発達障害

発達障害の症状や治療方法、うつ病などの発達障害の二次障害や最新のうつ病治療などについて、ご紹介いたします。

発達障害とは~発達障害の特徴と知的障害との違い~

幼児のうちから症状が現れることがあります

幼児のうちから症状が現れることがあります

発達障害とは、脳の「発達」が通常とは異なっており、早く発達するところと遅く発達するところがあり、感覚過敏(音が大きく聞こえる等)という特性も持ち合わせていることが多いようです。そのため得意なところと苦手なところとの差がはっきり表れるようになります。

幼児期1歳を過ぎたあたりから症状が現れ、成長につれて自分自身の苦手な部分に気付くようになります。

例えば学校では先生が板書した文字をノートにうまく取れなかったり、うまく聞き取ることができず授業についていけなくなることがあります。
大人になれば、人間関係がうまくいかず仕事のミスが多くなったり、人との関わり方や接し方を苦手に思ったりします。周囲からは見えない病気、わかりにくい病気という理解しがたい状況から、トラブルや被害者意識などで迷惑と思われてしまうこともあります。

また、原因も分からず極端に運動が苦手な場合は、「発達性強調運動障害(DCD)」である可能性があったりします。

しかし発達障害は「先天性のハンディキャップ」ではありません。持って生まれた特有の性格(性質)と考えていきます。

得意な部分については、コツコツと自分のペースで業務をすることができたり、行動力があったり、さまざまなものに興味を持ち発想豊かであったりします。得意な部分に気付き、その特性を活かして生活している人も多いのです。

その人にあった家庭環境・教育環境・職場環境など、支援のあり方を工夫すれば、周囲の人たちの理解と自身の成長とともに生き方や生きづらさを改善させることもできます。

発達障害はいくつかに分類されますが、次に知的障害との違いと比較的よく耳にする3つのタイプの診断名をご説明します。

発達障害と知的障害の違い

発達障害と知的障害は類似してとれますが、精神障害(いわゆる精神疾患)の中で発達障害という項目と知的障害という項目に分類されます。

発達障害は持って生まれた障害、つまり「病気」というよりも、その人の個性であり「タイプ」という特徴と捉える方が理解しやすいです。

知的障害は知能検査の一つである、概ね18歳未満で症状が現れることがあるとされる、知能指数(IQ)が同年代の平均的水準と比較して著しく未熟であることを特徴とする障害です。

広い意味では、いずれも胎生期及び出生直後までに生じた生物学的な「脳の障害」という共通点を持っています。そのため、発達障害も知的障害も混合して考える方も多く、分類はされていますが併発などの関係で別々には分類できない(どちらにも属する方がいます)という実態もあります。

しかし、発達障害は知的障害を伴っているとはいえません。発達障害は同じ障害がある人同士でも個人差が大きいという特徴があります。また3つの種類があります。広汎性発達障害(PDD)( 自閉症スペクトラム障害(ASD)・アスペルガー症候群)、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、これらは症状も異なります。

一方、知的障害は原因が多岐に渡り、その原因は特定されないことの方が多く、遺伝子の病気や先天性異常代謝、脳形成異常といった出生前の要因と、低酸素性虚血性障害や外傷性脳損傷、感染、中毒性代謝症候群などの出生後の要因のものとがあります。

そのため、これらの原因から精神遅滞とされ、適応機能(意思伝達や学習能力、家庭生活等)に明らかな制限がある障害です。
また、非行や犯罪において精神障害としての行為障害を示している若い世代の中に、軽度の知的障害である人が多いといわれています。

このように、発達障害と知的障害は似て非なるものとされます。そして、忘れてはならないことは、これらの障害が併存症(その他の精神疾患を併発していること)を多彩に持つことです。

いずれにしても社会的に就労支援等はまだまだ十分な理解や取組みが行なわれていないことが現状です。ただし、決して他人事ではないことであり、認知面では認知症を患ったり、日々のストレスなどによりうつ病などの精神障害を引きこしたりする可能性は十分ありえます。精神障害に対する理解をしっかり深めて考えていきましょう。

もし、うつ病などの精神障害を併発しているか知りたい場合は、光トポグラフィー検査を導入している精神科・心療内科を受診することをお勧めします。

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発達障害のカテゴリー(種類)と特性について

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害で、症状が軽い人達まで含めると約100人に1人いると言われています。
兆候が表れる時期・年齢は概ね1歳を過ぎたころからといわれています。

自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれているものを指しており、「コミュニケーション」「想像力」「社会性」の3つに特徴がみられます。
言葉の遅れがみられコミュニケーションをとるのが難しい特徴があります。ただしアスペルガー症候群の場合には、言葉の遅れがなく、比較的にコミュニケーションもスムーズに取ることができます。

興味や関心の幅が狭く物事につよいこだわり(好き嫌いが極端)があります。また、同じ行動を繰り返したり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく、他人との関わり方やコミュニケーションの取り方に独自のスタイルがみられます。特に幼少期は、癇癪(イライラが抑えられない)・パニック・てんかん・睡眠障害・他害行為・暴力などが問題行動にとられることといわれています。

そのため周囲に理解してもらいにくく、「変わった人」というレッテルを貼られて、いじめ被害にあってしまうことがあります。また、「二次障害」を引き起こしやすいといわれます。二次障害とは、頭痛や腹痛などの身体症状、不安やうつなどの精神疾患、ひきこもり、自傷行為といった障害です。知能の高い方でも自閉症スペクトラム障害によって社会適合が難しく社会生活が困難な方もいます。

根本的な治療法はないとされていますが、「自閉症のモデルマウス研究」からセロトニン(脳の神経伝達物質)細胞を取り込む機能の異常が見つかっていて、発達期のセロトニンが自閉症の社会性コミュニケーション障害に関わっていることが明らかになってきているようです。一人ひとりの特性に合わせてサポートすることが重要になってきます。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)の症状を簡単に説明すると、注意力を維持しにくい(ケアレスミス・忘れることが多い)、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手などを特徴とする行動の障害で、社会的活動や学業に支障をきたす状態をいいます。
兆候が表れる時期・年齢は7歳までといわれています。

ちなみにADHDとは英語名でAttention Deficit Hyperactivity Disorderといい、単語の頭文字をとってADHDと呼ばれています。

ADHDの診断方法は、DSM(アメリカ精神医学会発行:『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版 DSM-5)が基準です。しかし、この診断基準のみから診断が確定するわけではなく、精神科・心療内科の医師により問診やさまざまな検査で他の精神疾患である可能性も含めて総合的に評価します。

ADHDは子ども特有の病気だと思われていましたが最近では、大人がADHDの症状に悩み、発達障害は、仕事や生活がうまくいかないことから、本人も他人の行動に「なぜ」や「わからない」、どうして自身の行動が迷惑になっているのか、などと理解に苦しむこともあるようです。
そこでさらに発達障害の状態が酷くなっていると見られてしまうことがあります。

ストレスがたまり、うつ病や躁うつ病(双極性障害)、不安症を併発しているケースが多く見受けられると言われています。
このような場合は、症状が悪化する前にまずは検査を受け、早期発見と治療を行うことが大切です。

学習障害(LD)

学習障害(LD)は、知的障害を伴わない、学習上の障害と定義されます。「読字障害(読み)」「書字障害(書き)」「算数障害(計算)」が極端に苦手である症状が特徴的です。
兆候は小学校2~4年生頃に症状が現れることがあるようです。

私たちには「聞く」「話す」「読み」「書き」「計算する」という5つの能力がありますが、その全てに問題があるわけではありません。また誰しも得意なところと苦手なところがありますが、その差やレベルに大きな偏りが見られます。

特に学習障害の人の中でも、「読む」能力に困難があるケースが多いといわれています。文字や行を読み飛ばしすることが特徴の一つです。
また、書字障害は字が全く書けないわけではなく、文章を綴ることに困難を生じることから別名「発達性読み書き障害」と呼ばれることがあります。算数障害は数学、数字の大小や図形や立体問題が分からない、時計が分からないなどが特徴です。また、認知や記憶力の発達の遅れも特徴といえます。

しかし、多くの人は小学生に入るまでは本格的な学習をしていないために気づかないことも多く、「努力のなさ」「甘え」「勉強不足」とやり過ごしてしまうことも少なくありません。小学校に入学して、「ひらがなが読めない」「うまくノートに書き写すことができない」といった特性が目立つことによって気づきます。
授業についていけなくなり、不登校になってしまうケースもあります。

症状別の治療方法

発達障害といっても、それぞれに特性があり、治療方法も異なります。
症状に合った、治療方法を理解していきましょう。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療方法

自閉症スペクトラム障害(ASD)自体には、治療薬はなく、幼児期に診断された場合は、小さな集団や個別に療育を受け、コミュニケーションの発達を促します。

臨機応変に対応することが難しく、パニック症状も起こしやすいので、療育を経験することにより、不安や気持ちが安定し、パニックを起こすことが少なくなるといわれています。

早期診断は、親が子どもを理解することで、その後の成長を専門家のサポートを受けながら見守ることに役立ちます。
思春期以降に、生活環境の変化や過度なストレスにより、不安症状やうつ症状が現れた場合は、抗不安薬や抗うつ薬を服用する場合があります。

幼児期から成人期を通して、身近にいる親や配偶者が本人の特性を知り、理解することがとても重要といえます。教師や上司に、親や身近にいる人が特性を伝えることにより、本人が安心でき、環境が整い、支援の輪が広がっていきます。

抗不安薬や抗うつ薬の服用が不安な方は、新たなうつ病治療もありますので、検討してみるのもよいでしょう。

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注意欠如・多動症(ADHD)の治療方法

自閉症スペクトラム(ASD)と同様に、親や身近な人がADHDに対する知識や理解を深め、本人の特性を理解することが重要といえます。

薬物療法としては、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの不足を改善する、アトモキセチンや塩酸メチルフェニデートという薬が用いられることが多いです。

注意欠如・多動症(ADHD)の場合、集中を妨げる刺激をできるだけ周囲からなくし、本人の自尊心を低下させることを防ぐことも大切です。周囲の理解があってこそ、学業と社会生活への意欲を高めることになります。

学習障害(LD)の治療方法

書くこと、読むことが困難であることを、子どもの怠慢さのせいにはしないようにしましょう。専門家による適切な支援方法と、親や教師が困難さを理解した、教育的な支援が重要です。

読むときは文字をなぞりながら読む、書くときは大きなマス目のノートを使うなど、それぞれの困難さに応じた工夫が必要になります。
親や身近な人、関わる人が情報の共有を大切にしましょう。

ライフステージにおける取り組み

発達障害者へ適切な治療と教育を行うことによって、自分自身の特性を理解し、社会で自立した生活を営めるようになります。
どのような取り組みが有効であるかライフステージ別にお伝えします。

乳児期~青年期(18歳未満)

乳児期、幼児期、思春期、青年期の発達障害は発達障害児といいます。
受診する医療機関は、小児科や小児神経科、児童精神科等です。

幼児のときに発達障害であると診断された場合には、「療育」と呼ばれる教育支援プログラムを受けることが有効です。
「療育」とは発達障害である子供が、生活での不自由さをなくし、社会で自立できるように取り組む教育と治療のことを言います。「治療教育」と呼ばれることもあります。

一人ひとりの子供の状態に合わせてプログラムを計画し、力を引きだして少しずつできることを増やしていきます。本人が自分の特性について気付くことで、生活の上で支障を感じにくくなります。

成人期(18歳以上)

成人期の発達障害の受診する医療機関は、内科や神経内科、精神科、心療内科等です。
発達障害の診断基準は世界保健機構(WHO)が作成した分類「ICD-10」とアメリカ精神医学が作成した分類「DSM-5」をベースに医師による問診と検査で総合的に判断していきます。

また、他にも発達障害専門のメンタルクリニック、発達障害者支援センター、お住まいの地域の障害福祉課など相談先があります。

これらの有効な取り組みが、うつ病などの二次障害を防ぐ場合もあります。
また、既にうつ病などの精神疾患を併発しているという早期発見にも繋がりますので、早めに専門機関へご相談することが重要です。

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特性を理解し薬物療法も

発達障害への対応は画一的なものではなく、人それぞれにあった環境に整備していくことが大事です。得意なところと苦手なところがはっきりとしていますから、長所は伸ばすようにして、短所をうまく工夫して補っていきます。できない部分や苦手な部分は家族など周囲の人がサポートするとうまくいきます。

それでも著しい適応障害がある場合には、薬物療法に取り組むことも必要になってきます。
コミュニケーションがうまくできないことによって、自分に攻撃するようになってしまい、自傷行為に繋がることもあります。
いじめやからかいを受けることによって生活の中でストレスを抱えてしまい、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や「うつ病」の症状が現れてしまうこともあります。

そのため必要に応じてSSRIなどの薬剤を用いて、うつ症状や不安障害などを改善させることや、抗精神病薬を用いて多動・衝動性・自傷行為などの改善に努めます。

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発達障害の症状や特徴~簡単に理解できるチェックリスト~

発達障害には特徴的な症状があります。その症状は発達障害によっても違いがありますが、言葉や知的な発達が遅れたり、人との関わり方や接し方がうまくできないといった問題が生じることがあります。
1歳を過ぎたあたりから症状が現れますが、保育園や幼稚園に入るまで気付かれないことも少なくありません。

中学、高校、成人期になるとうまく対人関係を築けないことから悩みや不安が大きくなり、うつ病となってしまうことがありますので注意が必要です。
ただ自分自身の得意な部分、不得意な部分に早く気付いて、うまく生活している人も少なくありません。

ここでは発達障害の症状や特徴について、簡単なテストで理解できるよう「チェックリスト」一覧を用意しました。

自閉症スペクトラム障害の症状や特徴

  • 赤ちゃんのころから
    抱っこされるのを嫌がった
  • 汚れや傷を極端に気にする
  • 物音にすごく敏感である
  • 独り言が多い
  • 話が一方的で会話が成り立たない
  • 言い方、話し方が大人びている
  • 相手の気持ちを考えない発言をする
  • 食事は特定のものしか食べない(偏食)
  • 決まったトイレしか使わない
  • やり方にこだわりがある
  • 意味なくぐるぐる回ったり、
    ぴょんぴょん跳ねる
  • 2つの動作が同時にできない
  • 遊んでいるときも表情が変わらない
  • 一人遊びが多い
  • 行ったことのない場所では
    落ち着きをなくしてしまう

注意欠如・多動症(ADHD)の症状や特徴

  • 集中力が持続できず、注意が散漫になる
    (不注意が多い)
  • 気になるもののところにすぐに行き
    迷子になってしまう
  • 机やドア、周りの物などによくぶつかる
  • 使ったものを片付けることができない
  • 茶碗やコップをよく倒したりこぼしたりする
  • 忘れ物や、失くし物が多い
  • 何かに集中すると呼んでも反応しない
  • 話をさえぎってでも自分の話をする
  • 人の話を最後まで聞かずに行動してしまう
  • 静かにする場面でも一人で話をしてしまう
  • 自分の気持ちを我慢できずに
    すぐに怒ってしまう
  • 指示やルールを守る行動を嫌がる
  • 学校や職場などで遅刻を繰り返してしまう
  • 整理整頓ができない
  • 言い訳や自分を守る嘘をついてしまう
  • 新しいものを好み、すぐに飽きる

学習障害(LD)の症状や特徴

  • 文字や行を飛ばして読んでしまう
  • 文字の読み間違いが多い
  • 文末を自分の好きなように変えて読む
  • 不自然なところで区切って読む
  • 似たような漢字と書き間違える
  • 句読点を忘れてしまう
  • 板書をノートに書き写すことができない
  • 文字の大きさを揃えて書けない
  • マスや罫線に沿って文字を書けない
  • 聞き間違いが極端に多い
  • 言いたいことをうまく伝えることができない
  • 聞いた通りに言葉を書くことができない
  • 繰り上がりの計算が指を使わないとできない
  • 文章問題が理解できない
  • 表やグラフから読み取ることができない

働き方からみる発達障害の症状や特徴

  • 勤怠(遅刻、欠勤状況)
  • 情報が抜けやすい(ワーキングメモリが弱い)
  • 物事の進み方を理解できていないので、
    段取ることができない
  • 失敗の経験や不安感から、決断や判断が遅い
  • 柔軟性がないとよく言われる、否定される
  • ルーティンワークに執着が強い
  • 連携作業や同時並行作業力が低い
  • 優先順位を決めて仕事に取り組めない

ただし、これらが基準となることにより、勉強ができない、仕事ができないなどと周囲が理解してしまうことが考えられます。発達障害の人の特性(記憶力が強い、数字が強い、真面目さ等)を理解し、配慮や対策をすることによって優れたパフォーマンスを発揮することもあります。

本人も得意なことに対するやる気が人一倍強かったりするので、育てにくい、普通ではないなどと決めつけないことが関係を良好にする一つの手段であるともいえます。

発達障害とグレーゾーンについて

発達障害が一般的に知られるようになり、「グレーゾーン」という言葉を聞くことも多くなりました。その中で「子供は発達障害かもしれない」と心配する親も多くいます。
発達障害のグレーゾーンや疑いについて、またどのように支援することが必要なのかお伝えします。

発達障害のグレーゾーンとは

発達障害は冒頭からご説明している「自閉症スペクトラム障害」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」などに類する脳機能の障害です。その症状の程度は人によって異なってきます。
そのため見た目だけでははっきりと断定することが難しく、専門医が診断しても発達障害の基準に満たさないこともあるのです。

その基準に満たしていない状態を「グレーゾーン」と呼んでいます。

ただ症状が現れていない訳ではなく、症状が軽いことが多く、本人の悩みや問題も存在します。また周りの環境によって、その症状が現れなかったり、強く現れたり左右することが起こりやすくなっています。

子供が保育園や幼稚園に通いだして周りとの違いによって気付く親も多くおられます。中には「親のしつけの問題」と捉えたまま大人になり、社会に出て生きづらさを感じることから発達障害であると気付く人もいます。

ほったらかしにしているとうつ病などの二次障害を引き起こすことも少なくありませんから、早期に発見することが大事になってきます。

発達障害の二次障害について

発達障害の二次障害について

先に述べた通り、発達障害は併存症(ここでは他の精神疾患を併発することをいいます。)を多彩に持っているといわれています。
発達障害は持って生まれた特性であり、精神疾患とは違う意味をもちます。

では、ここでいう発達障害の二次障害がどのようなことがきっかけで引き起こされるのかをお伝えします。

まず、精神障害については、何らかの体験や、人生の経験によって引き起こされるものと理解しましょう。

精神障害は、おおよそ10代以降(思春期以降)に症状が出てくるといわれ、さまざまな人生の転機や環境の変化が関係してきます。
それにより、生まれつき発達障害という特性を持ち合わせていると、生き辛さから、学校でのいじめや職場になじめず、ストレスが蓄積され、だんだんとネガティブ思考に陥ることがあります。

この状態が、二次障害といわれる、うつ病や他の精神疾患が引きこされる原因とされています。
もし、発達障害より精神障害の症状の方が目立つようであれば、まずは、精神症状の対応から初めていかねばなりません。精神疾患への理解も深めていきましょう。

二次障害には以下の精神疾患が考えられます。

・うつ病
うつ病は、一般的に気分の障害を基本症状とします。
発症する原因は、まだ特定されていませんが、脳の働きが深く関わっており、環境的な要因も大きいとされています。
・双極性障害(躁うつ病)
抑うつ状態と躁状態を繰り返す疾患です。遺伝的要因に加えて、環境的要因からストレスなどの複数の要因が重なり発症しやすくなります。
病状はうつ病とは異なるため、うつ病を併発する可能性があったり、治療方法も違います。うつ病と双極性障害の見極めがとても重要です。
・パーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは、いくつかの分類によって分けられています。
奇妙で風変わりなタイプ・感情的で移り気なタイプ・不安で内向的であることが特徴など、大きく分けて3つに分類されます。非社交的であったり、依存性、衝動行為や融通が利かないなど、さまざまな種類があります。もともとの性格とは別に、精神的に大きなショックやストレスが原因でうつ病を併発することもあります。
・不安障害
不安障害とは、不安を主な症状とする疾患群をまとめた名称をいいます。
パニック障害心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが下位分類として挙げられます。発症する原因は、環境的要因や精神的要因、身体的要因と幅広く、近年の研究だと、脳内の神経伝達物質(身体的要因)が影響していると考えられています。
また、うつ病や抑うつ症状もみられる可能性もあるため、各疾患に合わせた治療も必要となる場合もあります。
・愛着障害
愛着障害の主な原因は、親からの虐待や育児放棄などで十分な愛情が得られなかったことで引き起こされるとされています。幼少期から成人期になってもみられます。
症状の例としては、無表情であったり、コミュニケーションが取りにくい、我慢強い資質を持っていることもあり、長年我慢し続けた結果、親に対する恨みから、人生の道を踏み外してしまう可能性もあります。
発達障害の二次障害の1つとして挙げられますが、生活に困難が生じたときなどに、うつ病などを併発しやすい疾患でもあります。

相談機関を利用する

相談機関を利用する

発達障害には、生まれつきのものと環境的要因(後発的)なものがあります。

生まれつきの発達障害の治療法と対処法は、医療的アプローチ(治療・服薬)、福祉的アプローチ(訓練・トレーニング)が代表的です。

環境的要因(後発的)な発達障害の治療法と対処法は、カウンセリングと福祉的アプローチ(訓練・トレーニング)などがあげられるようです。いずれにしても、メンタル面のサポートをすることが多く、精神科・心療内科への受診が必要といわれます。

また、コミュニティサイトや発達障害者支援センター、療育センターなどもあり、自立支援、就労支援プログラムなど取り込まれているセンターも存在します。

子供には療育がとても有効です。療育とは社会で自立できるように取り組む教育と治療のことを言いますが、一人ひとりの症状に合わせたプログラムで取り組されているのが特徴です。
苦手なことであっても少し頑張ってできるようになると、自己肯定感を高めることができます。

気になる症状がある場合には、都道府県、政令指定都市に必ず設置されている発達障害者支援センターに問い合わせてみることをお勧めします。このセンターは発達障害者支援法を根拠に設置されており、家庭や学校、社会でさまざまな困難を抱えている人たちに対して支援を行っています。

また発達障害のある人は障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を取得することが可能です。障害者雇用での就職だけではなく、税金の控除や公共料金の免除、福祉手当の受給などメリットもありますので確認するといいでしょう。

発達障害者の就職・雇用

発達障害者のある人の中には、コミュニケーションに対して苦手意識を持っていることが多くあります。人との関わり方や接し方がわかならないこともあり、不適応を感じて、さまざまな場面でストレスを誘引してしまいます。そのため、幻覚や妄想といった精神疾患と思われる症状が出てしまうこともあります。社会の中での生きづらさを感じながらうつ病やひきこもり、対人恐怖症などの二次障害を引き起こしているケースも見られます。

しかし得意としている分野を活かすことで、うまく就職することができ、長く働いている人も少なくありません。
発達障害の特性を理解し、得意なこと・苦手なことを受け入れることで就職活動がスムーズにいく場合もあります。

また、平成30年(2018年)4月1日からは、法律雇用率を算定する式の分子に精神障害者が追加されることになり、障害者法廷雇用率自体が上がるといわれています。
そのため発達障害者支援センターなどの公的機関を利用し、相談しながら就職を進めていくこともひとつの考え方です。自分自身ができそうなことをイメージすることができるようになり、会社に対して理解を求めることも可能になってきます。

厚生労働省が行っている「障害者トライアル雇用事業」を利用することもいいでしょう。一定期間試行雇用してもらうことができ、無理なく継続雇用してもらうことが可能になります。
この事業は地域にあるハローワークで職業相談・職業紹介を行っていますので活用するといいでしょう。

発達障害とうつ病の関係

発達障害はうつ病を併発しているケースが多く見受けられます。
もし、生きづらさを感じているのであれば、30秒でできるうつ病のセルフチェックがありますので、こちらをぜひ試してみてください。

品川メンタルクリニックでは、うつ病・ストレスを専門としたケアを行っており、発達障害でうつ病を併発している方のうつ病治療も行っています。

うつ病の一般的な治療は、薬物療法です。薬により症状を抑える治療です。しかし、依存症や副作用など引き起こす場合が多く、患者さんのなかには薬物依存で苦しむ方も少なくはありません。

品川メンタルクリニックは、磁気刺激治療(TMS)の専門クリニックです。磁気刺激治療(TMS)は、頭部に磁気をあてることにより、機能低下した脳の働きを回復させる治療です。

また、検査や診断は光トポグラフィー検査と経験豊富な医師による問診で総合的に判断します。医師の他に臨床心理士によるサポートも受けられます。治療を受ける患者さんの多くは、うつ病に苦しむ方ですが、背景には発達障害などの精神疾患が原因でうつ病を併発していて不調を訴える患者さんが多くいらっしゃいます。

うつ病を未診断のまま放置することは発達障害も悪化させる可能性があります。早期発見・早期治療で生きづらさを前向きに考えていきましょう。

ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックでは12歳(中学生)以上を対象に、うつ病を併発しているかどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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