ドライアイはうつ病を招く?
ドライアイは、「目が乾く」「目がごろごろする」「目が疲れる」「視界がぼやける」といった目の症状に始まり、読書や運転、コンピュータの使用など、日常の活動にも大きな影響を与える目の疾患です。
生活の質が低下するため、睡眠の問題やメンタル不調を抱えやすく、目以外にも体調不良が現れることも少なくありません。これらの事情もあり、ドライアイ患者はうつ病にかかるリスクが高いといわれています。
この記事では、ドライアイの症状と、うつ病との関係性について解説します。
ドライアイとは
《ドライアイ》とは、十分に涙が分泌されていても、その涙が目の表面に安定してとどまらず、目の不快感や視機能に異常をきたす目の疾患で、長期にわたって生活の質を損ないます。目を保護する役割をもつ涙の状態が安定しないため、失明には至らずとも、角膜を傷つけることもあります。
ドライアイを悪化させる要因としては「エアコン」「コンタクトレンズ」「コンピュータ」の3つの「コン」が知られています。
湿度や温度が低い場合は涙が蒸発しすいため、冬場はドライアイが悪化しやすくなります。一般的に日本の夏は蒸し蒸しと湿度が高いですが、最近の空調が効いた屋内では夏であっても乾燥しやすく、冬場と同じように注意する必要があります。長時間のパソコン作業やスマートフォン利用など、まばたきの頻度が下がると涙が補充されずに目が乾燥しやすくなります。
今このページを読んでいるあなたも、きっとまばたきが減っています。さあ、まばたきしましょう。
ドライアイの症状
ドライアイの症状には、以下のようなものがあります。
- 目が乾く
- 目がごろごろする
- 目が痛い
- 目がかゆい
- 目が開けにくい
- 目が赤い
- 目ヤニが出る
- 目が疲れる
- 視界がぼやける
- 光がまぶしい
- 涙があふれる
「ドライ」なのに「涙があふれる」ということを不思議に思うかもしれません。
涙の成分はほとんど水であり、涙が安定するためには表面を脂質(油分)で覆うことで、水分の蒸発やまぶたの外にあふれてしまうことを防ぐ必要があります。まぶたの奥にある《マイボーム腺》がこの脂質を分泌しているのですが、このマイボーム腺が十分に脂質を供給できなくなると涙が簡単に蒸発するようになります。そうすると、目は大量の涙を供給することで不足を補おうとしますが、この水っぽい涙は簡単に流れ出てしまうのです。
ドライアイ治療の見通し
ドライアイは慢性疾患であり、治療は長期にわたる可能性があります。しかし、きちんと治療することで症状は管理可能です。
ドライアイ自体は目の疾患ですが、生活の質を長期にわたって損なうことから、目以外にも不調を抱える人が少なくありません。代表的なものとしては、不安や憂うつ感、睡眠障害、仕事のパフォーマンス低下、自殺リスクの増加などがあります。
よくあるうつ病の症状
うつ病では、以下のような症状がよくみられます。これらの症状が何週間も毎日続くような場合はうつ病の可能性があります。
- 抑うつ気分(悲しみやむなしさなど、気分の落ち込み)
- 興味・関心・喜びの喪失(趣味が楽しくない・テレビを見ても楽しくない・子供やペットがかわいくない)
- 睡眠の異変(寝付けない・途中で目が覚める・朝早く目が覚める・熟睡感がない・とめどなく寝てしまう)
- 食欲と体重の異変(食欲がなく痩せる・食べ過ぎて太る)
- イライラ感
- 無気力(何をするのも面倒でおっくうに感じる)
- 思考力・集中力・判断力の低下
- 自殺念慮
いつ医師に相談すべきか?
目の違和感、充血などの症状が何日も続いているような場合は、まず眼科を受診してください。特に、強い痛みを感じる、急に大きく視力が落ちるような場合はすぐに眼科を受診してください。
一方で、目の症状よりも、気分が落ち込む、趣味が楽しくない、眠れない、食欲がないなどの症状がつらい場合は、精神科・心療内科を受診するとよいでしょう。
すでに医療機関に通っているのなら、まずはその医療機関で気になる症状について相談してみてください。
まとめ
《ドライアイ》は、「目が乾く」「目がごろごろする」「目が疲れる」「視界がぼやける」などのさまざまな目の症状が現れる疾患です。目の不快感や視機能に異常をきたし、長期にわたって生活の質を損なうため、ドライアイ患者はメンタルなどに問題を抱えやすく、目以外にも心身の異常が現れることも少なくありません。
ドライアイが先か、うつ病が先かははっきりしませんが、ドライアイとうつ病はお互いに関連しています。ドライアイを診るのは眼科ですが、目の症状よりも気分が落ち込む、趣味が楽しくない、眠れない、食欲がないなどの症状がつらい場合は、精神科・心療内科を受診するとよいでしょう。
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うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。