レクサプロ
(エスシタロプラム)

レクサプロの主な特徴

効果     低 ★★★★☆ 高
副作用    少 ★★☆☆☆ 多

*上記の評価は、監修医師の主観を含む参考値です。

“セロトニンにより選択的に働く、
他のSSRIより抗不安作用が強いとされる。”

SSRIの1種であり、血中濃度半減期が長く、1日1回の服用で効果が期待できる。
しかし、胃腸障害が多く、心電図異常(QT延長症候群*)の注意喚起がなされている。

*無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態

レクサプロについて、薬の効果や副作用、服用時の注意点など、詳しく説明しています。

レクサプロ(英語:LEXAPRO)はどんな薬?

レクサプロの効果

レクサプロはどんな薬?

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類され、具体的な作用機序は、神経伝達物質を調整することで脳内のバランスを整え、辛い症状を改善していくと考えられています。主にセロトニンの働きを高める作用のある薬です。うつ病、うつ状態、様々な不安障害、強迫性障害、月経前不快気分障害(PMDD)、外傷後ストレス障害(PTSD)などに効果がある薬です。

セロトニンの取り込み阻害作用の選択制が最も高く、ノルアドレナリンやドパミンの取り込み阻害作用が相対的に弱いものと考えられています。

この薬は、セロトニンを増加させる作用に絞った薬です。セロトニンを高める作用のある薬で、うつ病以外の精神症状にも効果が期待できます。レクサプロは即効性を期待する薬ではないため、効果実感は、概ね約2~4週間ほどかかります。

レクサプロの半減期

レクサプロの半減期は24.6~27.7時間、最高血中濃度到達時間は4時間です。抗うつ薬は半減期が短いと効果が切れやすくなるため、飲み忘れたときなどに中断症候群という、ふらつきや不眠などの症状が出てしまうこともあります。レクサプロは他のSSRIに比べて半減期が長いので、1日1回の服用が可能です。
また、飲み続けていくことで安定します。半減期からおよそ4~5倍の時間で安定するといわれていますので、安定には5日~1週間ほどかかります。

うつ病、抑うつ状態の方は、気分の落ち込み、やる気が出ない、集中力の低下、不安感が出やすい等の症状が出るので、使われることが多く、副作用もマイルドで離脱症状が出にくいことから、比較的使いやすい抗うつ薬になります。
気分安定に効果が期待でき、気持ちが前向きになるのを助けます。女性特有の月経前気分不快障害(PMDD)や、生理前に出る症状の月経前緊張症(PMS)にも効果があり、女性との相性もよい抗うつ薬といわれています。

レクサプロの副作用は効果が出る前にあらわれることがあり、危険な副作用としては、25歳未満での服用は注意すべきであり、自殺衝動を誘発する可能性もあります。他にはてんかん発作や躁状態の誘発が危険な副作用として上げられます。

レクサプロの服用

レクサプロの効き方としては、1日に1回の服用を継続することで、少しずつ効果が期待できる薬です。
1日1回の服用はいつでも良いのですが、基本的には夕食後に服薬します。寝る前に服薬する変更もあります。10mgから開始することが多く、効果判定は服薬から2週間程度です。効果が不十分な場合は、10mgずつ増量していきます。

飲み忘れた場合は、気がついたときにできるだけ早く1回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は、忘れた分は飲まないで、次回の飲む時間に1回分飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけませんので、ご注意ください。

  • <メリット>

    ・効果と副作用のバランスが良い
    ・離脱症状が比較的少ない
    ・セロトニンを集中的に増やす

  • <デメリット>

    ・傾眠
    ・嘔吐や下痢といった胃腸障害が多い
    ・男性では性機能障害が起きやすい
    ・心電図異常(QT延長症候群)の注意喚起がなされている

レクサプロの基本情報

レクサプロについて詳しい情報は、下記をクリックの上ご覧ください。
なお、レクサプロ以外のSSRIの薬として、他にもパキシルジェイゾロフトデプロメールルボックスがあります。

レクサプロの基本情報

  • 【薬効分類】

    SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
    脳内の神経伝達物質を改善し、憂うつな気分を和らげ、意欲などを改善する薬

  • 【有効成分(一般名)】

    エスシタロプラムシュウ酸塩

  • 【錠剤の形状】

    レクサプロにはジェネリック(後発品)は販売されておらず、先発品のみとなります*。

    *薬には研究開発投資が大きく、発売から数年~数十年は、成分特許が製薬会社に認められるため、ジェネリックはその特許が切れたあとに発売になります。

    ・規格単位10mg錠(だ円形の割線のあるフィルムコーティング錠)

  • 【効能・効果】

    ・うつ状態
    ・うつ病
    ・大うつ病性障害
    ・社交不安障害(SAD)
    ・パニック障害
    ・強迫性障害
    ・全般性不安障害
    ・月経前気分不快症

  • 【主な用法・用量】

    レクサプロ錠(製剤名:エスシタロプラムシュウ酸塩・フィルムコーティング錠)エスタロプラムとして1錠(10mg)を1日1回夕食後に経口投与します。
    なお、レクサプロが初めての場合や年齢・症状により適宜増減しますが、用法の半錠5mgから始めていくこともあり、効果が不十分な場合は5mg~10mgずつ増量します。増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最大は20mgを超えないこととします。

  • 【禁忌・原則禁忌】

    病気や症状に応じた注意事項

    • ・QT延長
    • ・先天性QT延長症候群

      ※現在、心臓の病気(不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全)の治療を受けていたり、今まで心電図検査で何らかの指摘を受けたことがある方は、医師にお伝えください。

    • ・過敏症
    • ・ピモジド投与中
    • ・モノアミン酸化酵素〈MAO〉阻害剤投与中あるいは投与中止後14日間以内
  • 【飲み合わせ(併用禁忌)】

    • ・併用薬の血中濃度が上昇する恐れがある飲み合わせ
      三環系抗うつ薬(トリプタノール・アモキサン・アナフラニール)、β遮断薬(セロケン等)、抗不整脈(タンボコール・プロノン等)などが挙げられます。併用する場合は、必ず医師に申告し、指示に従いましょう。
    • ・出血傾向をもたらす薬
      ランソプラゾール(タケプロン)、オメプラゾール(オメプラール)、ワルファリン(ワーファリン)、鎮痛薬(NSAIDs)、三環系抗うつ薬(トリプタノール・アモキサン・アナフラニール)、アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤などが挙げられます。
    • ・セロトニン症候群を引き起こすおそれのある薬
      パーキンソン病などに用いるセレギリン(エフピー)との併用は禁止です。両方の作用がだぶり、セロトニン症候群を引き起こす可能性が高いためです。また、安定剤のピモジド(オーラップ)を一緒に飲んでしまうと、危険な不整脈を誘発する場合もあるので併用は禁止です。

    その他に、たくさんの相互作用に注意する薬があります。最近まで飲んでいた薬や、現在飲んでいる薬は必ず医師に申告し、指示に従いましょう。また、薬の副作用の発現、既往歴、アレルギーの有無について伝えておくと安心でしょう。

  • 【主な副作用】

    痙攣・セロトニン症候群※1・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)※2・QT延長・心室頻拍(torsades depointes含む)・倦怠感・異常感・発疹・湿疹・悪寒・頭痛・傾眠・浮動性めまい・あくび・睡眠障害(不眠)・異常夢(悪夢含む)・アカシジア・悪心・口渇(口の渇き)・味覚障害・腹部不快感・下痢・動悸・精神運動不穏・RBC・Ht・Hb減少・肝障害(肝機能異常)※3・排尿困難(尿が出にくい)・頻尿・耳鳴り・多汗症・回転性めまい・血小板増加、血小板減少など

    ※1 不安・焦燥・興奮・錯乱・幻覚・反射亢進・ミオクロヌス※4・発汗・戦慄・頻脈・振戦・血圧上昇等があらわれる。
    ※2 痙攣・意識の低下・頭痛(頻度不明、海外での頻度:0.01%未満)
    ※3 肝臓の重い症状:だるい・食欲不振・吐き気・発熱・発疹・かゆみ・皮膚や白目が黄色くなる・尿が茶褐色。
    ※4 突然生じる筋肉のピクッとした収縮

  • 【薬価】※2018年4月時点

    レクサプロ錠
    (製剤名:エスシタロプラムシュウ酸塩・
    フィルムコーティング錠)
    10mg 202.3円/錠
  • 【注意事項】

    • ・眠気やめまい等があらわれることがあるので、レクサプロ投与中は自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には、十分注意しましょう。
    • ・自己判断による断薬は極めて危険といえます。中断・断薬症状には個人差があります。中断・断薬症状は一般的に、中断2日目前後に始まり、1週間程度続き、身体症状・精神症状・特徴的な症状と多彩です。これらの症状は薬物依存による離脱症状ともいえます。抗うつ薬はからだに慣らしながら使う薬ですから、急激な濃度変化が離脱症状を引き起こす可能性が高いので、必ず医師の指示に従いましょう。
    • ・希死念慮、自殺企図のおそれがあるのでこのような状態の場合、投与開始早期ならびに投与量を変更する際は、状態及び病態の変化に深く注意する必要があります。
    • ・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。(妊娠中の投与に関する安全性は確率していません)
    • ・生殖発生毒性試験(ラット)において、臨床曝露量を超える高い曝露により胎児毒性(体重減少、骨化遅延)及び出生児の死亡率の増加が認められました。なお、動物実験(ラット)において、催奇形作用は認められていません。
    • ・妊娠末期に本剤あるいは他のSSRI、SNRIを投与された妊婦から出生した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とします。離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告があります。臨床所見としては、呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、発作、体温調節障害、哺乳障害、嘔吐、低血糖症、筋緊張低下、筋緊張亢進、反射亢進、振戦、ぴくつき、易刺激性、持続性の泣きが報告されています。
    • ・本剤を12歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討します。
    • ・低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する有効性及び安全性は確立していません(国内での使用経験がありません)。
    • ・高齢者での薬物動態試験で、血中濃度が高い傾向が認められているので、用量に留意して、患者の状態を観察しながら、慎重に投与します。
    • ・QT延長症候群がみられていることから、心血管系障害を有す場合は投与を開始する前に心血管系の状態に注意を払うようにします。
    • ・25歳未満はアクチベーションシンドローム*のリスクを考慮し、投与を慎重に検討します。

      *イライラ・不安感・焦燥・パニック発作・攻撃性・衝動性・不眠・躁状態などが出てきて最悪の場合、自殺を遂行してしまうこと

    • ・以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある場合は、医師と薬剤師にお伝えしてください。
    • ・L-トリプトファン含有食品は併用により、セロトニン作用が増強します。
    • ・レクサプロのod(オーバードーズ=過剰摂取)は危険です。必ず用法用量を守りましょう。
    • ・本剤を過量投与した患者において、死亡例が海外で報告されています。主な症状として、中枢神経障害(めまい、振戦、不安、焦燥、興奮、セロトニン症候群、痙攣、昏睡)、胃腸障害(悪心・嘔吐等)、心血管障害(低血圧、頻脈、QT延長、不整脈)、電解質及び水分バランス異常(低カリウム血症、低ナトリウム血症)等が報告されています。
    • ・不安になる、イライラする、あせる、興奮しやすい、発作的にパニック状態になる、眠れない、ちょっとした刺激で気持ちや体調を崩す、敵意を持つ、攻撃的になる、衝動的に行動する、じっとしていることができない、異常に気分の高揚した状態が持続するなどの症状があらわれることがあります。これらの症状があらわれた場合は、医師に相談してください。

    ※各製薬会社(薬品メーカー)から医療用医薬品の添付文書が公開されていますので、詳細を知りたい方はこちらをご利用ください。また、薬が処方される際に薬について記載されている説明書を服用する前に必ず読むようにしましょう。

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レクサプロについてのQ&A

レクサプロが効かないのですが、薬が合わないのでしょうか?
レクサプロを服用し、その後「合わない」と判断できるポイントは服薬を始めてから2週間程度効果を実感しない場合です。
副作用の吐き気・めまい・頭痛等が続く場合は、「合わない」と判断され、別の薬が処方されます。自己判断で服薬をやめないよう、必ず主治医の指示通り服薬し、薬を変更しましょう。急に中止すると、不都合な症状(不安・焦燥・興奮・錯感覚など)がみられることがあります。
レクサプロを服用中、アルコールのお酒は飲めますか?
原則、アルコールと薬は併用しないことが大前提です。飲酒は他の抗うつ薬で作用の増強が報告されています。
不眠の副作用はありますか?
レクサプロは、眠気の副作用と不眠の副作用があります。
基本は夕食後の服用のため、日中は眠いのに、夜はなかなか寝付けないなど良い睡眠が取りにくくなる場合もあります。不眠で困る場合は、朝食後に変更すると改善することもあるようです。不眠の症状があらわれたら無理をせず、医師に相談をしてみましょう。
レクサプロを服用したら、痩せますか?それとも、太りますか?
飲み始めの数カ月は痩せる傾向に行くことが多く、その後は食欲増進や代謝が落ちる作用もあるので、太りやすい傾向にあることが報告されています。もともと太っていた場合は、やせる傾向にあることも報告されています。飲み始めの体重減少は、胃腸障害によって食欲が落ちる影響が大きいようで、長期に使って体重増加していくのは、精神症状が改善していくためとも考えられます。
レクサプロを服用するとEDになるってホントですか?
レクサプロは、男性の性欲低下・勃起不全・射精障害・オーガニズム低下がみられることが多いです。
特に性欲・欲望、性的興奮、絶頂といった反応が起こらなくなり、悩まれている方が多いです。ご状態によって、様子を見たり、減薬したり、飲み方を工夫したり、他の薬に変更・追加したりします。
レクサプロは離脱症状が起きますか?
他のSSRIと比べて比較的離脱症状が起きにくいとされていますが、離脱症状に苦しむ方もしばしばいらっしゃいます。
離脱症状といえる具体的な症状としては、シャンビリといい、耳鳴り・震え・めまい・吐き気・ソワソワ感・しびれ(電気が走るような感じ)が生じる場合があります。
急に飲むことをやめることや飲み忘れてしまったとき、急に減らしてしまったときに起こりやすいといわれます。抗うつ薬は基本、体に慣らしながら飲む薬なので、急激な濃度変化が離脱症状を引き起こします。離脱症状を引き起こす原因のほとんどが自己中断です。必ず医師に相談し、減薬などの対処法をとりましょう。

薬で改善しない方へ

レクサプロ服用者の声

ツイッターやブログではレクサプロを服用されている方が多くつぶやいています。効果があった方もない方もつぶやいていますので、やはり効果には個人差があるようです。

薬の服用が不安な方は
薬に頼らない選択肢があります!

薬に対する抵抗や薬の副作用に苦しむ方にこそ、効果が期待できる新たな治療法があります。それは磁気刺激治療(TMS)です。
磁気刺激治療(TMS)は、機能低下した脳に磁気刺激を与えることにより、脳の動きを回復させることで、ストレスやうつ病を改善する治療です。磁気刺激治療(TMS)の専門クリニックとして、品川メンタルクリニックがあります。

治療期間は、個人差もございますが、1ヶ月半~6ヶ月で副作用もほとんどなく、リラックスして受けられる治療です。うつ病で苦しんでいた方が短期間で改善する可能性が高い治療で、品川メンタルクリニックでは、約8割の人が軽症化している実績があります。「抗うつ薬が効かない」「薬の副作用がつらい」「薬の離脱症状が不安」といった人に最適な治療法です。また、磁気刺激治療(TMS)は、現在服用中の薬と併用して行うことで、減薬や断薬を可能にします。

うつ病の治療は、患者さん自身が信頼できるクリニックで行うことが大切です。
薬の服用を開始するにあたって不安な方はぜひ品川メンタルクリニックへご相談ください。
また薬の副作用で悩んでいる方、なかなか薬の効果が実感できない方などはセカンドオピニオンとしてお気軽にお問合せください。

ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニックの統括院長・本院院長兼務。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
抗うつ薬でご不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。