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ラツーダの副作用とは?種類、頻度、対処法を詳しく解説

ラツーダ(一般名:ルラシドン塩酸塩)は、双極性障害におけるうつ症状の改善や統合失調症の治療に用いられる比較的新しいお薬です。優れた治療効果が期待される一方で、どのようなお薬にも副作用のリスクは伴います。これからラツーダによる治療を始める方や、すでに服用中で副作用に不安を感じている方にとって、その内容を正しく知ることは非常に重要です。

この記事では、ラツーダの副作用について、種類や頻度、ご自身でできる対処法、そして医師に相談するタイミングなどを詳しく解説します。副作用を正しく理解し、安心して治療を継続するための一助となれば幸いです。

添付文書に見る副作用発現状況

医薬品の添付文書によると、日本国内での臨床試験において、ラツーダを服用した方のうち副作用が報告された割合は、双極性障害の患者さんで73.6%、統合失調症の患者さんで69.6%でした。

主な副作用としては、アカシジア(じっと座っていられない感覚)吐き気(悪心)眠気(傾眠)などが比較的多く報告されています。これらの症状は、飲み始めや薬の量を増やしたときに現れやすい傾向があります。

なぜ副作用が起こるのか?作用機序との関連

ラツーダは、脳内の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンなどの働きを調整することで効果を発揮します。特に、ドパミンD₂受容体やセロトニン5-HT₂ₐ受容体、5-HT₇受容体などをブロック(遮断)する作用が特徴です。

この作用が治療効果につながる一方で、意図しない部分にも影響を及ぼすことで副作用が現れます。例えば、運動機能に関わるドパミン神経系に影響が及ぶと、アカシジアなどの錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう)が起こりやすくなります。また、消化器系や覚醒レベルに関わる受容体に作用することで、吐き気や眠気が生じると考えられています。

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目次

ラツーダの重大な副作用【緊急性の高い症状】

頻度は稀ですが、ラツーダの服用中に注意すべき重大な副作用も報告されています。以下のような症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、直ちに処方医や医療機関に連絡・受診してください。

横紋筋融解症

筋肉の細胞が壊れてしまい、成分が血液中に溶け出す病態です。
主な症状:

  • 手足のしびれ、こわばり
  • 力が入らない
  • 筋肉痛
  • 赤褐色(コーラ色)の尿

放置すると腎臓に大きな負担がかかり、急性腎障害に至る危険性があります。

悪性症候群(Syndrome malin)

急激なドパミン遮断作用などが原因で起こると考えられている、命に関わる可能性のある副作用です。
主な症状:

  • 急な高熱(38℃以上)
  • 汗をたくさんかく
  • 筋肉のこわばり、震え
  • 意識がぼんやりする、話しにくい
  • 脈が速くなる

他の向精神薬からの切り替え時や、服用開始後に起こりやすいとされています。

遅発性ジスキネジア

長期間薬を服用した後に現れることがある、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状です。
主な症状:

  • 口をもぐもぐさせる
  • 舌を左右に動かす
  • 手足が勝手に動く、くねらせるような動き

一度発症すると治療が難しく、薬を中止しても症状が残ることがあるため、初期の兆候に気づくことが重要です。

麻痺性イレウス

腸の動きが麻痺してしまい、腸閉塞と同じような状態になります。
主な症状:

  • 著しい便秘
  • お腹が張る、痛む
  • 吐き気、嘔吐

特に便秘が続く場合は注意が必要です。

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)

体内の水分を排出するホルモンのバランスが崩れ、水分を溜め込みすぎてしまう状態です。
主な症状:

  • だるさ
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 意識障害、けいれん

急激な体重増加やむくみが見られた場合に疑われます。

その他の重大な副作用(痙攣、肝機能障害など)

その他にも、けいれん、肝機能障害・黄疸、高血糖・糖尿病性ケトアシドーシスなどが報告されています。定期的な血液検査でチェックすることが重要です。

ラツーダでよく見られる副作用(頻度の高い症状・デメリット)

次に、比較的多くの方にみられる可能性のある副作用について解説します。これらの症状は生活の質(QOL)に影響を与えることがありますが、適切な対処で軽減できる場合も少なくありません。

アカシジア(静座不能)

「じっと座っていられない」「そわそわして動き回りたくなる」「足がむずむずする」といった、強い不快感を伴う症状です。精神的な焦燥感と体の動きが結びついたような感覚で、ラツーダの副作用の中でも特に注意が必要です。

吐き気・悪心

飲み始めに感じることが多い副作用です。胸がむかむかする、食欲がわかないといった症状が現れます。多くは体が薬に慣れるにつれて軽快していきますが、食事が摂れないほど辛い場合は我慢せずに相談しましょう。

眠気・傾眠

日中に強い眠気を感じたり、ぼんやりしたりする症状です。特に車の運転や危険な機械の操作を行う方は、重大な事故につながる可能性があるため、細心の注意が必要です。

体重増加

ラツーダは他の抗精神病薬と比較して体重増加のリスクは低いとされていますが、個人差があります。食欲が増したり、代謝に影響したりすることで体重が増えることがあります。

その他の錐体外路症状(振戦、固縮、眼球上転など)

アカシジア以外の錐体外路症状として、以下のようなものがあります。

  • 振戦(しんせん): 手足のふるえ
  • 固縮(こしゅく): 筋肉がこわばり、動きがぎこちなくなる
  • ジストニア: 筋肉の異常な緊張により、首が曲がる、眼球が上を向く(眼球上転発作)などの症状

浮動性めまい

ふわふわとした、雲の上を歩いているようなめまいです。立ち上がった際にふらつく場合は、起立性低血圧の可能性もあります。

その他の注意すべき副作用(頻脈、便秘、口渇など)

  • 頻脈: 動悸がする、脈が速くなる
  • 便秘: 腸の動きが鈍くなることで起こる
  • 口渇: 口の中が乾く

これらの症状も、程度によっては生活に支障をきたすため、気になる場合は医師に伝えましょう。

ラツーダの副作用への対処法と対策

副作用が現れた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。基本的な対応と、症状別の対策をご紹介します。

副作用が出た場合の基本的な対応

まずは、どのような症状が、いつから、どの程度の強さで出ているかを記録しておくことが大切です。その上で、処方してくれた医師や薬剤師に相談してください。自己判断で薬の量を減らしたり、飲むのをやめたりするのは非常に危険です。

アカシジアへの対処法

アカシジアは非常につらい副作用ですが、対処法はあります。

  • 薬の調整: 医師の判断で、ラツーダの減量や、アカシジアを抑える薬(β遮断薬や抗コリン薬など)の追加を検討します。
  • 生活上の工夫: 散歩やストレッチなど、軽く体を動かすことで不快感が和らぐことがあります。

吐き気への対処法

  • 薬に慣れるのを待つ: 多くの場合は数週間で軽くなります。
  • 食後の服用を徹底する: 空腹時より食後に飲むことで、吐き気が軽減されることがあります。
  • 医師に相談: 症状が強い場合は、吐き気止めを処方してもらうことも可能です。

眠気への対処法

  • 服薬時間の変更: 医師と相談の上、眠気が問題とならない夕食後や就寝前に服用時間を変更する場合があります。
  • 生活リズムを整える: 日中に軽い運動を取り入れたり、日光を浴びたりすることで、体内時計が整いやすくなります。
  • 仮眠をとる: どうしても眠い場合は、15~20分程度の短い仮眠が有効です。

体重増加への対策

  • 食事内容の見直し: バランスの取れた食事を心がけ、間食や高カロリーな食事を控える。
  • 定期的な運動: ウォーキングなど、無理のない範囲で運動を習慣化する。
  • 体重の記録: 毎日の体重測定で変化を把握し、早期に対策を始める。

副作用について医師・薬剤師に相談する際のポイント

受診時に的確に症状を伝えるために、以下の点をまとめておくとスムーズです。

  • いつから始まったか?(例:飲み始めて3日目から)
  • どんな症状か?(例:じっとしていられず、足踏みしたくなる)
  • どんな時にひどくなるか?(例:静かな場所にいると特に気になる)
  • 生活への影響は?(例:仕事に集中できない、夜眠れない)
  • 試して効果があったことは?(例:散歩をすると少し楽になる)

ラツーダ服用時の重要な注意点

副作用のリスクを最小限に抑え、安全に治療を進めるために知っておくべきポイントがあります。

食後服用が推奨される理由と注意点

ラツーダは「食後に服用する」ことが非常に重要です。空腹時に服用すると、食後に比べて薬の吸収率が大幅に低下し、十分な効果が得られない可能性があります。添付文書では「1日1回食後経口投与」と明確に指示されています。

  • 食事の目安: 総カロリーとして350kcal以上の食事とともに服用することが推奨されています。
  • 注意点: 食事が摂れないからといって、自己判断で空腹時に服用するのは避けましょう。食事が不規則な方は、どのタイミングで服用するのがベストか医師や薬剤師にご相談ください。

服用量と副作用のリスクの関係

一般的に、薬の量が増えれば効果も高まりますが、同時に副作用のリスクも高まる傾向があります。医師は、効果と副作用のバランスをみながら、患者さん一人ひとりに合った最適な用量を慎重に調整します。

自己判断での減薬・中止は危険

「副作用がつらいから」「症状が良くなったから」といって、自己判断で薬を減らしたり中止したりすることは絶対にやめてください。病状の急な悪化(再発・再燃)や、離脱症状(中止に伴う不快な症状)を引き起こすリスクがあります。必ず医師の指示に従ってください。

ラツーダの適用疾患別の副作用の特徴

ラツーダが処方される主な疾患ごとに、副作用の傾向に違いが見られることがあります。

双極性障害におけるうつ症状での副作用

双極性障害のうつ症状に対しては、比較的低用量(20mg~60mg)で治療を開始することが多く、それに伴い副作用の出方も統合失調症の場合とは異なることがあります。アカシジアや吐き気などが主な副作用として挙げられます。

統合失調症での副作用

統合失調症の治療では、より高用量(40mg~120mg)まで使用されることがあります。そのため、用量依存的に起こりやすいアカシジアなどの錐体外路症状には、より一層の注意が必要です。

ADHDへの適用外使用と副作用(参考情報)

現在、ラツーダはADHD(注意欠如・多動症)に対して保険適用はありません。しかし、併存する気分の波や衝動性のコントロールなどを目的に、医師の判断で適用外処方されるケースが稀にあります。その際の副作用プロファイルは確立されておらず、効果や安全性は個々の判断に委ねられます。安易な使用は推奨されません。

他の抗精神病薬との副作用比較

ラツーダの副作用プロファイルを、他の代表的な薬剤と比較してみましょう。

副作用項目 ラツーダ(ルラシドン) クエチアピン ラモトリギン(気分安定薬)
アカシジア 比較的多い 少ない ほとんどない
眠気 あり 非常に強い 少ない
体重増加 比較的少ない 多い 影響は少ない
血糖・脂質への影響 少ない 注意が必要 影響は少ない
吐き気 あり 比較的少ない あり
重篤な皮膚障害 注意が必要
食後服用の必要性 必要 不要 不要
  • クエチアピンとの比較: ラツーダはクエチアピンに比べて眠気や体重増加のリスクが低い一方、アカシジアのリスクが高いという特徴があります。
  • ラモトリギンとの比較: ラモトリギンは気分安定薬であり、ラツーダ(非定型抗精神病薬)とは作用機序が異なります。ラモトリギンは重篤な皮膚障害に特に注意が必要ですが、アカシジアや体重増加のリスクは低いです。

ラツーダ(成分名:ルラシドン)について

最後に、ラツーダという薬そのものについて簡単に触れておきます。

ラツーダの作用機序と特徴

ラツーダ(ルラシドン)は、ドパミンD₂受容体、セロトニン5-HT₂ₐ受容体、5-HT₇受容体を遮断する作用を持ちます。さらに、セロトニン5-HT₁ₐ受容体を部分的に刺激する作用も併せ持つことで、抗うつ効果や認知機能改善効果も期待される「セロトニン・ドパミン アンタゴニスト(SDA)」に分類される薬です。

ジェネリック医薬品について

ラツーダは比較的新しい薬であり、2024年現在、日本国内ではジェネリック医薬品(後発品)は販売されていません。

まとめ:ラツーダの副作用を理解し、安全に治療を進めるために

ラツーダは、双極性障害のうつ症状や統合失調症に対して有効な治療選択肢ですが、アカシジアや吐き気、眠気といった副作用が起こる可能性があります。また、頻度は低いものの、悪性症候群などの重大な副作用にも注意が必要です。

副作用の不安を軽減するための情報収集と医療者との連携

副作用を過度に恐れる必要はありませんが、どのような症状が起こりうるかを知っておくことは、いざという時の冷静な対応につながります。
大切なのは、副作用と思われる症状が現れた際に、自己判断せず、速やかに主治医や薬剤師に相談することです。医師としっかり連携を取り、副作用を上手にコントロールしながら治療を続けることが、症状の改善への一番の近道です。

免責事項:
本記事はラツーダの副作用に関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。治療方針や薬の選択については、必ず専門の医師にご相談ください。

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