うつ病の人にやってはいけないことは?接し方や声のかけ方

つ病の方へ贈りたい言葉・かけてはいけない言葉とは
つ病の方へ贈りたい言葉・かけてはいけない言葉とは

うつ病は誰にも相談できず、一人で苦しんでいる方も多いと言われます。
うつ病の方は誰かに安心できる言葉をかけてもらったり、SNSや本などで安心できる言葉(メッセージ)を受け取ったりすることで、実は救われるケースが多くあります。
このコラムでは、うつ病の方へ贈りたい言葉やかけてはいけない言葉を取り上げてみたいと思います。

うつ病の人にやってはいけないこと

うつ病の人に対しては、以下のような行動は避けましょう。

  • 偏見を持たない
  • 「頑張れ」という言葉をかけない
  • 個人の経験を一般化しない
  • 無理に社会的活動への参加を促さない
  • 医療的アドバイスを無許可で与えない
  • 感情を否定しない

それぞれの項目について、解説します。

偏見を持たない

うつ病は単なる「気分の問題」ではなく、深刻な健康問題です。うつ病の人に対して適切な配慮をし、リラックスできる状態を作ってあげましょう。ただし、過度な特別扱いをすると重荷に感じ罪悪感を感じてしまうこともあるため、気をつけましょう。無理解や偏見は、その人の苦しみを増やす可能性があります。

「頑張れ」という言葉をかけない

うつ病の人に励ましの言葉をかけることは厳禁です。「頑張れ」や「気にしないで」といった言葉は、うつ病の人にとってはプレッシャーになります。心が病んでいる状態だと本来の力を発揮することができないため、周りの期待に応えられなかったというショックでさらに落ち込んでしまいます。

個人の経験を一般化しない

うつ病の人を励まそうという気持ちから「私もそうだったけど大丈夫だった」というような言葉は避けるべきです。うつ病は個人ごとに症状が異なるため、自分と同じと一方的に思い込んで一般化することは適切ではありません。まずうつ病の人の話を聞いて、心から寄り添ってあげることが大切です。

無理に社会的活動への参加を促さない

今まで当たり前にできていたこともできなくなっている状態ですので、うつ病の人にとって、社交的な活動は非常に難しい場合があります。うつ病の回復状況をみながら、うつ病の人のペースを尊重し、無理に参加を促さないようにしましょう。社会復帰は、医療機関や支援機関と相談しながら徐々に進めると良いでしょう。

医療的アドバイスを無許可で与えない

医師や公認心理師・臨床心理士の有資格者ではない人が、うつ病の人へ専門的なアドバイスすることはやめましょう。専門的な知識がない限り、薬や治療法についてのアドバイスを避けるべきです。まずはうつ病の人のお話に耳を傾け、心から寄り添ってあげましょう。

感情を否定しない

うつ病の人は、「自分はダメな人間だ」と責め続けてしまったり、嫌なことをグルグルと考えてしまったりして、マイナス思考の状態です。
そのような時にその感情を否定されてしまうと、うつ病の症状が悪化する恐れがあります。
「悲しむ理由がない」といった言葉は避け、その人の感情を受け入れて支援することが重要です。

うつ病の方への接し方

うつ病になると、気分が落ち込んだり、不安になったり、憂うつになることによって眠れなくなったり、仕事や学校に行けなくなったりすることがあります。 本人にとっては何をする気にもならないほどにつらい状態で、それまで出来ていたことでもできなくなってしまいます。それまで元気に行動していた様子から、「怠けているのだろう」「逃げているのではないか」と責めてしまうことは全体に避けましょう。この段落では、うつ病の方へどのように接すれば良いかをご紹介します。

相手の話を真摯にきく

うつ病で悩んでいる人が望んでいることは、まずは自分の気持ちをしっかり受け止めてもらうことです。話の途中で遮られたり、一方的な価値観でアドバイスをされると「やっぱり誰も自分の気持ちを理解してくれない」とつらくなってしまいます。まずは相手の気持ちを尊重しながら、話に耳を傾けましょう。

安心させてあげられる言葉をかける

うつ病で苦しむ方の中には、甘えや怠けだと言われるのが嫌で無理をしていたり、強い不安から治らないのではないかと深く悩んでいたりすることが少なくありません。 ゆっくりと休息を取りながら、適切な治療に取り組むことが大事です。 身近な人は、うつ病を理解し、焦らずゆっくりと治療に取り組むことができるような、安心できる言葉をかけてあげることが大切です。

うつ病の方へかける言葉、贈る言葉

うつ病の方へかける言葉、贈る言葉
うつ病の方へかける言葉、贈る言葉

うつ病は「心の病」と言われますが、気の持ちようや気合いを入れて良くなるようなものではなく、脳の働きが低下することによって生じる「脳の病気」です。 脳の働きを活発化させる治療に適切に取り組まないと、どんどん悪化してしまうことになるのです。 うつ病で苦しんでいる人は「いつまで続くのだろう」「もう治らないのでは」という苦痛や恐怖の中で生活しています。 そのため、うつ病の方本人と関わる家族や友人、職場の同僚、学校の先生など、身近な人による理解と協力が必要な病気であると言えるのです。 その時にうつ病の方へどんな言葉をかけてあげたらよいのかをご紹介します。

「急がなくてもいいんだよ。ゆっくり一緒に治していこう。
頑張らなくてもいいんだよ。」

うつ病を発症してしまう方の性格は、几帳面で真面目な性格である傾向が強く、常に周りの状況を考えて気を張り緊張応対を強いられることで、症状を悪化させてしまうことが多いのです。
そのためこのように本人の性格を尊重し、寄り添うような言葉をかけることはとても有効です。

「悩んでいることがあれば相談にのるよ」

うつ病の症状によって、意欲がなくなることで、今まで通りの生活が難しくなってくると、疎外感を感じてしまい、一人ぼっちのような気になってしまいます。
そんな時に、「友達だから」「味方だから」といった言葉をかけることは、本人にとってとても安心できる言葉になるのではないでしょうか。

「そのままのあなたでいい」

うつ病を発症させてしまった方の中には、うつ病になってしまった自分自身を責めてしまうという方も少なくありません。
本人を認めてあげる言葉をかけることで、自己肯定感を高めることができますので、安心して治療に取り組むことができるでしょう。

「よく頑張ったね」

うつ病の発症によって、自信をなくしてしまうことがあります。
「頑張ったね」という言葉は、本人を褒めて認めていることになりますので、「自分は一人ではない」と安心することができます。

「返信はしなくていいからね」「気が向いた時でいいよ」

うつ病を発症してしまうと、仲の良い友人から連絡がきても、思うように返信ができないことがあります。
そのため連絡が億劫になってしまったり、返信がプレッシャーになってしまったりすることもあります。
そのような気持ちを察して、このように言葉をかけることで、自分のことを理解してもらえていると安心することができます。

「疲れが抜けない状態がずっと続いているのが心配」

身近な家族や友人がいつも体調を気にかけているということをさらっと伝えることで、自分のことを心配してくれている人がいると認識します。家族や友人に心配をかけたくないと思ううつ病の方もいるので、あえてうつ病という言葉を出さないことがポイントです。見守ってくれている人が近くに存在していることが安心感につながります。

うつ病の方へかけてはいけない言葉

うつ病の方へかけてはいけない言葉
うつ病の方へかけてはいけない言葉

うつ病になると、気分が落ち込んでしまい、とても憂鬱な状態が続いてしまいます。
そのような状況で、励ますような言葉をかけてしまうとプレッシャーになってしまい逆効果になることがあります。
一般的には「頑張って」「いつになったら治るの」といった言葉は、本人を焦らせてしまうことになりますから不適切です。
その他に不適切だと考えられるものに、このような言葉があります。

「早く元気になって会社に来て下さい」

うつ病は風邪のようにゆっくり過ごせば2~3日で治るようなものではないことは、本人が十分理解していることです。
そのため「早く元気になって」といった言葉は、プレッシャーを与えてしまうことにも繋がることがあります。

「無理しないで」

現状でかなり無理をしている状態であり、社会で生きていくうえで無理をしなければならない場面はたくさんあります。
そのような状況で「無理しなくていい」と声をかけられてしまうと、疎外感を感じてしまうことがあるのです。

「世の中にはあなたよりもっと困っている人がいるのよ」

うつ病の方の中には、かなり無理をして生活をしていることが多くあり、周り人が受ける印象以上につらく苦しんでいることが少なくありません。
そのような状況において意を決して症状を打ち明けても、「そんなのまだまし」と言われてしまえば、自分を否定されたような気分になってしまいます。

「本当に鬱なの?」

意を決してうつ病であることを公にした時にこのような言葉をかけられると、自分の事を全く理解してくれていないと落ち込むことになってしまいます。

「気にしすぎ」「自分を信じればいいよ」

うつ病の苦しみやつらさが分からないから、そのように気楽に言われているのだと感じてしまう言葉です。
またそのような言葉によって、今以上に無理をしてしまうこともあり、場合によってはうつ病の症状を悪化させてしまうこともあります。

うつ病の方が安心して
リラックスできる環境づくりを

うつ病を改善させるために一番大事なことは休養です。
しかし、休養が必要な時期に無理をすることによってさらに悪化させてしまうということが少なくありません。
そのため周りで関わる家族や友人、知人などがその状況に気付いて、休養を取ってしっかりと治療に励むことができるような環境づくりをサポートすることが必要になります。
そして、できる限りリラックスできるような環境が大切です。

周りの人は安心して休養が取れる環境づくりに協力する

本人が休養の必要性を自覚していても、周りから「怠けているのではないか」「たるんでいる」などと言われてしまうことによって、うまく休養できなくなってしまうことがあります。
あるいは、職場の忙しさを理解している場合であれば、いま自分が休んでしまうと職場が困ってしまうと考えてしまうこともあるでしょう。
そのような状況も考えられることから、うつ病を理解し、本人の症状に気付いたのであれば、安心して休養が取れるような環境づくりに周りの人が協力することが重要になります。

早期治療・早期改善に努め、再発を防ぐ

うつ病はその症状に気付き、早期に治療を開始することによって、早く改善させることができます。
逆に言えば、早期治療に取り組まずに無理をしてしまうと、悪化してしまうとともに治りにくくなってしまいます。
そのため家族や身近な人であれば、まずはうつ病の方の気持ちに寄り添い、安心して治療に取り組むことができるように協力し、本人のつらさを理解することが、早期改善に繋がることなのです。
まずは、一緒に心療内科や精神科のクリニックに相談に行ってみましょうと軽く誘ってみましょう。無理にクリニックへの受診を勧めることはしないように注意しましょう。

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ぜひご相談ください!

よくある質問

うつ病の人に言ってはいけない言葉は?
「早く元気になって」「頑張れ」「無理しないで」は、プレッシャーや疎外感を感じさせてしまいます。
また、「世の中にはあなたよりもっと困っている人がいるのよ」「本当に鬱なの?」「気にしすぎ」「自分を信じればいいよ」は、現状かなりつらい状態で悩んでいるにもかかわらず、否定されたような気持ちになり、誰も理解してくれないとさらに落ち込んでしまいます。
うつ病の人になんて声をかければいい?
「よく頑張ったね」「そのままのあなたでいい」「急がなくてもいいんだよ」は、うつ病の人を認めてあげることで、自己肯定感が高まることにつながります。
「悩んでいることがあれば相談にのるよ」「疲れが抜けない状態がずっと続いているのが心配」などは、見守ってくれる人が近くに存在していることを伝え、うつ病の人の安心感につながります。
うつ病の人に何をしてあげたらいい?
まずうつ病の人のつらさを理解し、気持ちに寄り添いながら、安心して休養が取れるような環境を作ってあげることが大切です。話をきちんと聞いて、受け止めてあげてください。
その上で一緒に心療内科や精神科のクリニックへ相談に行き、早期治療を開始できるとよいでしょう。
職場でうつ病の人がいたら、どうすればいい?
本人が休養の必要性を自覚していても、「自分がもう少し我慢しよう」「職場の人に迷惑をかけてしまう」などの理由からうまく休養できなくなってしまうことがあります。そのような状況も考えられることから、うつ病を理解し、本人がうつ病の症状に気付いたのであれば、安心して休養が取れるような環境づくりに職場の周りの人が協力することが重要になります。
初村 英逸

監修

初村 英逸(はつむら ひではや)

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック梅田院院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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