アスペルガー症候群(高機能自閉症)

アスペルガー症候群(高機能自閉症)

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは、「自閉症」のひとつに分類される障害で、「人間関係」「コミュニケーション」「想像力や創造性」の3つの障害を持つ発達障害です。
言葉や知的の遅れはありませんが、「その場の空気」を読むことや「暗黙の社会的ルール」などを理解することが難しく、悪気なく自分ばかり話したり、人の傷つくことを伝えてしまったりします。
アスペルガー症候群の原因は現在のところまだ特定されていませんが、生まれつきの脳の機能障害であると考えられています。ただしなぜその原因を引き起こすのかについては特定されていません。
遺伝的な要素が関与しており、胎内環境や周産期のトラブルもそのきっかけになると考えられています。決して育て方やしつけが悪いために引き起こされる障害ではありません。
言葉や知的な遅れは見られませんから、なかなか障害に気づけずに過ごすことが多く、周りからはわがままに受けとめられるようなことも少なくありません。自分自身も環境にうまくなじめず、対人関係でもうまくいかないことから、特徴をつかんで支援につなげていくことが大切です。
生まれつきの障害ではありますが、知的な遅れはなく、学校生活のような手順が決められているようなことは問題なくできます。そのため大人になってから障害に気づく人も多くなっています。
複雑な人間関係や創意工夫を求められる職場などにおいて、アスペルガー症候群の症状によってうまくいかない部分が顕著になるからです。

アスペルガー症候群の歴史

アスペルガー症候群は、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーの名前からつけられた診断名です。
ハンス・アスペルガーは、1944年に「小児期の自閉症精神病質」というタイトルで論文を発表しました。
しかし、1943年にアメリカの精神科医レオ・カナーが早期乳幼児自閉症に関する論文を発表しており、当初、英語圏ではレオ・カナーの論文が影響を与えていました。
しかし、1981年にイギリスの児童精神科医ローナ・ウイングがアスペルガーの業績を紹介し、再評価したことがきっかけで、アスペルガーの論文が注目されました。
ローナ・ウイングは、研究を重ねる中で、自閉症とは診断されていないが、社会性・コミュニケーション・想像力の3つの障害をもつ子どもたちがいることに気づきました。これがアスペルガーの報告したケースと似ていることから、アスペルガー症候群という診断名が適切とされました。

なお、アスペルガー症候群の定義は二つあります。
一つはウイングらが提唱し、イギリスを中心にヨーロッパで主に使われているアスペルガー症候群の概念です。
もう一つは、ウイングの考え方を基本にしたアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV)や国際的な診断基準であるICD-10(国連の世界保健機関による分類)などで定義されているアスペルガー症候群の概念です。

アスペルガー症候群の発生頻度

近年、アスペルガー症候群の人は約100人に1人、つまり1%いると報告されています。
性別との相関関係があり、男性が女性の約4倍多いと言われています。
女性では知的障害を伴うことが多い傾向です。
知的障害や言語の遅れを伴わない女性の場合、アスペルガー症候群特有の社会的困難の現れが目立たず、過少評価されている可能性もあります。
また、知的障害を伴わない自閉症である高機能自閉症とアスペルガー症候群には強い遺伝的な要素があります。

自閉症スペクトラムとの関係

アスペルガー症候群は現在、アメリカ精神医学会の精神疾患の診断基準・診断分類『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)において、「自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)」と呼ばれています。
かつての診断基準においては「広汎性発達障害」として診断されており、その中で障害の症状や程度によって「アスペルガー症候群」「自閉性障害」「レット障害」「小児期崩壊性障害」「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」に分けられていました。
しかし「アスペルガー症候群」「自閉性障害」など、疾患ごとの境界線があいまいで症状が重複する部分も多く、明確に分けることができないことから、それらの状態を連続体(スペクトラム)として包含した診断名にしたのです(レット障害は除外されています)。
そのため「アスペルガー症候群」は「自閉性障害」「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」などとは今まで区別されてきましたが、自閉症スペクトラムとして広く認識されるようになっています。

自閉症スペクトラムとの関係

アスペルガー症候群の症状・特徴

アスペルガー症候群の症状の特徴には3つのポイントがあり、英国の児童精神科医ローナ・ウイングによって「3つ組の障害」と定義されました。

3つ組の障害

  • 社会性の障害
  • 言語コミュニケーションの障害
  • 想像力の障害

それぞれ、どのような特徴があるのか順番に解説していきましょう。

3つ組の障害社会性の障害

「社会性の障害」とは、同年代の人との人付き合いがうまくできないというものです。「浮いている」「空気が読めない」などと言われることがあります。
幼児期においては一人遊びをすることが多く、年上の子供にリードされながら遊ぶことはあっても、同年代の子供のなかではうまくかかわることができません。自分の思い通りになるように仕切ってしまうことが特徴で、思い通りにならないときにはかんしゃくを起こしてしまいます。
そのようなやり取りのなかで周りの子供たちもかかわりをやめてしまうことがあり、一人遊びに戻ってしまうことも多くあります。
また大人の世界では「暗黙のルール」といった、「あえて言わない」「あえてやらない」といったことがありますが、そのようなルール的なものを理解することが難しいといった特徴を持っています。
そのような内容を、やつぎばやに質問するようなこともあり、相手は困惑することも多いのですが、それでも自分が興味を持ってしまったら相手の反応には気づくことが難しいのです。
「臨機応変に対応する」ということも難しく、急な変化についていけないこともあります。環境が変わってしまうことでパニックになってしまうことがあります。

3つ組の障害言語コミュニケーションの障害

「言語コミュニケーションの障害」が特徴ではありますが、話すことができないわけではなく、発達が遅れているわけでもありません。
コミュニケーションの場においては、話や表情によって自分自身の気持ちを表現し、相手の話を聞いたり表情をみて理解していきます。
コミュニケーションが持っている、相手の気持ちを読み取って話をするということが難しいのです。言葉をそのまま理解するため、言葉の持っている裏の意味、例えば皮肉やほのめかしなども理解できないことがあります。
コミュニケーション方法は独特で、自分の興味を持ったことを一方的に話ししてしまったり、相手の言葉をそのまま繰り返してしまうようなことがあります。
不自然だと感じるほどの丁寧な言葉を話す子供もいますし、大人が使っているような言葉をそのまま話す小学生もいます。また普段テレビニュースのアナウンサーのような話し方で話しかけて、違和感を感じることもあります。
曖昧な質問をされた際に、それが何のことを聞かれているのか読み取ることができず、考えられること全て聞き返すということもあります。分かっていないのに分かっているようなつもりになっていることも多いので注意が必要です。
間違った言葉の使い方もよくあります。アスペルガー症候群の子供はよく話をしますし、難しい言葉を使うこともよくあります。ただし理解していないことが多く、反対の意味の言葉を使ってしまうような場面も少なくありません。

3つ組の障害想像力の障害

アスペルガー症候群においては柔軟性に乏しく、融通のきかなさが特徴的であるといえます。
幼少期においても同じものを何時間も見て笑っていたり、ビデオの同じシーンばかり繰り返し見て楽しんでいるようなことがあります。
想像力を働かさなければならないような遊びが苦手で「○○ごっこ」といった「自分がケーキ屋さんだったら」「自分が警察官だったら」などと柔軟にストーリーを作っていくようなことができません。
想定外に起きるようなことに対応できませんから、自ら進んでそのような遊びをすることはありませんし、むしろ「ごっこ遊び」は避けようとします。
ただしコレクションをしたり、情報を集めることは得意で、機械的に記憶するような場面においては周りの人がびっくりするほどの優れた成果や成績を出すことが珍しくありません。
コレクションだけではなく、パターン化されているものは行うことができます。いつもの電車に乗って通学することはできますし、毎朝ポストから新聞を取ったり、窓を開けるようなことも可能です。
ただし柔軟な対応が難しいために、同じ時刻に来るバスが遅れてしまった場合に癇癪を起こすようなことがあります。

アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群ははっきりとした原因が解明されておらず、まだまだ不明な部分もたくさんあるのが現状です。
遺伝的な要素が複雑に絡み合って引き起こされるもので、生まれつきの脳の機能障害によって発現するものだと考えられています。また胎児期の体内環境や周産期のトラブルなどによって、発現の原因になっているという研究データもあります。
アスペルガー症候群の子供を育てているご家庭においては、「育て方が悪かったのだろうか」と悩んでいる人がたくさんおられますが、育児や育て方が原因ではありません。

アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群はいくつもの原因が
重なり合って発症する

アスペルガー症候群の原因は、現在においても研究が進められているような状況で、まだまだ分からない部分もたくさんあります。
現在までの研究において言えることは、一つの原因によって発症するものではなく、いくつもの原因が重なり発現すると考えられています。
そのため、すべての人に当てはまる原因というものはありません。

遺伝的要因について

アスペルガー症候群の原因は、遺伝的要因が大きく関与していることが考えられています。その遺伝的要因が先天的な脳の機能障害を引き起こしているのです。
ただし、さまざまな遺伝子が複雑に絡み合いながら脳の機能障害を起こしていることが分かっていますので、特定の遺伝子を見つけ出すことは容易ではありません。
ただし完全に遺伝子情報が一致している双子においても、発現率が100%ではないことがわかっています。そのため遺伝子情報だけが原因ではないということがいえるのです。

アスペルガー症候群は遺伝するのか

アスペルガー症候群は遺伝的な要因が大きく関与していると考えられていますが、単純に親からの遺伝によって発現するというものではありません。
そのため、親がアスペルガー症候群だといって子供に発現するわけではなく、親がアスペルガー症候群ではないとしても、子供に発現する可能性があるのです。
遺伝子が近ければ近いほど発現しやすいという報告もあるのですが、先ほども申し上げた通り遺伝子情報が一致している双子においても発現は100%ではないのです。
ただし関連している遺伝子を持ち合わせているということや、同じ環境にいることによって発現させる可能性が高くなっている可能性があります。

育て方や愛情不足は原因となるのか

冒頭からお伝えしている通り、アスペルガー症候群の原因は遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合うなかで発現していることが考えられています。
原因については完全に解明されているわけではありませんが、親のしつけや育て方、あるいは愛情不足といった心因的なものについては医学的に否定されています。

アスペルガー症候群の治療方法

アスペルガー症候群は、遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って発現するものであると考えられていますが、 はっきりとしたことはまだまだわかっていないために、根本的な原因を治療することができません。
アスペルガー症候群の人に対して行われる治療については、『薬物療法』と『精神療法』が中心となっています。

薬物療法(薬の役割・種類)

薬物療法(薬の役割・種類)
薬物療法(薬の役割・種類)

アスペルガー症候群には薬物療法が取り入れられていますが、根本的な原因を治療するためのものではありません。
それぞれの人に合った環境の中で工夫しながら生活をしていくことが大事ですが、その中においても生きにくさを感じ、疎外感や無力感などストレスになるようなことも多くあります。
そのためアスペルガー症候群の二次的な症状(二次障害)を引き起こしてしまうことが少なくありません。うつ病や適応障害、強迫性障害などを併発していることも多いのです。
薬物療法においてはその二次障害の対症療法として用いられるものです。
二次障害を引き起こしている人のなかには、抗うつ剤や睡眠導入剤、 抗不安剤、向精神薬病薬などが検討されて処方されています。実際の症状としてイライラしてしまったり、不安になって夜眠れないような場合においては、これらの薬物療法によって一定の効果が見られることもあります。

精神療法(カウンセリング)

精神療法(カウンセリング)
精神療法(カウンセリング)

精神療法(カウンセリング)は「認知行動療法」と呼ばれることもあり、自分自身の行動や考え方の癖を理解し、 対人関係や社会性を身につけていくためのものです。個人で行われることもありますしグループで実践される場合もあります。
行動の特徴として、何かの出来事があるとその出来事に対して考えやイメージが浮かんできます。 その考えやイメージのことを「自動思考」と呼ばれていますが、認知行動療法においては「自動思考」に気づくことがポイントになります。
自分自身の考えやイメージが浮かび行動を起こす際に立ち止まって見て、その時にイメージした自動思考を現実的なものに変えていくことによって、生きやすくなったりストレスを和らげることができます。
精神療法で問題としているものは、アスペルガー症候群の治療を受けている人そのものではなく、考えやイメージだということです。
アスペルガー症候群を発現している人をみると、社会のなかで生きていくことにおいて問題が生じていることが多くあります。 精神療法においては、社会的な振る舞いができるように、体験しながら身につけていくことができるようなシステムになっています。

アスペルガー症候群と
二次障害の関係

アスペルガー症候群は、 「社会性」「言語コミュニケーション」「想像力」の障害によって生きにくさを感じながら生活を強いられます。
発症原因はいまだにはっきりとしたものは分かっておらず、治療法も確立されていませんので、不安やストレスによって二次障害(二次的な症状)を引き起こすことも珍しくありません。
アスペルガー症候群を発現している人はストレスに弱いために、二次障害を引き起こしやすいと考えられています。
現在、アスペルガー症候群の治療によって処方されている薬剤については、二次障害の対処療法によるものです。

うつ病

アスペルガー症候群の人は、さまざまな障害によって対人関係やコミュニケーションがうまくいかず、イライラすることや抑うつ症状、不安、焦燥、意欲低下などがみられることが多くなっています。
そのような状況が長く続いてしまうことによって、ニ次障害としてうつ病を引き起こしてしまうリスクが高くなってしまいます。 実際、アスペルガー症候群の発現している人の60%はうつ病であるというデータも存在します。
仕事など対人関係やコミュニケーションの場面以外では症状が目立たないといった「新型うつ病」も増加傾向にあります。知能には問題がなく、IQや学歴が高いこともありますから周りから理解されず、それがさらにストレスとなりうつ病を悪化させてしまうのです。

強迫性障害

アスペルガー障害を発現している人のなかには、強迫性障害を併発している人の割合が多くなっています。
アスペルガー症候群の特徴として自分の興味を持ったことを一方的に話ししてしまったり、適切ではない言葉を発していることがあります。
それらの行動に対して強迫観念を抱くようになり、強迫性障害を引き起こしてしまうと考えられています。
特にアスペルガー症候群は幼児期においてその存在が見過ごされて、成人になってからはじめて精神科や心療内科に受診するというケースも少なくありません。
受診した際にはすでに二次障害を引き起こしており、むしろ二次障害である強迫観念に悩んで受診し、アスペルガー症候群を指摘されるということがあるのです。

適応障害

アスペルガー障害を発現している人のなかには、適応障害を併発している人の割合も多くなっています。
適応障害とは、ストレスになっている特定の出来事に対して、強い不安や抑うつ症状などが生じる障害です。周りが些細なことだと思っているような状況においても絶望感を感じ、動悸や焦燥感などを感じることがあります。
アスペルガー症候群の症状が場合には、幼児期においても見過ごされることが多く、社会人になってはじめて精神科を受診することも珍しくありません。
精神科や心療内科を受診したときにはすでに二次障害として適応障害を併発させており、この際にはまだアスペルガー症候群の存在に気づけないこともあります。

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アスペルガー症候群の人への
接し方

磁気刺激治療(TMS)とは?

アスペルガー症候群の人への接し方は、障害をしっかりと理解することからスタートします。
特に3つ組の障害と呼ばれる「社会性」「言語コミュニケーション」「想像力」の面において不適切な行動や言動などがあったとしても、理解を示すようにしていかねばなりません。
日々どのような場面で苦痛を感じているのか、生きにくさを感じているのか、またそのような場面においてどのように接していけばいいのかお伝えして行きましょう。

磁気刺激治療(TMS)とは?

行動しやすいように環境を整える

アスペルガー症候群の特徴として、決められたことを決められた通りにすることが得意という側面を持っています。また反対にその場面において想像力を生かしながら物事を進めていくということが苦手です。
例えばその環境のなかで、どのように過ごしていいのか分かりにくかったり、時間がわかりにくいような場合あれば、何をいつまでにどのようにすればいいのか理解することが難しいのです。
もしそのような環境であれば、前もってどのように過ごせば良いのかを伝えるようにしておくと本人の不安が和らぎます。予定していたスケジュールが変更になる場合においても、事前にしっかりと分かりやすく伝えるようにします。
また、言葉だけではその言葉だけでしか判断することができませんので、 手順やスケジュールがイラストや写真などにおいて明確になっていれば分かりやすく伝えることができます。その空間自身も、その過ごし方に専念できるように、空間に間仕切りを入れるなど本人に配慮したものにすることが大切です。

伝えたいことは短く具体的に説明する

伝えたいことや指示したいことは、できる限り短く具体的に説明するようにしましょう。アスペルガー症候群の特徴として「創造性の障害」があります。常識に欠けているのではなく、具体的な説明でなければ、どうすればいいのか理解できないのです。
例えば子供に対しては「片付けてね」では何をどのようにすればいいのか分かりませんので、「このおもちゃをここに入れてね」 という具合に具体的に説明します。
大人に対しても、状況や経緯を紙に書いて把握してもらうなど、整理して伝えることが有効です。

やさしくポジティブに接する

本人のできる部分に着目して、優しく接して行くようにします。できたことに対してはしっかりと褒めることで、本人の自信につなげることができます。
アスペルガー症候群の人は記憶力がいいことが多いので、接する人が感情的になってしまうと、 怒られた印象だけが強く残ってしまうことがあります。騒がしい場面や刺激の多い環境は苦手ですので、大声で叱るようなことはよくありません。
年齢を重ねていくなかで怒られた印象だけが積み重なってしまうと、自信をなくしてしまって不安や抑うつ症状が強くなってしまうことがあります。
用件を伝えるにしても「○○しないで」ではなくて、「○○してください」とやって欲しいこと、できることを明確に伝えるようにします。否定的に物事を伝えられた場合、なぜしてはいけないのかうまく理解することができないのです。

興味があることを伸ばすようにする

アスペルガー症候群の人は、興味があることに対して、周りが驚くほどの能力を発揮することがあります。
人が自然に興味を持ったことに関しては、その部分を伸ばすようにすることで自分の自信につながるのです。
反対に興味があることを周りが変えようとしてもなかなか変えられるものではありません。
大人に対して試すような行動をとったり、わざと困らせるような行動をするようなこともあります。しかしそのような行動は、困らせるためにしているのではなく、行動によって困ることになるという認識ができていないのです。
やっていけないことや悪いことについては、具体的なルールとして理解しやすいように伝えることが適切です。

アスペルガー症候群のセルフチェック

コミュニケーション・社会性

  • 相手の表情を読むことができない、空気をよむことができない
  • 対人関係や友人をつくることが苦手で、友人関係を維持することができない
  • 相手の嘘や悪意がわからず、騙されてしまうことがある
  • キレイな身だしなみのつもりでも、清潔感がないと言われてしまう

想像性・こだわり

  • 違うことを試すよりも、同じやり方にこだわり、何度も繰り返す
  • 悪気がない事実を言ったことで、対人関係が悪化したことがある
  • 物事が予定通り進まないと、動揺して頭が真っ白になってしまう
  • 興味の範囲が狭く、他人の話に興味が持てない

感覚過敏・鈍麻

  • 限定した感覚刺激に対して過剰に反応してしまう(感覚過敏)
  • 飲食店など大勢の人がざわついている場所では相手との会話が聞き取りにくい
  • 偏食がひどく、強臭のものや特定の食感のものが食べられない
  • 季節や気温に合わせた衣服の調節などが、うまくできないと感じる

アスペルガー症候群は、症状も一人一人違うため、状態によっては二次障害も懸念されます。
これらの症状に複数当てはまり、日常生活に支障がでてお悩みの方は、お早めに精神科や心療内科など専門医に相談することをおすすめします。

アスペルガー症候群について
よくいただくご質問

アスペルガー症候群と診断されたのですがどのようなものですか
アスペルガー症候群とは「自閉症スペクトラム障害」に含まれる障害で、「社会性」「言語コミュニケーション」「想像力」の面に障害が見られるものです。ただし周りから障害があるとは気づかれないことも多く、誤解を受けることもありますので生きにくさを感じるようになります。かかわる周りの人たちの理解を得ながら生活していく工夫が必要です。
アスペルガー症候群は薬で治りますか
アスペルガー症候群そのものを治す薬はなく、障害がから生じる二次障害(うつ病や適応障害など)の治療によって薬が用いられることがあります。不安感が強かったり、イライラしたり、眠れないなどの症状があれば服薬によって効果が得られることもあります。
アスペルガー症候群はどこに相談すればいいのですか
子供の場合であれば、児童精神科や小児精神科、大人の場合であれば、精神科や心療内科に相談してみるといいでしょう。また行政の保健福祉センター、障害者相談センター、子育て支援センター、児童相談所などに相談窓口があります。
「自閉症スペクトラム障害」「広汎性発達障害」と診断されたのですが
現在の医療において、アスペルガー症候群は「自閉症スペクトラム障害」の症状のひとつだとされています。また以前は「広汎性発達障害」のなかのひとつの障害として分類されていました。
育て方や愛情不足が原因なのでしょうか
アスペルガー症候群の原因については完全に解明されているわけではありませんが、親のしつけや育て方、あるいは愛情不足といった心因的なものではありません。
アスペルガー症候群の人は犯罪を起こしやすいのですか?
アスペルガー症候群の人が犯罪を起こしやすいという証拠は何もありません。
アススペルガー症候群の人は真面目で規則をきちんと守ることが多い傾向があります。
広汎性発達障害と診断されたら?
広汎性発達障害に、アスペルガー症候群も自閉症も含まれます。
広汎性発達障害は、DSM-IVやICD-10といった国際的診断基準の用語で自閉症、自閉症類似の障害の総称です。知的障害を伴った重度の自閉症も、知的能力の高いアスペルガー症候群も含めて広汎性発達障害です。典型的ではない自閉症を非定型自閉症と呼ぶこともあり、非定型自閉症も広汎性発達障害に含まれます。

アスペルガー症候群と
うつ病について

品川メンタルクリニックは、うつ病専門のクリニックです。
うつ病は、身体的要因、環境的要因、遺伝的要因とさまざまな要因がきっかけで発症する病気といわれています。アスペルガー症候群から合併する可能性も少なくはありません。
うつ病を合併した場合は、うつ病の専門治療が必要となります。品川メンタルクリニックでは、薬に頼らない治療法「磁気刺激治療(TMS)」を中心に、患者さんの心身への負担が少ない治療法を提案しています。

磁気刺激治療(TMS)とは?

品川メンタルクリニックは、日本で唯一の磁気刺激治療(TMS) 専門クリニックです。
うつ病の主な治療方法で抗うつ薬がよく挙げられていますが、抗うつ薬は副作用の他に、長期療養期間が必要になる場合があります。
抗うつ薬でなかなか改善しない、副作用や離脱症状で苦しい、そんな患者さんから選ばれています。薬に頼らない治療法を行うことにより、患者さんの心身の負担が少なくなり、無理のない治療法でうつ病の早期回復が見込めます。
磁気刺激治療(TMS)の主な特徴は治療期間が1ヶ月半~6ヶ月と短いところです。短期集中してうつ病治療が可能です。また、電気けいれん療法とは異なり、入院を必要としません。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

何より、患者さんの心身の負担を一番に考えていますので、抗うつ薬による副作用の心配や治療に対する不安など相談しながらひとりひとりの患者さんに合わせた提案を行っています。

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うつ病かどうかが分かる
「光トポグラフィー検査」

うつ病は医師の主観のみでは診断が難しい病気でもあります。
品川メンタルクリニックでは、厚生労働省認可の光トポグラフィー検査導入により、医師の問診と光トポグラフィー検査の結果を併せたより的確な診断を行っております。
光トポグラフィー検査の結果は、患者さん自身で確認ができますので、現在の状況の把握が可能です。
病気は原因が分かってこそ、適切な治療への第一歩となります。うつ病も同様で、うつ病であるという認識があってこそ、より早い回復につながります。

状態を的確に知ることが大切です!
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アスペルガー症候群は、根が真面目であったり、他人との共感性が乏しかったりすることからうつ病を合併しやすい傾向もあります。
うつ病自体、甘えや怠けと捉えられることもありますが、根が真面目な故に、疲れているのに自分を追い込んだりする傾向のある人がなりやすいとも考えられています。
まずは、うつ病は甘えや怠けではないことを理解し、適切な治療を行うことが大切です。

初村 英逸

監修

初村 英逸(はつむら ひではや)

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック梅田院院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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