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夜驚症とは?原因・症状・対策を分かりやすく解説

夜驚症は、睡眠中に突然、恐怖やパニックを伴って目を覚ます現象です。
特に子供によく見られますが、大人にも起こることがあります。
この記事では、夜驚症の原因や具体的な症状、ご家庭でできる対処法から専門的な治療法、そして医療機関を受診すべきタイミングまでを詳しく解説します。
夜間の発作にお悩みの方や、ご家族に夜驚症の方がいらっしゃる方は、ぜひ参考にしてください。

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夜驚症とは?基本的な知識

夜驚症(やきょうしょう)は、睡眠中に突然、強い恐怖を感じて叫び声を上げたり、飛び起きたりする睡眠障害の一つです。
医学的には「睡驚症(すいきょうしょう)」とも呼ばれ、ノンレム睡眠中に起こる異常行動として分類されます。

睡眠は、レム睡眠(急速眼球運動を伴う眠り、夢を見やすい)とノンレム睡眠(深い眠り)が約90分周期で繰り返されています。
夜驚症の発作は、主に深いノンレム睡眠の段階、つまり眠りについてから最初の数時間の間に発生することが多いのが特徴です。
発作中は完全に覚醒しているわけではなく、意識が朦朧としており、呼びかけにも反応しにくい状態です。
発作が終わると再び眠りにつき、朝にはその出来事を覚えていないことがほとんどです。

夜驚症は特に幼児から学童期にかけての子供に多く見られますが、思春期以降や成人になってから発症するケースもあります。
一般的には成長と共に自然に改善することが多いとされています。

夜驚症と悪夢の違い

夜驚症とよく似た現象に「悪夢」がありますが、これらは発生する睡眠段階や症状に大きな違いがあります。

特徴 夜驚症(睡驚症) 悪夢
発生する睡眠段階 主に深いノンレム睡眠(眠り始めの数時間) 主にレム睡眠(朝方に近い時間帯)
覚醒度 完全に覚醒しない、意識が朦朧としている ある程度覚醒する
発作中の行動 叫ぶ、泣く、飛び起きる、走り回る、強い恐怖・パニック 動かないことが多い、うなされる程度
内容の記憶 ほとんど覚えていない 内容を鮮明に覚えていることが多い
呼びかけへの反応 反応しにくい、呼びかけられても余計混乱する場合がある 呼びかけに反応し、覚醒させやすい
再入眠 発作後に比較的スムーズに眠りに戻る 不安や恐怖から目が覚め、再入眠しにくい場合がある

このように、夜驚症は「体が反応するノンレム睡眠中のパニック状態」、悪夢は「夢の内容を伴うレム睡眠中の精神的な恐怖体験」と理解すると違いが分かりやすいでしょう。
夜驚症の発作は傍で見ている家族にとっては衝撃的ですが、本人はその時の恐怖を覚えていません。
一方、悪夢は本人にとっての苦痛が大きく、目が覚めてからも恐怖や不安が残ることがあります。

夜驚症の主な症状

夜驚症の症状は、子供と大人で共通する部分も多いですが、現れ方や日常生活への影響には違いが見られることがあります。
ここでは、それぞれの具体的な症状について詳しく見ていきましょう。

子供の夜驚症の具体的な症状

子供の夜驚症は、親御さんにとって非常に心配になる症状が現れます。
典型的には、眠りについてから1~3時間後の深い眠りの最中に突然始まります。

  • 突然の絶叫や叫び声: 何か強い恐怖を感じているかのように、突然大きな声で叫び始めます。
  • 恐怖やパニックの表情: 目を見開いて一点を見つめたり、顔がこわばったり、ひどく怯えているような表情をします。
  • 激しい体の動き: ベッドから飛び起きる、体を起こして座る、手足をばたつかせる、時には寝室から走り出そうとすることもあります。
  • 心拍数や呼吸の増加: 発作中は心臓がドキドキと速く打ち、呼吸も荒くなります。
  • 発汗: 額や体に大量の汗をかくことがあります。
  • 呼びかけへの無反応: 親が声をかけたり、抱きしめたりしても、反応が鈍く、認識していないように見えます。無理に起こそうとすると、余計に混乱したり抵抗したりすることがあります。
  • 発作後の急速な再入眠: 発作は数分から10分程度で自然に収まり、その後何事もなかったかのように再び眠りにつきます。
  • 発作の記憶がない: 朝起きた時には、夜中にそのような発作があったことを本人は全く覚えていません。

これらの症状は、子供が何か恐ろしいものを見ている、あるいは感じているように見えるため、親は非常に不安になります。
しかし、これは意識的な行動ではなく、睡眠中の生理現象の一つとして起こっていると考えられています。
頻度は個人差があり、毎晩のように起こる子もいれば、数週間に一度、あるいは数ヶ月に一度という子もいます。

大人の夜驚症の症状と特徴

大人の夜驚症は子供よりも珍しいですが、症状が現れることがあります。
基本的な症状は子供と似ていますが、大人の場合はより複雑な行動を伴うことや、精神的な要因が関連していることが多いのが特徴です。

  • 突然の覚醒と恐怖: 子供と同様に、深いノンレム睡眠中に突然、強い恐怖やパニックと共に目覚めます。
  • 叫び声やうめき声: 大きな声で叫んだり、苦しげなうめき声を発したりします。
  • 複雑な行動: ベッドから起き上がるだけでなく、歩き回る(睡眠時遊行症/夢遊病と合併しやすい)、物を投げたり壊したりする、攻撃的な行動をとるなど、より複雑で危険な行動を伴うことがあります。
  • 混乱と見当識障害: 目覚めた後も数分間、場所や状況が理解できない混乱した状態が続くことがあります。
  • 呼びかけへの反応: 子供と同様に呼びかけに反応しにくく、無理に起こそうとすると混乱や攻撃性が増す可能性があります。
  • 発作の記憶: 発作中の出来事について、断片的なイメージや強い感情(恐怖など)を覚えていることはありますが、詳細な内容を鮮明に記憶していることはほとんどありません。
  • 昼間の眠気や疲労: 頻繁に発作が起こる場合、睡眠の質が低下し、日中に強い眠気や疲労感を感じることがあります。
  • 社会生活への影響: 同居している家族やパートナーの睡眠を妨げたり、発作中の行動によって自分や他者を傷つける危険性から、本人や周囲の人が不安を感じ、社会生活や人間関係に影響が出ることがあります。

大人の夜驚症は、子供のように自然に改善することが少なく、ストレスや睡眠不足、特定の薬剤、あるいは他の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)や精神疾患(PTSD、うつ病、不安障害など)が背景にあることが多いです。
そのため、単なる一過性の現象として片付けず、専門的な評価が必要となる場合があります。

夜驚症の原因は何?

夜驚症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
特に睡眠のサイクルの乱れや、脳の覚醒と睡眠の切り替えがスムーズに行われないことが関与しているとされています。

子供の夜驚症の主な原因

子供の夜驚症は、主に脳の中枢神経系の機能がまだ発達途中であることが関連していると考えられています。

  • 脳機能の未熟性: 睡眠中の脳は、深い眠りから覚醒へとスムーズに移行する機能を持っていますが、子供の場合、この機能がまだ十分に成熟していないため、ノンレム睡眠中に中途半端に覚醒してしまい、パニック状態に陥ると考えられています。成長と共に脳が成熟するにつれて、自然に改善していくことがほとんどです。
  • 遺伝的要因: 家族の中に夜驚症や睡眠時遊行症などの睡眠障害を持つ人がいる場合、子供も発症しやすい傾向があります。遺伝が関与している可能性が指摘されています。
  • 睡眠不足と疲労: 十分な睡眠が取れていない、あるいは過度に疲れていると、深いノンレム睡眠の割合が増加し、夜驚症の発作が起こりやすくなります。
  • 不規則な睡眠スケジュール: 就寝時間や起床時間が日によって大きく異なるなど、睡眠リズムが乱れることも発作の引き金となり得ます。
  • 発熱: 風邪などで体温が上昇すると、睡眠の質が変化し、夜驚症の発作を引き起こすことがあります。
  • ストレスや不安: 環境の変化(転園・転校、引越し、兄弟の誕生など)、家庭内の問題、学校での悩みなど、子供がストレスや不安を感じている時に夜驚症が起こりやすくなることがあります。
  • 特定の薬剤: 抗ヒスタミン薬など、一部の薬剤が睡眠パターンに影響を与え、夜驚症の発作を引き起こす可能性があります。

これらの要因が単独であるいは複合的に作用して、子供の夜驚症を引き起こしていると考えられています。
多くの場合、根本的な病気が原因ではなく、成長に伴う一時的な現象として捉えられます。

大人の夜驚症を引き起こす要因

大人の夜驚症は、子供の頃から持続しているケースと、成人になってから新たに発症するケースがあります。
大人の夜驚症は、子供のケースとは異なり、様々な心理的・身体的な要因が複雑に関与していることが多いです。

  • 睡眠不足と不規則な睡眠: 子供と同様に、大人にとっても睡眠不足やシフトワークなどによる不規則な睡眠は夜驚症の大きなリスク要因となります。深いノンレム睡眠が増えることで、異常行動が起こりやすくなります。
  • ストレスと心理的要因: 仕事や人間関係のストレス、過労、不安、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患は、大人の夜驚症の重要な引き金となります。特にPTSDでは、トラウマ体験に関連する内容の夜驚が起こることがあります。
  • アルコールや薬物: 就寝前のアルコール摂取は睡眠の質を低下させ、夜驚症のリスクを高めます。また、抗うつ薬や精神安定剤など、特定の向精神薬が睡眠パターンに影響を与え、夜驚症を誘発または悪化させることがあります。
  • 他の睡眠障害: 睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、睡眠中に呼吸や体の動きに異常がある他の睡眠障害を合併している場合、夜驚症が起こりやすくなることがあります。これらの睡眠障害は、睡眠構造を乱し、ノンレム睡眠中の覚醒障害を引き起こしやすくするためです。
  • 発熱や体の不調: 風邪やその他の病気による発熱や体調不良も、一時的に夜驚症を引き起こす要因となり得ます。
  • 遺伝的要因: 子供の場合と同様に、家族歴も大人の夜驚症の発症に関与している可能性があります。

大人の夜驚症の場合、背景に潜む他の睡眠障害や精神疾患、ストレス、生活習慣などを総合的に評価し、それらに対応することが重要となります。

嬰兒の夜驚原因について

乳児期に見られる夜間の突然の覚醒や泣き叫びは、しばしば「夜驚症」と混同されることがありますが、医学的な夜驚症とは区別されることが多いです。
乳児の夜間の覚醒や泣きは、主に以下のような原因によるものです。

  • 睡眠サイクルの確立途上: 乳児はまだ睡眠パターンが不安定で、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルや、各睡眠段階の長さが発達途上です。睡眠段階の移行時に目が覚めやすかったり、浅い眠りの時間帯に刺激を受けやすかったりします。
  • 空腹や不快感: お腹が空いた、おむつが濡れている、暑い、寒いなどの生理的な不快感によって目が覚め、泣くことが最も一般的な夜間の覚醒理由です。
  • 病気や体調不良: 発熱、痛み、鼻詰まりなど、体調が悪い時も夜泣きや夜間の覚醒が増えます。
  • 日中の刺激: 日中に強い刺激を受けすぎたり、興奮したりした場合に、夜間の睡眠が不安定になることがあります。

乳児期の夜間の覚醒や泣きは、成長と共に睡眠パターンが安定するにつれて自然に減少していくことがほとんどです。
医学的な夜驚症のように、強いパニックや複雑な行動を伴うことは稀で、呼びかけや授乳、抱っこなどで比較的容易に落ち着かせることができます。
乳児期の夜泣きが気になる場合は、まず小児科医に相談し、生理的な問題や他の病気が原因でないかを確認することが大切です。

夜驚症はいつまで続く?(子供・大人)

夜驚症の持続期間は、発症した年齢や原因によって大きく異なります。
子供の場合は一時的なことが多く、大人になってから発症あるいは持続する場合は、より注意が必要となることがあります。

子供の夜驚症の一般的な経過と期間

子供の夜驚症は、一般的に予後が良い睡眠障害です。

  • 好発年齢: 幼児期(3~8歳頃)に最も多く見られます。この時期は、脳の中枢神経系が急速に発達している段階であり、睡眠パターンも変化しやすい時期にあたります。
  • 自然消失: 多くの子供の場合、夜驚症は思春期を迎えるまでに自然と見られなくなることが多いです。脳の成熟が進むにつれて、睡眠中の覚醒コントロールが上手くできるようになるためと考えられます。
  • 頻度の変動: 発作の頻度は一定ではなく、ストレスや疲労、病気などが重なった時に一時的に増えることがあります。
  • まれなケース: 思春期以降も続く子供もいますが、その場合は他の睡眠障害や心理的な問題が背景にある可能性も考慮する必要があります。

子供の夜驚症は、成長の一段階として捉えられることが多く、特別な治療をしなくても自然に改善することがほとんどです。
ただし、あまりに頻繁であったり、子供自身や家族が怪我をする危険があるような場合は、専門家に相談することを検討しましょう。

大人の夜驚症が頻繁に起こる場合

大人の夜驚症は、子供のように自然に改善することが少ない傾向があります。

  • 持続または再発: 子供の頃に夜驚症があった人が、成人になってからストレスや睡眠不足などをきっかけに再発したり、子供の頃から持続したりするケースがあります。
  • 他の要因との関連: 大人の夜驚症が頻繁に起こる場合、背景に他の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など)や精神疾患(うつ病、不安障害、PTSDなど)が潜んでいる可能性が高まります。これらの要因が解決されない限り、夜驚症も持続しやすい傾向があります。
  • 日常生活への影響: 頻繁な発作は睡眠の質を著しく低下させ、日中の強い眠気や疲労、集中力低下を引き起こし、仕事や学業、人間関係に影響を与えることがあります。また、発作中の複雑な行動は、本人や同居者を危険にさらす可能性もあります。
  • 治療の必要性: 大人の夜驚症で頻繁に発作が起こる場合や、本人・家族が困っている場合は、自然に改善するのを待つのではなく、専門的な評価と治療が必要になることがほとんどです。原因となっている他の問題を特定し、それに対する治療を行うことで、夜驚症の改善が期待できます。

大人の夜驚症は、単なる睡眠中の異常行動としてだけでなく、より深い心身のサインとして捉えることが重要です。
頻繁に発作が起こる場合は、自己判断せず、専門医の診察を受けることを強く推奨します。

夜驚症の治療法と対処法

夜驚症の治療や対処法は、その人の年齢や症状の頻度・重症度、そして原因となっている可能性のある要因によって異なります。
子供の場合は家庭での対処が中心となることが多い一方、大人の場合は専門的な治療が必要になるケースが多いです。

子供に対する家庭での改善策

子供の夜驚症は、特別な治療を必要としないことが多いですが、発作の頻度を減らしたり、安全を確保したりするために、ご家庭でできるいくつかの対策があります。

  • 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにするなど、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
    十分な睡眠時間を確保することが最も重要です。
  • 睡眠環境の整備: 寝室を快適な温度・湿度に保ち、暗く静かにすることで、質の良い睡眠を促します。
  • 就寝前のリラックス: 就寝前には、激しい遊びやテレビゲームなどを避け、絵本の読み聞かせや静かな音楽を聴くなど、リラックスできる時間を作りましょう。
  • 発作中の対応: 発作が起きた時は、無理に起こそうとせず、まずは子供の安全を確保することを最優先に考えます。
    ベッドから落ちないように見守ったり、ぶつかりそうな危険なものを片付けたりします。
    優しく声をかけるのは良いですが、強く揺すったり大声を出したりすると、かえって混乱を招くことがあります。
    発作が自然に収まるのを待ち、再び眠りにつくのをサポートします。
  • 「予期覚醒法」: 毎日同じ時間帯に夜驚症が起こる場合、その発作が始まる少し前(例えば15分前)に子供を優しく起こし、完全に目が覚めない程度に数分間覚醒させてから再び寝かせるという方法が有効な場合があります。
    これを1週間ほど続けることで、睡眠パターンが変化し、夜驚症が起こりにくくなることがあります。
    行う際は、無理強いせず、子供が嫌がらない範囲で行いましょう。
  • 日中のストレス軽減: 日中のストレスや不安が原因となっている可能性がある場合は、子供の話をよく聞き、安心させてあげることが大切です。
    遊びの時間や休息時間を十分に確保し、プレッシャーをかけすぎないように配慮しましょう。

これらの家庭での対策は、子供の夜驚症の改善に役立つだけでなく、子供の全体的な睡眠の質や心身の健康にも良い影響を与えます。

大人向けの夜驚症対処法

大人の夜驚症は、子供とは異なり、背景に様々な要因が隠れていることが多いため、根本的な原因へのアプローチと並行して、以下の対処法を行います。

  • 睡眠衛生の改善:
    • 規則正しい睡眠スケジュール: 毎日同じ時間に寝て起きるようにし、睡眠時間を十分に確保します。週末の寝だめは避け、体内時計を整えることを意識します。
    • 快適な寝室環境: 寝室を暗く、静かに、そして快適な温度に保ちます。寝具も自分に合ったものを選びましょう。
    • カフェイン・アルコールの制限: 就寝前のカフェインやアルコール摂取は、睡眠の質を悪化させ、夜驚症を誘発する可能性があるため控えます。
    • 就寝前のルーティン: 就寝前にリラックスできる活動(ぬるめのお風呂、読書、ストレッチなど)を取り入れ、心身を落ち着かせます。
  • ストレスマネジメント: ストレスは大人の夜驚症の主要な原因の一つです。
    適度な運動、瞑想、ヨガ、趣味など、自分に合った方法でストレスを解消する工夫を取り入れましょう。
    必要であれば、心理療法(認知行動療法など)も有効です。
  • 発作の予期覚醒法: 子供の場合と同様に、決まった時間帯に発作が起こる場合は、その少し前にアラームをセットして一度目を覚ますという方法が有効なことがあります。
    完全に目を覚ます必要はなく、数分間覚醒してから再び眠りにつくことで、睡眠パターンをリセットします。
  • 安全対策: 発作中に複雑な行動をとる可能性がある場合は、寝室や家の安全対策を行います。
    危険なものを片付ける、窓やドアの鍵をかける、ベッドの近くに固いものや鋭いものを置かないなどの配慮が必要です。

これらの対処法は、大人の夜驚症の症状を軽減するために役立ちますが、症状が重い場合や、背景に他の病気が隠れている場合は、専門医の診断と治療が必要です。

専門的な夜驚症の治療

夜驚症の発作が頻繁で重症な場合、本人や家族の安全が脅かされる場合、あるいは大人の夜驚症で背景に他の睡眠障害や精神疾患が疑われる場合は、医療機関での専門的な治療が必要となります。

  • 診断: 医師は詳細な問診を行います。
    夜驚症の症状、発作の頻度やタイミング、持続時間、発作中の行動、家族歴、日中の眠気、ストレスレベル、服用中の薬などについて詳しく聞かれます。
    必要に応じて、睡眠ポリグラフ検査(PSG)と呼ばれる睡眠中の脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心拍数などを記録する検査を行い、夜驚症以外の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)の合併がないかを確認します。
  • 原因へのアプローチ: 睡眠不足、ストレス、他の睡眠障害、精神疾患など、夜驚症の背景にある原因が特定された場合は、まずその原因に対する治療を行います。
    例えば、睡眠時無呼吸症候群に対してCPAP療法を行ったり、うつ病や不安障害に対して薬物療法や心理療法を行ったりすることで、夜驚症も改善することがあります。
  • 行動療法: 上述の「予期覚醒法」は、医療機関で指導を受けて行うこともあります。
    また、睡眠衛生指導やストレスマネジメントのための認知行動療法なども有効です。
  • 薬物療法: 夜驚症に対する薬物療法は、通常、症状が非常に重く、他の対処法で改善が見られない場合に限られます。
    短期間、ベンゾジアゼピン系薬剤(クロナゼパムなど)が処方されることがあります。
    これは、深いノンレム睡眠を減らし、発作が起こる可能性のある睡眠段階を変える効果が期待できるためです。
    ただし、これらの薬剤には副作用や依存性のリスクがあるため、専門医の指導のもと、慎重に使用されます。

専門医は、患者さんの状態を総合的に評価し、最も適した治療計画を提案します。
夜驚症だけでなく、合併している可能性のある他の問題を診断し、包括的なアプローチを行うことが重要です。

夜驚症で受診すべきか?(何科に行く?)

夜驚症は多くの場合、自然に改善する良性の睡眠障害ですが、特定の状況下では専門医の診察を受けることが推奨されます。
ここでは、どのような場合に受診を検討すべきか、そして何科を受診すれば良いかについて解説します。

夜驚症で医師に相談するタイミング

以下のいずれかに当てはまる場合は、一度専門医に相談することを検討しましょう。

  • 発作が頻繁で、本人や家族の睡眠の質が著しく低下している: 毎晩のように発作が起こる、あるいは一晩に複数回起こるなど、頻度が高く、本人や同居している家族が十分な睡眠を取れていない場合。
  • 発作中の行動が激しく、本人や家族が怪我をする危険がある: ベッドから飛び降りる、物を投げたり壊したりする、寝室から走り出そうとするなど、危険を伴う行動が見られる場合。
  • 大人の夜驚症: 子供の頃から夜驚症が続いている、あるいは成人になってから新たに発症した場合。
    大人の夜驚症は、他の睡眠障害や精神的な問題が隠れている可能性が高いため、早期の評価が重要です。
  • 日中の症状(強い眠気、疲労、集中力低下など)がある: 夜間の発作によって睡眠が分断され、日中の生活に支障が出ている場合。
  • 夜驚症以外の睡眠中の異常行動や症状を伴う: 睡眠時無呼吸(いびき、呼吸の停止)、むずむず脚、歯ぎしりなど、夜驚症以外の睡眠障害の症状が見られる場合。
  • 本人や家族が夜驚症について強い不安やストレスを感じている: 発作が起こることへの恐怖や、どう対処すれば良いか分からないといった不安が大きい場合。
  • 家庭での対処法を試しても改善が見られない場合: 規則正しい生活や睡眠環境の改善など、できる範囲の対策を試しても症状が変わらない場合。

これらのサインは、単なる一時的な現象ではなく、より専門的な診断や治療が必要な状態である可能性を示唆しています。

夜驚症は何科を受診すれば良い?

夜驚症について相談できる医療機関はいくつかあります。
患者さんの年齢や状況によって、最初に相談すべき診療科が異なります。

患者さんの年齢・状況 推奨される診療科の例 備考
子供(乳幼児~学童期) 小児科 まずはかかりつけの小児科医に相談するのが一般的です。
必要に応じて専門医を紹介してもらえます。
大人 睡眠外来(睡眠専門医)
精神科 / 心療内科
神経内科
睡眠障害全般を専門とする睡眠外来が最も適しています。
ストレスや精神的な問題が関連している場合は精神科や心療内科、神経系の疾患が疑われる場合は神経内科も選択肢となります。
他の睡眠障害(いびき、無呼吸など)が疑われる場合 呼吸器内科 または 睡眠外来 睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合は、これらの科で診察を受けられます。
大きな病院の専門外来 睡眠センター精神神経科小児精神科 の専門外来 診断や治療が難しい場合や、他の疾患が強く疑われる場合は、設備が整った大きな病院の専門外来が適しています。

可能であれば、睡眠障害専門医がいる医療機関を受診するのが望ましいですが、まずは身近なかかりつけ医(子供なら小児科、大人ならかかりつけ医や内科)に相談し、必要に応じて適切な専門医を紹介してもらうという方法でも良いでしょう。
受診する前に、夜驚症の症状について具体的にメモしておくと、医師に伝えやすくなります。

まとめと監修情報

夜驚症(睡驚症)は、ノンレム睡眠中に起こる覚醒障害の一種で、睡眠中の突然の恐怖やパニックを伴う現象です。
特に子供に多く見られますが、大人にも起こることがあります。
悪夢とは異なり、発作中の出来事を本人はほとんど覚えていません。

子供の夜驚症の主な原因は脳機能の未熟性と考えられており、多くは成長と共に自然に改善します。
十分な睡眠確保や規則正しい生活、リラックスできる睡眠環境作り、発作時の安全確保などが家庭での主な対処法です。

大人の夜驚症は、睡眠不足、ストレス、他の睡眠障害、精神疾患などが複雑に関与していることが多く、自然に改善しにくい傾向があります。
頻繁な発作や危険な行動が見られる場合は、専門医の診察を受け、原因に対する治療や、場合によっては行動療法、薬物療法を検討する必要があります。

夜驚症が頻繁で日常生活に支障が出ている場合や、本人・家族の安全に懸念がある場合、あるいは大人の発症の場合は、小児科(子供)や睡眠外来、精神科などの専門医に相談しましょう。
適切な診断と対処によって、症状の軽減や改善が期待できます。
夜驚症はご本人だけでなく、ご家族にとっても不安なものですが、正しい知識を持ち、必要に応じて専門家のサポートを得ることが大切です。

免責事項

この記事は、夜驚症に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
個々の症状や状況については、必ず専門の医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
記事内の情報に基づいて行った行為によって生じたいかなる結果に関しても、当方は一切の責任を負いません。

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