精神科・心療内科の受診を迷われている方へ 目安となる症状とは?

「これくらいの症状で受診してもいいの?」
「受診すべきかどうかわからない」
「これくらい我慢すればよい」
「他人に知られたくない」
「どうせ治らない」
「自分は病気ではない」

メンタルに不調を感じたときに、精神科や心療内科を受診しようとすぐに行動できる人ばかりではありません。メンタル不調が判断力を弱らせることもよくあることですし、初めてのことに尻込みしてしまうことも珍しいことではありません。
しかし、《うつ病》などの精神疾患も、身体の疾患と同じように早期発見・早期治療が重要です。対処せずに放っておくことは、回復どころか重症化や慢性化のリスクを増加させることにつながります。

この記事では、どういうときに精神科や心療内科を受診したほうがよいか、症状の基準や、その理由を解説します。

精神科・心療内科を受診する目安

あなたが気分の落ち込みを感じ、日常生活に支障がでているなら、それが精神科・心療内科受診の目安です。
自分自身の感情や体調の変化に気付いたり、不安やストレスを強く感じたりする場合は、一人で抱え込まずに、精神科・心療内科に相談してみてください。
まずはあなたが自分自身の心の声に耳を傾け、必要なサポートを受けることが大切です。

受診の目安となる症状

受診を考える目安となる症状には、以下のようなものがあります。

  • なかなか眠れない、途中で目が覚めてしまう
  • 気分が落ち込む
  • 趣味が楽しめなくなった
  • 好きなことでもやる気がおきない
  • 何をするのもおっくうに感じる
  • 涙もろい、涙が止まらない
  • 不安が大きくて苦しい
  • 食欲がない、食事がおいしくない
  • 悪い考えが止まらない
  • 勉強・仕事や会話などに集中できない
  • 死ぬことを考えたり、死にたいと思ったりしてしまう

特に不眠はうつ病との併存が8割以上と非常に多いため、実生活に影響するほど睡眠の質が悪化している場合は、なるべく早めに受診するようにしてください。

セルフチェックも一助になります

それでもやはり決心がつかない場合は、まずはうつ病のセルフチェックを活用し、ご自身の状態を客観視するとよいでしょう。

また、どうしても医療機関の受診に抵抗がある場合は厚生労働省の相談窓口もありますので、まずはそちらで相談してもよいでしょう。

精神科・心療内科に足が向かない人は多い

メンタルに不調を感じていても、なかなか精神科や心療内科に足が向かないという人は大勢います。
もちろん、悲しい出来事に落ち込むことは誰もが経験することで、一時的な不調であるなら、それほど心配する必要はありません。
しかし、その不調が何週間も続き実生活に支障が出ている状態はすでに健康とはいえず、放っておけばさらに重い症状に苦しむことになる可能性があります。

悩むくらいなら受診した方が良い

不調を感じたときに病院に足が向かない理由には、「自分が感じている症状くらいで受診したほうがいい?」「受診してよいのかわからない」「この程度で精神科・心療内科に行ってはいけないのでは」「これくらい我慢すればよい」などのような気持ちがあるようです。

受診の目安としては、基本的には日常生活に支障があるかどうかになりますが、受診するかどうかを悩むほどに「つらい」「苦しい」と感じているのなら、その悩みを解消するためにも精神科や心療内科を受診してください。
「この程度で病院に行ってもよいの?」
少なくない人が抱くもっともな疑問ですが、医師は日々そういった悩みに耳を傾け続けているので、「この程度」と遠慮する必要はありません。病気かどうかわからないという不安を含めて、治療が必要な状態かどうかを医師が判断します。受診の結果、治療が不要だとわかれば、それはそれ以上心配しなくてよいということですから、決して無駄足ではありません。

どんな病気でもそうですが、うつ病でも早期治療が大切ですので、悩み続けるよりは早めに受診しましょう。ご自身で「病気だ」と確信を持てるまでわざわざ待つメリットも必要もありません。
悩み続けるくらいなら、遠慮せずにご来院ください。

早期受診・早期治療が早期回復のカギ

いざ受診しようと決心したものの、その後どうすればよいのか不安な場合もあるでしょう。
今では多くの医療機関がインターネット上に問い合わせ先や受診方法などを掲載していますので、そちらで確認するとよいと思います。
なお、当院の場合は、「初めてご来院される方へ」に予約方法などをまとめてあります。

現代はストレス社会といわれるように、職場・学校・家庭と、どこにいてもストレスにさらされるリスクを常に抱えており、そのストレスに心身がむしばまれるということが少なくありません。
うつ病は早期発見・早期治療が非常に大切です。受診の遅れが重症化や慢性化につながりますので、不調を感じたら、ぜひ精神科・心療内科を受診してください。

まとめ

メンタルに不調を感じていても、精神科や心療内科の受診をためらう人は少なくありませんが、うつ病などの精神疾患も、他の病気と同様に早期発見・早期治療が早期の回復につながります。「この程度で受診して良いの?」と悩み続けるよりも受診しましょう。
受診の結果、もし治療が不要だとわかったとしても、それはそれ以上心配しなくてよいということですから、決して無駄足ではありません。

よくある質問

  1. 精神科や心療内科に行ってはいけない人はいますか?
  2. つらくても我慢すればいいですよね?
  3. 精神科や心療内科に行くきっかけは?
  4. 精神科や心療内科に行ったほうがよいサインは?
  5. 中学生や高校生も精神科や心療内科を受診しますか?
  6. 精神科と心療内科の違いは?
精神科や心療内科に行ってはいけない人はいますか?

いいえ。気になる症状がある場合は、内科などと同じように受診しましょう。なお、精神科や心療内科は予約制の場合も少なくないため、事前に確認した方がよいでしょう。

つらくても我慢すればいいですよね?

多くの場合、そのように悩む時点で、すでに我慢では対応できない状況になっている可能性があります。心身の異常を感じる場合は、医療機関を受診しましょう。

精神科や心療内科に行くきっかけは?

「うつ病のセルフチェック」などの結果を参考にしたり、心配した周囲の人から促されたりなどが来院のきっかけとなる方が多いようです。
当院もセルフチェックを用意していますので、必要に応じてご活用ください。

精神科や心療内科に行ったほうがよいサインは?

気分が落ち込み、日常生活に支障がでていたら、それが受診の目安です。自分自身の感情や体調の変化に気付いたり、不安やストレスが強く感じられたりするときは医療機関を受診するとよいでしょう。うつ病は早期発見・早期治療が大切です。

精神科と心療内科の違いは?

精神科は《うつ病》《双極性障害(躁うつ病)》《統合失調症》などの精神的な疾患が主な対象です。主に薬物療法や心理療法を行います。最近では当院のように《TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)》を行っている医療機関もあります。
心療内科は心理的な要因から身体に症状が現れる《心身症》が主な対象です。主に、薬物療法や心理療法、専門的なカウンセリングなどを行います。

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

関連する記事

  • 更新

精神医学と心理学トップへ