ノイローゼ(神経症)とは?うつ病との違いと治療方法

ノイローゼ(神経症)とは?うつ病との違いと治療方法
ノイローゼ(神経症)とは?うつ病との違いと治療方法

ノイローゼとは、神経症の一つで不適応障害のことをいい、ドイツ語の「Neurose」を訳して神経症、つまり精神疾患です。
日々のストレスから胃痛がしたり、呼吸が乱れたりなどの症状がみられるようです。
神経症という精神疾患とのことから、うつ病と混合されやすいノイローゼについて、説明していきます。

うつ病とノイローゼ(神経症)は
似て非なるもの

精神病レベル(妄想・錯乱・幻覚など)まで至らない軽度の特徴もあり、入院などを要することはあまりないそうです。
一方、うつ病に関しては、発症の原因がはっきりとわかりません。しかし、環境に適応できなかったことによる不安や落ち込みなどでストレスが蓄積し、脳の神経伝達物質などに何らかの変化が生じ、症状が慢性化するようです。
うつ病とノイローゼの大まかな特徴は、ノイローゼは神経症のことであり、不安などを原因とし、入院を必要としない程度の不適応障害といわれています。
うつ病は、憂鬱な気分が長期間続く精神的な病気といった違いがあるようです。
このように、別の病気ですのでノイローゼから、うつ病を併発することもあります。

ノイローゼ
=神経症の代表的な病名

神経症は「不安」が発症源とされています。
神経症にはノイローゼの他にも病態があり、症状もさまざまです。しかし、「不安」という部分でだけは、共通点であるといわれています。
いくつか代表的な神経症をご紹介します。

  • ・強迫性障害(強迫神経症)

    衝動や行為を抑制することができず、自身の必要性概念が極めて低いのが特徴といわれています。

  • ・パニック障害

    激しい不安に突然襲われます。息切れや頻脈などの身体症状もあるようです。

  • ・ヒステリー(解離性障害・転換(てんかん)障害)

    解離ヒステリーは、感情のコントロールが出来ず、周囲の人を驚かせます。しかし、激しい興奮状態だったにも関わらず本人は全くの記憶がない状態「健忘」が起こることが多いようです。
    転換ヒステリーは、ストレスや葛藤、怒り、こだわりの感情が転換され、身体症状にあらわれます。めまい、頭痛、消化器不良、喘息、のどの痛みなどが主な症状だそうです。

  • ・社会不安障害

    恐怖症と呼ばれる神経症です。大勢の前で話をしたり、初対面の人と会うと緊張するなど誰もが日常的に経験することでも、不安や緊張、身体の症状が会話にも支障をきたすほど著しく過度な緊張を催します。やがて、社会状況や行為を避けたくなり、結果、外出できないなど社会生活に支障が出てしまう状態だそうです。

  • ・抗うつ神経症

    常日頃から抑うつ的な気分に陥っている状態です。
    気分変調性障害とも呼ばれ、自尊心の低下・無力感・快感喪失・不活発などが特徴であり、全て自分が悪いなどと思いこんだり、怒りっぽくなったりもするようです。
    うつ病と重なる症状もありますが、別の疾患となり、落ち込みの度合いはうつ病よりも軽く、しかし長期間にわたる点が特徴的です。

ノイローゼ(神経症)の
主な精神症状の特徴

ノイローゼの主な精神症状の特徴は、以下の通りといわれています。

  • ・不安

    不安はノイローゼの症状としては最も多く、先回りをして心配になったりと「予期不安」が起こりやすいようです。何も起こっていないのに悪い出来事を想像したりします。

  • ・心気的

    自分が病気ではないかと、不調に対して敏感になります。一度思い込むと、病気であるとくよくよしたり、不安を身近な人に訴えたり、いくつも病院を回る傾向があります。この症状が悪化し、継続的になると心気症という状態になるようです。
    心気症は、いくつかあるノイローゼの種類の1つです。

  • ・医師への依存

    治療を行っている方は、主治医に対して、強い尊敬と信頼感を抱きます。
    異性の医師である場合は愛情のような気持ちを持つケースもあるようで、同情を引いたり心配をかけるなどして独占しようとする気持ちが強い傾向がみられます。

  • ・被暗示性が高い

    「被暗示性」とは、暗示にかかりやすい度合です。周りからの言動などに影響され、不安に陥ることがあるようです。気分がガラリと変わってしまうのも、被暗示性が高い人に多くみられるそうです。

  • ・自分の症状に執着する

    ノイローゼ気味の自分を観察し、記録を取ったり、症状の変化に神経を張りつめたりするといった執着を示します。

このようにノイローゼは多種多様に症状があり、これらの症状が重症化するとうつ病に移行するケースも少なくはないようです。

ノイローゼ(神経症)の原因

ノイローゼ(神経症)は、職場の人間関係や業務上の悩みなど、心理的なストレスがきっかけとなって、精神的な疲れや不安感、抑うつ症状などを引き起こします。
ノイローゼ(神経症)を引き起こす原因は個人個人によって異なり、職場・学校での人間関係やいじめ、病気、環境の変化、近親者の死、事故、災害などさまざまです。
私たちは社会生活を営む上で、大きなストレスを抱えていることが少なくありませんが、ノイローゼ(神経症)を発症させている原因がはっきりしていることが特徴です。
その出来事がなかったならばノイローゼ(神経症)にはならなかっただろうと、自分自身でも納得できるような原因が存在します。
悩みに悩みぬいた挙句に生じる不安が、ノイローゼ(神経症)の発生源であるといえます。
そのためノイローゼ(神経症)の発生源を取り除くことによって、自然と症状が治まることも少なくありません。
パニック障害と呼ばれるノイローゼ(神経症)の場合、めまいやしびれ、発汗などの身体症状が強く現れることもあります。
「死んでしまうのではないか」と感じるほどの強い不安を感じますが、身体的にはまったく問題は見つかりません。
また不安感がいつまでも継続している状況においては、うつ病を発症させてしまうリスクが高くなってしまうために注意が必要です。
ノイローゼ(神経症)を発症させている原因が、そのままうつ病を引き起こす原因となってしまうのです。

ノイローゼ(神経症)に
なりやすい性格

ノイローゼ(神経症)を発症させるきっかけとなる出来事があるとしても、発症するかどうかは個人差があります。
職場の人間関係や業務上の悩みなどによって心理的なストレスがあるとしても、そのストレスによって引き起こす不安の度合いが違ってくるからです。
そのためノイローゼ(神経症)になりやすい性格があります。不安になりやすい人であれば、病気の発症につながりやすいと考えられます。
どのような性格の人がノイローゼ(神経症)になりやすいのか、いくつかタイプを挙げてみました。

  • 1、まじめで融通が利かず完璧主義
  • 2、心配性で気にしすぎる人
  • 3、内気で引っ込み思案の人
  • 4、自分に自信がなく、傷つきやすい人
  • 5、すぐに感情的になってしまう人

このような性格の人が病気を発症させてしまうのは、ストレスの影響を強く受けることによって不安になってしまう『考え方のクセ』であると考えられています。
ストレスに対する受け止め方に偏りがあると言えるでしょう。
周りの人からすれば些細なことであるとしても、自分自身で問題を膨らませてしまうことがあります。
そのような傾向があるのであれば、問題を全否定してしまうのではなく、許せる部分を見つけていくことが大事です。
また完璧主義で頑張りすぎてしまう人も、病気を発症させてしまうことがあります。
すべてのことに対して完璧を目指すのではなく、不完全でも構わないといった考え方を持っておくことも大事になります。
またこれらの性格傾向の人は、うつ病になりやすいとも考えられていますから、注意が必要です。

ノイローゼ(神経症)の治療方法

ノイローゼ(神経症)の治療方法
ノイローゼ(神経症)の治療方法

ノイローゼは神経症の一つであり、精神科・心療内科での治療が適切といえます。
主な治療方法は、抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法、認知行動療法などの精神療法になります。抗うつ薬は、うつ病に対する薬ですが、神経症に対しても効果が認められています。種類も豊富であり、医師の指示により適切な薬が処方されます。抗不安薬は、不安を緩和する薬であり、眠気作用や鎮静作用などが神経症への効果として認められています。しかし、抗うつ薬や抗不安薬は体内に服用する薬であるため、副作用が出る場合があります。医師の指示通りに服用することが重要とされています。副作用が辛い場合は、早めに主治医へ相談しましょう。
認知行動療法については、精神療法の一種であり、不安や恐怖の対象である原因を回避や克服するための反応を学習する治療を行います。段階を踏んで不安や恐怖の原因の回避・克服するための反応を学習していくので、無理なく徐々に回復していくイメージです。
ただし、近年ではノイローゼからうつ病や抑うつ状態に移行するケースも少なくはありません。ノイローゼの治療を行っているのに、効果が見られない場合などは、うつ病の併発も考えてみることも大切です。

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うつ病を併発した場合の治療方法

ノイローゼはうつ病とは似て非なる病です。
そのため、ノイローゼとうつ病を併発する可能性があります。
うつ病の治療方法は、薬物療法が一般的とされています。その他に精神療法や電気けいれん療法などが有名です。それぞれに歴史があり、実績のある治療方法と言われていますが、副作用や長期療養などの心身や経済的な負担も否定できません。
しかし、近年では医学の進歩により、心身に負担が少ない治療方法も開発されてきています。うつ病治療の選択肢の幅が広がってきています。
ご自身に合った治療が早期回復へと導きます。

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磁気刺激治療(TMS)は、脳に磁気をあて、磁気の刺激により、機能低下した脳を回復させる治療方法です。電気けいれん療法との違いは、大きく分けると電気と磁気といった点ですが、入院する必要がなく、健忘などの副作用の心配もありません。
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初村 英逸

監修

初村 英逸(はつむら ひではや)

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック梅田院院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
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