気分の改善に役立つ森林浴~心身のリラクゼーション~

気分の改善に役立つ森林浴~心身のリラクゼーション~
気分の改善に役立つ森林浴~心身のリラクゼーション~

大自然の中を歩いているだけで「気分がリフレッシュされた」と感じたことのある人は多いはず。古くからその森林浴の気持ち良さにたくさんの人が魅了されてきましたが、「なぜ気持ちいいのか?」は長い間、実証されませんでした。近年になり、ようやく科学的に証明できるようになり、森とふれ合うことは心身の健康に役立つものだとわかってきた森林浴。ここでは、ストレスやうつ病の改善としても注目されている森林浴とは何かを紐解きつつ、自然がカラダに与える影響について詳しくお伝えします。

気分のリフレッシュに!
森林浴のすすめ

「森林浴」という言葉は、1982年に「日光浴」や「海水浴」にならってつくられた言葉です。森林浴とは、大自然の中に身を置くことで心身をリフレッシュさせ、健康維持などに役立てていくことといえます。
森林浴のコツは、ただシンプルに森を楽しむこと。人間に備わっている「視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚」の五感を駆使して、森の魅力を感じることが大切です。
森を見渡し木洩れ日や色鮮やかな植物を観察し、木や花、川など森に触れ、せせらぎや鳥の鳴き声など森の音に耳を澄まし、森の匂いをカラダいっぱいに吸い込んでみる。森と対話することで、癒しの効果は高まります。
「森を楽しむ」という目的において「やってはいけないこと」はないものの、街中と違いイヤホンで音楽を聴いて森にいても癒しの効果は期待できません。森では、森とふれ合うことに全力を注ぐほうが効果は高いと覚えておきましょう。
私たちの暮らしの中でも、「森」に関わる多くのものが癒やしグッズとして愛されています。例えば、人の心を落ち着かせる色だといわれる「グリーン/緑色」、殺菌効果やリラックス効果があるといわれる木の香りのアロマオイル、鳥のさえずりや川のせせらぎが録音されたヒーリングミュージック。このことから、科学的根拠などなくても、森林浴は私たちを癒やしてくれるものだとたくさんの人が実感していることがわかりますね。

ストレスやうつ病の
予防や改善にも

うつ病の発症・進行にとって一番の天敵は「ストレス」です。そのストレスを軽減させる森林浴は、うつ病の予防や改善に役立つと期待されています。
国研(森林総合研究所、千葉大学環境健康フィールド科学センター、日本医科大学、日本衛生学会・森林医学研究会)による生理・心理・物理実験『森林のもつ「癒し」効果の科学的解明に関する研究』では、「森林浴はストレスを下げる」ということが科学的にも立証されました。

研究結果/
森と都市の環境下でそれぞれの数値を比較

・森林の香り成分(フィトンチッド)の量
森の香りの正体はフィトンチッドという成分で、ハーブ、薬草、日本茶・紅茶、わさび、コショウなどにも含まれている。殺菌効果やリラックス効果、自律神経を整える効果があり、森の香りが心身のバランスを整えることがわかった。
・森林浴により心理的なリラックスも可能
森の中を歩いた後、POMS(感情を測定する実験用のアンケート)による心理的変化を測定。森林では緊張感や疲労感が緩和され、高揚感が高まることがわかった。
・森林浴でストレスホルモンが減少
森の中を歩いた後、唾液中のストレスホルモン「コルチゾール」の濃度を測定。森の中にいるほうが、ストレスホルモンが減少した。
・森林浴で交感神経活動が低下
心拍のゆらぎを解析することで、自律神経の副交感神経(リラックスしている時に働く)と交感神経(活動している時/ストレスがかかっている時に働く)に分けて活動量を測定。森の中では、都市に比べて交感神経の活動が抑制され、「リラックスモードに入りやすい=ストレスが緩和されやすい」環境であることがわかった。
・その他
「血圧や脈拍数の減少」「抗がんタンパクの増加」「ナチュラルキラー細胞(免疫細胞)の活性化」などが確認され、森林浴は高血圧やがんの予防・治療への期待も高まっている。

ストレス社会と呼ばれる現代では、過度なストレスを溜め込んでしまっている人がたくさんいます。「みんな頑張っている」「みんなつらいのを我慢している」と自分に厳しくいられるのは素晴らしい長所ですが、長い間神経を張りつめさせていると、気づかないうちに心身がむしばまれてしまうことも。ストレスを感じると体内のコルチゾールの分泌が増え、交感神経が促進され、いずれ脳神経がダメージを受けてうつ病を発症させてしまう可能性が高まるのです。
「毎日忙しすぎる」「人間関係にイライラする」とストレスを感じやすい環境にいる方は、ストレス解消やリラックス効果のある一度森林浴に出かけてみましょう。
暑さの和らぐ季節の変わり目は、散歩もしやすくなります。都会の喧噪を忘れさせてくれる森の中を歩くのがベストですが、都心部であれば緑生い茂る大きな公園などもおすすめ。空気がキレイな早朝に散歩すれば、カラダへの悪影響は少なく、運動によるリフレッシュ効果もアップされます。日中のパフォーマンス向上も期待できるでしょう。
森林浴を暮らしの中に取り入れ、「いつも心とカラダが清々しい!」と思える毎日を実現させてみませんか?

品川メンタルクリニックは
フォレスト・サポーターズに
参加しています

品川メンタルクリニックでは、「ストレス・うつ病」に改善をもたらす効果がある「森」を大切にする活動「フォレスト・サポーターズ」に参加しています。

「フォレスト・サポーターズ」

「フォレスト・サポーターズ」は、元気な森を取り戻すための4つのアクションを掲げています。

「フォレスト・サポーターズ」
  • 森にふれよう
  • 木をつかおう
  • 森をささえよう
  • 森と暮らそう

品川メンタルクリニックでは、ストレスやうつ病にとって「森にふれる」大切さをコラムやSNSを通じて発信しています。
また、クリニックでは患者さんがリラックスしてカウンセリングが受けられるよう、森をイメージできるような空間づくりに取り組んでいます。
例えば、癒し効果が期待できる観葉植物や緑をテーマにしたフォトフレームを設置。
また、「木をつかおう」ということで、木のぬくもりを少しでも感じていただけるよう、国産材のティッシュケース・ペン立て・ペン・メモ帳など各診察室に設置しています。
品川メンタルクリニックでは、「フォレスト・サポーターズ」を通じて、多くの方が「森」の大切さを感じてもらい、精神的に健やかにすごせるよう啓蒙していきます。

「フォレスト・サポーターズ」
「フォレスト・サポーターズ」

ストレスやうつ病の予防に、まずは「森にふれる」ことから始めてみるのも良いでしょう。
休日に少しの時間でも森林浴を行うことで、気分転換になります。
しかし、うまく気分転換できず、うつ症状が気になる場合は、精神科や心療内科の専門医師に相談することが大切です。

【参考サイト】

初村 英逸

監修

初村 英逸(はつむら ひではや)

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック梅田院院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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