児童虐待がうつ病を引き起こす?
近年、児童虐待の事件が数多くメディアに取り沙汰されています。
多くの尊い命が奪われているのが現実です。一方、命は助かったものの、虐待された記憶がトラウマとなり、精神面が不安定になってしまうことも少なくはありません。児童相談所や虐待から子どもを守る団体なども近年急速に増加してきましたが、まだまだ精神面のケアが足りていないのが現状です。明るい子どもの未来のためにも精神面のケアは必要不可欠といえるでしょう。
児童虐待とは
児童虐待防止法においては、幼児や児童を殴る、蹴るなどの身体的暴行や性的暴行によるだけではなく、心理的虐待やネグレクト(育児放棄)も含むものであることを明確に定義しています。
具体的な児童虐待とは、保護者*1が、その監護する児童*2について行う、次に掲げる行為をいいます。
- *1 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者
- *2 十八歳に満たない者
- 一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
- 二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
- 三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
- 四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
(児童に対する虐待の禁止)
このように、児童に対する重大な権利侵害を及ぼす内容となっています。
虐待により、成長の過程で人格の形成や心身に重大な影響を与え、わが国においても将来の世代の育成にも懸念を及ぼすと、考えられています。
虐待の現状
年齢別で「心中以外の虐待死」をした子どもの推移をみてみると、0歳が最も多く平成29年度では、28人(53.8%)であり、3歳未満は37人(71.1%)とおよそ7割を超える状況です。
死亡時点での子どもの年齢
(心中以外の虐待死)
(社会保障審議会児童部会
児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会
第15次報告より)
平成19年度に児童虐待防止法及び児童福祉法の一部が改正され、平成20年4月に施行となり、年々減少傾向にもみえますが、わが国の虐待による死亡事例は年間およそ50件を超え、1週間に1人の子どもが虐待で命を落としているのが現状といえます。
虐待の加害者は実母という現実
虐待の加害者の割合で最も多いのが実母と言われています。次に多いのが実父や両方(実母・実父)といった血のつながる親であると言われています。
死亡した子どもの主な加害者
(心中以外の虐待死)
(社会保障審議会児童部会
児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会
第15次報告より)
平成29年度報告の「心中以外の虐待死」では、実母が25人(48.1%)と最も多く、次に実父が14人(26.9%)となっています。厚生労働省の調査では、平成28年度報告と比較すると、実母の人数及び割合は減少しましたが、実父の割合が増加しました。実母が虐待加害者である割合が最も多く、次いで実父や両方(実母・実父)が多いことが現状です。
心理的虐待が一番多い?
虐待は大きく分けて、身体的虐待・性的虐待・心理的虐待・ネグレクト(育児放棄)が代表的です。
NPO法人による調査では、最も多い虐待の種類は、「心理的虐待」といわれています。
まずは、それぞれの虐待を種類別でみていきましょう。
身体的虐待 |
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ニュースなどで一番多く耳にすることが多いのではないでしょうか。身体的虐待の主な例は次のようなものです。
身体的虐待により、子どもは打撲・骨折・頭部の外傷・火傷・切り傷などを負い、やがて死に至ることもあります。“しつけ”と称して行っているケースも少なくはなく、加害者は虐待の自覚がない場合があります。 |
性的虐待 |
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子どもへ性交や性的な行為を強要します。子どもに自分の性器や性交を見せるなどがあげられます。性的虐待は、本人が助けを求めるか家族が気付かない限り、顕在化しにくいと考えられています。 |
心理的虐待 |
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心理的虐待は、子どもの精神面を崩壊させ、暴力ではない行為で恐怖を感じさせることで、萎縮させたりします。心理的虐待の主な例は以下です。
「お前なんて生まなければよかった」、「ダメな子」、「死ね」など、身体的虐待の痛みを精神面で強烈に受けます。自尊心を失くすだけではなく、トラウマとしてこれからの人生にさまざまな問題が起こるとされる深刻な虐待行為です。 |
ネグレクト(育児放棄) |
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ネグレクトとは、育児の放棄や拒否、保護の怠慢などをいいます。
近年では車中に子どもを置いていくことは厳しい目で見られるようになってきました。 |
どの虐待も子どもにとってはとても辛いものといえるでしょう。
子ども時代に受けた虐待は、子どもが大人へと成長した時に他者や自分の子どもに同じ虐待行為をする可能性もあります。その場合、本人は虐待を受けていた印象というよりも、その虐待を受けた環境で育ったのでその環境が当たり前であり、虐待とは認識できていない状態になっているケースも少なくはありません。
悲惨な事件を引き起こしてしまう可能性を未然に防ぐためにも、精神的なケアは重要といえます。
虐待してしまう原因
~うつ状態の場合もある~
しつけと虐待は線引きが難しく、グレーゾーンと考えられています。
多数の事例から、精神科医・小児科医や福祉、保健関係者は「子どもが耐え難い苦痛を感じることであれば、それは虐待である」と考えるべきだと言います。
保護者が子どものためにと考え、過剰なしつけや厳しい教育は子どもにとって精神面や身体面の発達が著しく損なわれる恐れがあります。
また、保護者が子ども時代に虐待を受けていたケースであると、虐待されていた過去から自己評価が低く、ネグレクトされていた場合は愛着体験が乏しかったり、他者への信頼もないため、子どもの些細な行為で自身を責められたように感じることもあるようです。そのことがきっかけで突発的な暴力や心理的虐待、ネグレクトなどの虐待へ進行してしまうことがあります。そして、それらの背景には育児ストレスからくる抑うつ状態である場合もあり、精神面のケアができていないために、虐待という深刻な問題が発生することも考えられています。
抑うつ状態はうつ病に進行することも少なくはありません。うつ病は精神科や心療内科にて診断が行われます。
ストレスやうつ症状について
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虐待と関係する
メンタルヘルス問題
保護者自身がもともとの気質や性格によって感情を抑えられなかったり、子育てへの認識が低く、暴力的な行為でしか支配できなかったりなどの精神面のバランスがうまくとれていない場合もあります。
また、育児のストレスや仕事と家庭の両立がストレスとなり、アルコールやギャンブル、薬物依存などに陥ることもあり、ますます虐待を行う可能性が高くなっていきます。
次のような症状がある場合や既に診断を受けている場合は、まずは自身の治療や必要なケアを受け、子どもへの虐待防止へ繋げていきましょう。
- 産後うつ
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産後うつは、週産後の数週間~数ヶ月まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態といわれています。また、妊娠前からうつ病に発症していたことも引き起こされる原因の1つです。
初めの子育て、なかなか泣き止まない赤ちゃんをあやす、度々の授乳、これまでの1人の時間がなくなるなどの生活が一変したことがきっかけでストレスが溜まり、産後直ぐはホルモンバランスが急激に変化しているため、精神面のコントロールが難しいと考えられています。症状が深刻になるにつれ、不安感や苛立ち、子どもに対する愛着行動が困難になるため、子どもを虐待してしまう可能性があります。 - 育児ノイローゼ
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育児ノイローゼの主な症状は、苛立ち・強い不安感・子どもの泣き声が気になる・子どもが可愛いと思えなくなる・夜泣きでよく眠れず不眠症のような傾向があるなどです。また、思考力も低下してくるので、家事もままならない状態になることがあったりします。
このようなストレスが徐々に蓄積されていくので、育児ノイローゼと自覚できないこともあります。そのため、状況が悪化し、虐待へ繋がるケースも少なくありません。
最近では、男性でも育休を積極的に取る動きもあり、実際に育児の経験をしたところ、現実は思い通りにいかず、男性も育児ノイローゼに陥ることがあります。男性の場合、良い父であろうとするあまり完璧にこなそうとします。教育熱心になってしまった挙句、子どもに手を上げてしまう場合があります。 - うつ病
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虐待の背景には、保護者のメンタルヘルスの問題が関係していることもあります。
女性に限った研究ですが、妊娠と出産を終え、妊娠前の体に戻る「産褥婦」の5~15%は産後うつ病と言われ、産後うつ病の罹患率は5%~15%と幅があり、その50%は、出産前から発病していたといわれています*1。また、国内外研究からすると総じて虐待する親の30~70%は何らかの精神障害がみられると考えられています*2。- *1 DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.日本語版用語監修,日本精神神経学会.監訳,髙橋三郎,大野裕,東京,医学書院,2014,155,160-174,185.(ISBN 4-260-01907-1)
- *2 周産期のメンタルヘルスに関する研究の動向 大島 珠子
うつ病は目には見えない精神面の病気であり、気付かないうちに発症している場合もあります。妊娠でホルモンバランスが崩れて強い不安に襲われたり、子どもが言う事を聞かないためイライラしたり、子どもが愛情を欲しがっているのに与えられないなどといった“精神面の余裕”さえも奪い兼ねない病気です。
うつ病の症状があったら、早めに精神科・心療内科への受診をおすすめします。
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うつ病の自己診断
品川メンタルクリニックでは、「うつ病の自己診断」を公式ホームページにて公開しています。まずは、自身の現在の状態を把握し、理解していきましょう。
品川メンタルクリニックは、磁気刺激治療(TMS)の専門クリニックなので、妊娠中、授乳中の方でも治療が可能です。うつ病は治療せずにいると、軽度から徐々に重度になっていく病気です。重度になった場合、体が動かない、何をするにも億劫などといった深刻な状態に陥ってしまうこともあります。最悪の場合、死を考え、わが子も一緒に道連れにしてしまう危険もあります。うつ病の自己診断は、約30秒で結果が分ります。
最近、何をしても億劫で、体も重い、不眠症気味であるといった身体的な症状もあったら、うつ病などの精神疾患への疑いも重要です。
うつ病などの精神疾患は、精神科や心療内科を受診をします。もし、うつ病などの精神疾患が原因で虐待という行為を引き起こしてしまう場合は、まずは、自身の精神面のケアを行いましょう。子どもを安全な場所へ保護し、自身は専門の治療を受け、早期に回復することが子どもへの虐待を未然に防ぐ対策の1つだと考えます。
また、品川メンタルクリニックは、磁気刺激治療(TMS)の専門クリニックです。
磁気刺激治療(TMS)は、授乳中・妊娠中の方でも治療が可能です。
うつ病は薬物療法が一般的とされているため、副作用が心配の方も少なくはありません。また、薬によっては禁忌事項に授乳中の方や妊娠中の方など記載がある薬もあるので、注意が必要です。
磁気刺激治療(TMS)であれば、副作用がほとんどなく、短期間でうつ病を回復させることが可能です。
短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!
うつ病は、早期発見で早期回復が可能です。まずは、気軽にご相談ください。
ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!
品川メンタルクリニックは
うつ病専門のクリニックです
うつ病は、生活の中でさまざまな要因によって引き起こされます。
最もきっかけとしてなりやすいのが、環境要因と考えられており、職場や家庭環境(昇格、降格、結婚、妊娠・出産等)人間関係のトラブル、家庭内でのトラブル、身近な人の死や失業なども関係してきます。
また、さまざまな身体疾患・精神疾患からうつ病を併発させてしまうこともあります。
病状が悪化すると、自殺を考えたり、他害行為に及ぶなど深刻化することもあります。
しかし、うつ病は早期発見と早期治療で病状の悪化を未然に防ぐことも可能ですので、早めに精神科や心療内科への受診をおすすめします。
厚生労働省認可のうつ病検査機
「光トポグラフィー検査」
通常、うつ病の診断は医師の主観のみで行われることが多く、誤診も少なくはありません。誤診によって的確な治療がされなかった場合は、原因が分らないまま辛い状態が続きます。
品川メンタルクリニックでは、厚生労働省認可の「光トポグラフィー検査」を導入しています。光トポグラフィー検査は、身体に害のない近赤外光で脳の血流量を調べる検査です。痛みはなく、脳の血流量からうつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常の4パターンをグラフデータで現します。検査全体の所要時間も約15分であり、検査結果は当日にお渡し可能です。自身でも現在の状態が把握でき、安心できます。
品川メンタルクリニックでは、光トポグラフィー検査結果と医師の問診を併せて行いますので、より的確な診断が可能です。
状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!
副作用がほとんどない
「磁気刺激治療(TMS)」
品川メンタルクリニックは、磁気刺激治療(TMS)の専門クリニックです。
磁気刺激治療(TMS)は、脳に磁気で刺激を与えてうつ病を改善する治療法です。電気けいれん療法とは異なり、副作用はほとんどなく、入院の必要もありません。
既にうつ病の薬物療法などを行っている方でも治療を並行して行えます。品川メンタルクリニックの患者さんの中には、磁気刺激治療(TMS)を受けたことにより、個人差はありますが、薬の服用がゼロになった方もいます。
また、磁気刺激治療(TMS)を中心に、臨床心理士や公認心理師のカウンセリングも並行して行っています。治療期間も約1ヶ月半~6ヶ月と短期集中して行えますので、早期回復が見込めます。磁気刺激治療(TMS)は、授乳中・妊娠中の方、車の運転をされる方、未成年12歳以上(中学生から)※と幅広い世代や状況に合わせて治療を行うことができます。
※診察は10歳以上から受けられますが、TMS治療が対象かどうかは医師の判断になりますのでご了承ください。
短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!
虐待の問題は日々メディアに取り沙汰され、他人ごとではなくなってきています。
虐待者と被虐待者には、メンタルヘルスとの深い関わり合いがあると考えています。
品川メンタルクリニックでは、経験豊富な医師と公認心理士、臨床心理士、医療スタッフがうつ病治療のサポートをしますので、いつでも気軽にお問い合わせください。
ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!
参考:
品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。