が必要です。
磁気刺激治療(TMS)は、継続治療という点においても続けやすいのがメリットといえます。入院の必要がなく、副作用もほとんどなく、治療も約1ヶ月半~6ヶ月という短い治療期間で回復が見込めます。一定期間治療の継続は必要ですが、他のうつ病治療と比べれば、比較的短期間でうつ病からの回復が期待できます。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

うつ病かどうかが分かる
「光トポグラフィー検査」とは

品川メンタルクリニックでは、心身に負担のない厚生労働省認可の光トポグラフィー検査を導入しています。
うつ病は脳の病気と考えられており、うつ病の方の多くが脳の血流が悪い傾向にあることがわかっています。そこで専用の機器を用いて脳の血流量を数値でグラフ化することで、より的確なうつ病の診断を目指すのがこの検査です。
光トポグラフィー検査では、人体に安全な近赤外光で頭部の血流を測定し、健常、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症の4つのパターンをそれぞれグラフデータで判別していきます。
検査全体の所要時間は約15分と短く、検査結果も当日にお渡しが可能です。検査結果と医師との問診と合わせて状態を分析していきますので、精度の高い診断が行えます。

状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!

【参考サイト】

初村 英逸

【監修】初村 英逸医師

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニックの梅田院院長。我々の精神科医療の仕事は、殊に患者さんを「ラク」にすること、それは可能な限り、安心を提供することだと思っています。
精神保健指定医

■関連リンク

初村 英逸医師が在院する品川メンタルクリニック梅田院のページはこちら

品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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