買い物依存症について

買い物依存症について
買い物依存症について

物にあふれ、誰でも簡単に買い物ができる現代において、「買い物をする」という行為は何も特別なことではありません。
小腹が空いてコンビニに買い物へ行き、外出時はペットボトルの飲み物を買い、家や電車の中でネットサーフィンをやってはゲームや音楽、服、生活用品を買い……暮らしの一部として、買い物は私たちの生活を支え、時にちょっとした幸せを与えてくれています。

しかし、その買い物がクセとなり、いつの間にか自分でコントロールができないほど衝動買いを繰り返すようになっていれば、それは「買い物依存症」を発症しているかもしれません。
依存症と聞くと、アルコール、たばこ、ギャンブル、薬物などを想像する方も多いでしょう。近年ではそれらの依存症が少しずつ減り、スマートフォンやワーカホリックなど、実に現代的な依存症が増えています。
買い物依存症はその現代的な症状のひとつであり、場合によっては精神科や心療内科で治療の必要な症状にまで進行します。ここでは買い物好きと依存症の違いをご説明します。依存症とは何かをしっかり理解し、「もしかして」「買い物衝動をなんとかしたい」と思う方は、ご自身の暮らしの改善に役立ててください。

買い物依存症とは?

買い物依存症とは読んで字のごとく、病的なほど過剰に買い物をしてしまう人のことです。しかし、世の中には「浪費家」という言葉もあり、買い物依存症との違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
買い物依存症とはどんなものか、ここで一度整理していきましょう。

依存症とは

厚生労働省によると、依存症と呼ばれる症状には「物質への依存」と「プロセスへの依存」という2種類の症状があるといいます。

1.物資への依存

アルコールや薬物など依存性のある物質に対し、量や回数を自分でコントロールできないほど依存してしまうこと。

2.プロセスへの依存

ギャンブルなど特定の行為・課程に対して熱中・執着してしまうこと。

買い物依存症は2つ目のプロセスへの依存にあたり、買った「物」への執着がなく、「買う」というプロセスに依存してしまっている状態です。買い物への自制心が働かず、どんどん高額のものが欲しくなったり、物を買うために借金をして自己破産に至ったりするケースもあり、やがて精神面や身体面に悪影響を及ぼす場合もあります。
うつ病も併発している可能性があるので、早めに専門の医療機関へ相談しましょう。

ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!

買い物依存症の特徴

買い物依存症になりやすい人には、以下のような特徴があります。

・女性に多い
女性は買い物依存症になりやすい傾向にあります。依存症でなくても「趣味がショッピング」という女性は多く、ストレス解消で買い物をしているうちに買い物依存症に陥ってしまうというケースも少なくありません。
・生真面目な性格
精神的な問題と密接な関係がある買い物依存症は、うつ病になる人や自殺をする人と同じく、「責任感が強い人」「真面目な人」ほどかかりやすい傾向があります。人に甘えたり本心を出したりするのが苦手なため、自分でストレスを発散させる方法として買い物に依存してしまうのです。
・虚栄心が人一倍強い
劣等感や虚栄心が強い人は周囲からの賞賛を求め、ブランドもののカバンや洋服、高級車など無理をしてでも手に入れようとしがち。「高級なものを持つこと」で自分に価値を感じ、もっと自分に価値をつけようと買い物に依存していきます。
・自分に自信がない
自分に自信がない人が多いのも買い物依存症の特徴です。人の顔色をうかがうことがクセになっており、知らず知らずのうちに満たされない孤独を抱えています。買い物をすることそのもの、または物を手に入れるという行為で、さみしさや虚しさを埋めようとしてしまうのです。

買い物依存症の原因

買い物依存症になりやすい人の特徴を見るだけでも、その行動の背景には、生活の中でストレスや虚しさを抱えていたり、自分の価値を「物を持つことで高めよう」という気持ちが隠れていることがわかります。
依存症まで発展してしまうには幼少期の過ごし方など人それぞれの要因が考えられますが、世の中の環境に根本的な原因がひそんでいます。

・ストレスが溜まりやすい社会傾向
誰もが簡単に情報を集められる現代では、消費者やクライアントの欲求があがり、会社に求められるサービスの水準が高まることでそこで働いている人たちの能力のも向上が期待されるばかりです。しかし、真面目に働いたからといって報酬が伴うとも限らず、個人が担う責任が大きくなる傾向が見られます。
ストレスを溜め込みやすい人ほど、ストレスのはけ口として買い物にのめり込んでいってしまうのです。
・クレジットカード、スマホ決済(キャッシュレス・電子決済)キャッシングが簡単に使える環境
誰でも簡単にクレジットカードをつくれるようになり、各会社のサービスの特徴に合わせて複数枚のカードを持っている人は多いはず。働く世代のほとんどの人は手持ちの現金がなくても支払いに困ることはないでしょう。また最近では、Apple、PayPay、LinePayなどスマートフォンで決済するアプリも多数あります。
特に、カードは現金に比べ「お金を使っている」という認識が低くなり、使いすぎる傾向を助長しています。
・ネットショッピングの普及と認知度の上昇
買い物は実店舗からインターネットの中が主流の時代へ。以前は、ネットショッピングの認知度自体が低く、詐欺などを警戒して利用者が少ない傾向にありましたが、家にいながら簡単に買い物ができる便利さに今や幅広い世代がインターネットでの買い物を自然と利用しています。

社会のIT化が進み、「便利」「簡単」はサービスの最重要事項になりました。実際に人々の暮らしは、アナログの時代に比べれば効率的で無駄がなくなっているでしょう。その一方で、便利過ぎる故に、お金を使う感覚など昔なら当たり前にあったはずの「行動への実感」「意識」が希薄になっている傾向があります。
買い物依存症の改善には、この実感や意識を取り戻していくことが必要不可欠です。

買い物依存症セルフチェック

買い物依存症セルフチェック
買い物依存症セルフチェック

自分は買い物に対してどのくらい依存しているのか、「買い物依存症チェックリスト」でチェックしてみましょう。

買い物依存症チェックリスト

  • 不安感やイライラ感は買い物で解消する
  • 人が持っている旬のアイテムを見ると欲しくてたまらなくなる
  • ウィンドウショッピングのつもりでも、最後には必ず買ってしまう
  • 店員に褒められるのが気持ちよく、頻繁に店舗へ通っている
  • いい物を人より安く買えると快感を覚える
  • 必要以上にクレジットカードを持っている、いろんなカードを使っている
  • 「ポイントが貯まる」という理由でクレジットカードを使うことが多い
  • 一日でも買い物をしない日がない
  • 買うだけ買って後悔することが多い
  • これを読んでいる今も「あれが欲しい」と考えている
  • 部屋に不要なものばかり溜まっていく、部屋中に散らかっている

【◯が7個以上】
買い物依存症に近い状態です。すでに発症している可能性も考えられます。

【◯が3~6個】
買い物依存症予備軍です。ちょっとしたきっかけでスイッチが入る可能性があります。

【◯が0~2個】
現時点では計画的に買い物ができているといえます。

買い物依存症治療方法

買い物依存症は治療によって一時的な衝動を抑えられても、トラウマなど根本の問題に向き合わないかぎり、再発を繰り返してしまう可能性があります。
なぜ「買い物をしたい」と思い、それがコントロールできないのか、過去を紐解きながら根本的な問題を解消していく必要があります。「依存」はすでに自分でどうにかできる状態ではありません。精神科や心療内科で、専門家によるカウンセリングを受けることを検討しましょう。
その上で、普段の生活の中では以下のようなことを取り組むことをおすすめします。

・家計簿を作成する
買い物依存症改善の一歩は、どれだけお金を使っているのか把握すること。まずは家計簿をつけて自分のお金の使い方を認識しましょう。
・お金を貯めるクセをつける
持っているお金を使い切るのではなく、小額でいいので貯めるクセをつけましょう。貯める口座は使う口座と別にして、クレジットカードの引き落とし口座からはずし、キャッシュカードを持ち歩かないことがコツです。
毎月定額を自動で別口座に振り込んでくれる銀行のシステムを利用してみるのもひとつの手です。口座間の移動で現金を目にしないので、お金が手元に残っているという感覚になりにくいでしょう。
・定期預金を利用する
定期預金とは、一度貯金したお金を一定期間引き落とすことができない貯金システム。満期になるまでおろせないので、貯金が苦手な人に向いています。
・クレジットカードを使わない
一番いいのは、クレジットカードを解約すること。使えるカードがなければ、必然的に現金以上の買い物はできなくなります。荒療治ですが、使ったお金が見えず、「限度額=自分が持っているお金、使っていいお金」と勘違いしやすい依存の元を絶つ勇気も必要です。
・買い物以外のストレス解消を見つける
買い物以外の趣味や楽しみを見つけましょう。人との交流を増やすなどして、人と過ごす時間が増えると買い物のことばかり考えにくくなります。
・自律神経を整える
ご自身にストレスへの耐性をつけることも大切です。規則正しい生活を送ること、栄養バランスが取れた食事を心がけること、寝る前に軽い運動をして質の良い睡眠を取ることなどを心がけましょう。
・日記を書く
今、自分が感じていることをありのままに書いてみること。感情を文字にすることは、自分を客観的に見たり、自分と向き合ったりするのに効果的で、書いた後妙にスッキリとした気分になれます。ブログなどで人に見せる言葉を書くのではなく、感情をはき出すことが大切です。
・ネットサーフィンをしない
今のインターネット画面は、利用者の傾向を分析して、これまで検索していた内容や好みそうなサイトを自動で表示してくれます。これが収まりかけていた買い物欲求を高めてしまうので、ショッピングサイトを開かないことはもとより、「ネットを見ない」努力も必要です。
・買い物を極端に我慢しない
何でもそうですが、極端に押さえつけるとその反動も大きくなります。根本的な買い物依存症の改善をするためにも、買い物を我慢しすぎるより、価値のあるものやサービスに対してはしっかりと使い、価値のないものやサービスに対しては使わない、という「お金の使い方」を変えるようにしましょう。買ったものに対して「投資」「消費」「浪費」の3種類の価値をつけて考えるのがおすすめです。

【投資】買ったものに、払った以上の価値がある
【消費】買ったものに、払った額と同じ価値がある
【浪費】買ったものに、払った額以下の価値しかない

浪費を減らし、できる限り投資を増やし、消費も許す。例えば、買ったまま一度も着ていない服は浪費だと理解し、買う前に本当に欲しいものかどうか考えるクセをつけると買いすぎを防止しやすくなります。
また、依存症は本人の意思のみで解決することが難しいことも理解しておきましょう。
本人には自覚がない場合が多く、家族も的確な知識がなく、この状況が恥ずかしいと考えたりします。そのため、周囲に相談をすることが出来ず、状況が増々悪化することもあります。少しずつ状況が悪化していくと、うつ病などの併発も考えられてきます。
うつ病を併発すると、うつ病の治療が必要になります。
うつ病は早い段階で発見できれば、早期回復が見込める病気です。
ぜひ、本人と一緒に精神科や心療内科へ相談に行くことをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けた上で、本人とどのように関わっていくかを考えていきましょう。

ご家族も本人と一緒に、
ご相談ください。

うつ病を併発したら、
どうしたらいいの?

買い物依存症は、ストレスや抑うつ状態が関係している可能性が高く、買い物への依存だけを治療しようと思ってもうまくいかないケースが多く見られます。もしうつ病を併発しているのであれば、買い物依存症の解消ではなく、根本的な原因を探る適切な「うつ病の治療」を行う必要があります。

まずは自分の買い物依存がうつ病を併発しているかどうか、「うつ病セルフチェック」を行うことでご自身の状態をチェックしてみましょう。

うつ病かな?と思ったら、
まずはセルフチェック!

心身に負担が少ない治療を
品川メンタルクリニックで

品川メンタルクリニックで行うのは、買い物依存症の改善ではなく、買い物依存症によって併発してしまったうつ病の治療です。買い物は本来と楽しいものですが、どれだけ買い物をしてもいつも心が満たされない、買ったものを見るたび自己嫌悪に陥るなどの症状が日に日にひどくなるようなら、精神科や心療内科の受診を考えましょう。
品川メンタルクリニックでは、患者さんの心身の負担を最小限にし、最大限の治療効果が得られる検査と治療に全力で取り組んでいます。

現在の状態を客観的に把握する
「光トポグラフィー検査」とは

脳の血流を数値でグラフ化する厚生労働省認可の検査です。
人はストレスが溜まると脳の血流が悪くなり、その血流の悪さがうつ病のリスクを高めると考えられています。この検査では、安全な近赤外光で頭部の血流を測定し、健常、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症のパターンを判別し、状態を客観的に把握していきます。
光トポグラフィー検査の全体の所要時間は約15分。検査結果をもとに、医師の問診と合わせて状態を分析していきますので、より的確な診断が可能です。

状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!

薬に頼らないうつ病治療
「磁気刺激治療(TMS)」とは

磁気刺激治療は、薬を使わないうつ病の新しい治療法です。うつ病によって血流の悪くなった背外側前頭前野(判断、意志、興味などに働き、恐怖や不安、悲しみ、自己嫌悪などの感情をつかさどる扁桃体のバランスを整える脳)を磁気で刺激し、脳を正常に働かせていきます。約1ヵ月半~6ヵ月という短い治療期間で効果が出やすい治療であり、品川メンタルクリニックで行われた治療ではこれまで約8割の人に症状の改善が見られました。

短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!

品川メンタルクリニックでは家族が買い物依存症の疑いがある場合などには、買い物依存症本人とご家族一緒のご相談も受付けています。ご家族の問題だからとひとりで抱え込まず、専門家と一緒に解決策を考えていきましょう。

渡邊 真也

監修

渡邊 真也(わたなべ しんや)

2008年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニック院長。精神保健指定医。

品川メンタルクリニックはうつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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