トリンテリックスは、うつ病やうつ状態の治療に用いられる新しいタイプの抗うつ薬です。主成分であるボルチオキセチンは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどに作用し、感情や気分を安定させることで、つらい症状を和らげます。他の抗うつ薬とは異なる複数の働きを持つことから、効果が期待されています。一方で、どのような薬にも副作用のリスクはつきものです。トリンテリックスの服用にあたり、どのような副作用があるのか、いつ頃出やすいのか、そしてどう対処すれば良いのかを知っておくことは、安心して治療を進める上で非常に大切です。この記事では、トリンテリックスの副作用について詳しく解説し、服用中の不安を少しでも軽減できるよう、具体的な情報を提供します。
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トリンテリックスとは|成分(ボルチオキセチン)と特徴
トリンテリックス錠は、デンマークのルンドベック社が開発し、日本では武田薬品工業株式会社が製造販売している抗うつ薬です。有効成分はボルチオキセチン臭化水素酸塩で、選択的セロトニン再取り込み阻害作用(SSRI)に加えて、セロトニン受容体への直接作用を併せ持つセロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体作動薬(S-RIM)という新しい作用機序を持っています。
従来のSSRIはセロトニンの再取り込みを阻害することによって脳内のセロトニン濃度を高めますが、トリンテリックスはそれに加えて、特定のセロトニン受容体(5-HT1A受容体には促進的に、5-HT3受容体などには阻害的に作用)に直接働きかけることで、単にセロトニン濃度を上げるだけでなく、複数の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなど)のバランスを調整すると考えられています。この多面的な作用により、気分の落ち込みや意欲低下といったうつ症状だけでなく、認知機能の低下(集中力や記憶力の低下)に対しても改善効果が期待されています。
承認時の臨床試験では、プラセボ(偽薬)と比較してうつ症状に対する有効性が確認されています。また、他のSSRIやSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)からの切り替えの際にも有効性を示すことが報告されています。
用量は、通常、成人には1日10mgを1回で服用を開始し、状態に応じて1日20mgまで増量されることがあります。高齢者には少量から開始するなど、年齢や症状、併用薬によって医師が適切に判断します。
トリンテリックスで比較的よく見られる副作用
どのような薬にも副作用のリスクは伴いますが、トリンテリックスも例外ではありません。臨床試験や製造販売後の調査において報告されている副作用のうち、比較的多く見られるものについて解説します。これらの副作用は、多くの場合、服用初期に現れやすく、体の慣れとともに軽減していく傾向があります。ただし、症状の感じ方や持続期間には個人差が大きいため、つらい場合は我慢せずに医師や薬剤師に相談することが大切です。
以下に、比較的よく見られる副作用とその特徴をまとめました。
副作用名 | 主な症状 | 発現頻度(目安) | 特徴・補足 |
---|---|---|---|
吐き気(悪心) | 胃のむかつき、吐きそうな感じ | 非常に多い(30%以上) | 最も頻繁に見られる副作用。服用初期に強く、徐々に軽減することが多い。空腹時を避けるなどの工夫で和らぐことも。 |
傾眠(眠気) | 日中の強い眠気、だるさ | 多い(5-10%未満) | 鎮静作用が関係している可能性。服薬時間を夜に変える、車の運転や危険な機械操作を避けるなどの注意が必要。 |
頭痛 | こめかみや後頭部などが痛む | 多い(5-10%未満) | 他の多くの薬剤でも見られる一般的な副作用。市販薬で対応できる場合もあるが、医師に相談。 |
便秘 | 排便回数の減少、お腹の張り | 比較的多い(1-5%未満) | セロトニンは腸の運動にも関わるため影響が出ることがある。水分摂取や軽い運動も有効。 |
下痢 | 軟便、排便回数の増加 | 比較的多い(1-5%未満) | 便秘と同様、腸への作用が関係している可能性。 |
不眠 | 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早く目が覚める | 比較的多い(1-5%未満) | 薬の覚醒作用や不安の増強が関係している可能性。服薬時間の調整で改善することも。 |
その他 | めまい、口渇、胃部不快感、食欲不振、疲労 | 比較的多い〜少ない | 様々な症状が報告されているが、多くは軽度。 |
(上記の発現頻度は、承認時までの国内臨床試験に基づいた目安であり、実際の診療では患者さんの状態や体質によって異なります。)
吐き気(悪心)について
トリンテリックスで最も多く報告されている副作用が吐き気です。服用した方の30%以上にみられたという報告もあり、特に服用を開始して数日から1週間程度の初期に強く感じやすいとされています。これは、脳だけでなく、消化管にも存在するセロトニン受容体に薬が作用することが関連していると考えられています。
吐き気は、胃のむかつき、お腹の不快感、実際に吐いてしまうといった形で現れることがあります。多くの場合、時間の経過とともに体が慣れて症状は軽減していくことが多いですが、つらい場合は我慢せず医師に相談しましょう。服薬タイミングを食後にする、少量から開始してゆっくり増量するといった対応で症状が和らぐこともあります。また、症状が強い場合は、吐き気止めの薬を一時的に併用することもあります。
傾眠(眠気)について
日中の眠気(傾眠)も、トリンテリックスの副作用として比較的多く見られます。薬の鎮静作用や、脳内の神経伝達物質のバランス変化が影響している可能性があります。眠気を感じやすい方は、車の運転や危険を伴う機械の操作は避けるようにしてください。また、眠気がつらい場合は、服薬時間を夜に変更することで、日中の眠気を和らげられる場合があります。ただし、これは不眠を招く可能性もあるため、医師と相談の上で行ってください。
頭痛について
頭痛も、他の多くの向精神薬と同様にトリンテリックスで報告される副作用の一つです。多くは軽度ですが、痛みの感じ方には個人差があります。頭痛が続く場合や、我慢できないほどつらい場合は、市販の鎮痛薬で対応できることもありますが、まずは医師に相談しましょう。他の原因による頭痛の可能性も考慮し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
便秘・下痢について
トリンテリックスはセロトニン系に作用するため、腸の動きにも影響を与えることがあります。その結果、便秘になったり、逆に下痢になったりすることがあります。これらの症状も、服用初期に現れやすく、体が慣れるとともに改善していくことが多いです。便秘の場合は、水分や食物繊維を多めに摂る、軽い運動をするなどが有効な場合があります。下痢の場合は、消化の良いものを食べる、水分補給を心がけるなどが考えられます。症状が続く場合やひどくなる場合は、医師に相談してください。
不眠について
傾眠(眠気)とは逆に、不眠(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早く目が覚めてしまうなど)が副作用として現れることもあります。これは、薬の覚醒作用や、治療初期の不安感の増強などが影響している可能性が考えられます。不眠がつらい場合は、服薬時間を午前中に変更することで、夜間の不眠が改善されることがあります。また、一時的に睡眠薬の併用が必要になる場合もあります。服薬時間の調整や睡眠薬の併用については、必ず医師の指示に従ってください。
その他報告されている副作用(脈拍など)
上記以外にも、トリンテリックスでは様々な副作用が報告されています。比較的多いものとして、めまい、口渇(口の渇き)、胃部不快感、食欲不振、疲労感などがあります。これらは、多くの場合、軽度で自然に改善することが多いです。
また、頻度は高くありませんが、動悸や脈拍の変化(頻脈など)が報告されることもあります。心臓に持病がある方や、動悸を感じやすい方は、服用開始前に医師に必ず伝えてください。まれに、発疹やかゆみといった皮膚症状、目の充血などがみられることもあります。気になる症状が現れた場合は、どのような症状であっても、自己判断せずに医師や薬剤師に相談することが重要です。
特に注意が必要な重篤な副作用
比較的よく見られる副作用とは異なり、発現頻度は低いものの、注意が必要な重篤な副作用も存在します。これらの副作用は、早期に発見し、適切な対応をとることが非常に重要です。ご自身やご家族がトリンテリックスを服用している場合は、これらの症状について知っておき、異変を感じたらすぐに医療機関に連絡できるようにしておきましょう。
セロトニン症候群とは
セロトニン症候群は、脳内のセロトニン濃度が過剰に高まることによって生じる重篤な副作用です。トリンテリックスのようにセロトニン系に作用する薬だけでなく、他のセロトニン作用を持つ薬(他の抗うつ薬、一部の鎮痛薬、片頭痛治療薬、吐き気止めなど)と併用した場合に起こりやすくなります。
セロトニン症候群の主な症状は、精神症状(混乱、興奮、落ち着きのなさなど)、自律神経症状(発汗、頻脈、血圧変動、発熱など)、神経・筋症状(体の震え、筋肉の硬直、反射の亢進など)です。これらの症状が複数組み合わさって現れます。急激に発症することが多く、重症化すると意識障害やけいれん、昏睡に至ることもあります。
セロトニン症候群が疑われる症状が現れた場合は、すぐにトリンテリックスの服用を中止し、速やかに医療機関を受診する必要があります。複数のセロトニン作用薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師にその旨を伝え、飲み合わせに問題がないか確認してください。
賦活症候群(アクチベーションシンドローム)とは
賦活症候群(アクチベーションシンドローム)は、抗うつ薬の服用開始初期や用量変更時に、不安、焦燥感、興奮、パニック、不眠、衝動性、易刺激性(ちょっとしたことで怒りやすくなる)、攻撃性、自殺念慮、自殺企図などが現れる状態です。特に、うつ病の症状として意欲や活動性の低下が著しい患者さんで、抗うつ薬によって急激に精神運動が賦活(活発化)された際に起こりやすいと考えられています。
これらの症状が現れた場合は、病状の悪化や自殺のリスク上昇のサインである可能性があります。患者さん本人だけでなく、ご家族など周囲の方も、服用開始後数週間や用量変更後には特に注意して様子を見守ることが重要です。異変に気づいたら、速やかに医師に連絡し、指示を仰いでください。自己判断で服薬を中止したり、用量を変更したりするのは危険です。
痙攣について
痙攣(けいれん)も、トリンテリックスの重篤な副作用として報告されています。頻度は非常に低いですが、注意が必要です。過去にてんかんなどの痙攣性疾患にかかったことがある方や、痙攣を起こしやすい体質の方は、服用開始前に必ず医師に伝えてください。痙攣が起きた場合は、すぐにトリンテリックスの服用を中止し、医療機関での処置が必要です。
低ナトリウム血症・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)とは
低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が異常に低くなる状態です。高齢者や、利尿薬を服用している方、水分摂取量が少ない方などで起こりやすいとされています。トリンテリックスを含む一部の抗うつ薬は、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)という状態を引き起こす可能性があり、これが低ナトリウム血症の原因となることがあります。
SIADHでは、体の水分を尿として排泄するのを抑えるホルモン(抗利尿ホルモン)が不適切に分泌され、体内に水分が過剰に溜まり、相対的に血液中のナトリウム濃度が薄まってしまいます。症状としては、吐き気、食欲不振、全身のだるさ、頭痛、筋肉痛などが現れることがあります。重症化すると、意識障害や痙攣に至ることもあります。
これらの症状に気づいた場合は、すぐに医師に連絡してください。血液検査でナトリウム濃度を確認し、適切な治療(水分制限やナトリウム補給など)が行われます。
出血傾向について
トリンテリックスを含むセロトニン系に作用する薬剤は、血小板の機能に影響を与える可能性があり、出血しやすくなることが報告されています。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの出血リスクを高める可能性のある薬剤を併用している場合や、出血しやすい病気(血液凝固異常など)がある場合は注意が必要です。
症状としては、皮下出血(あざができやすい)、鼻血、歯ぐきからの出血などが比較的多く見られますが、まれに消化管出血(黒っぽい便や血便)などの重篤な出血に至ることもあります。
もし、いつもよりあざができやすい、鼻血が止まりにくい、黒っぽい便が出るなどの症状に気づいたら、すぐに医師に相談してください。
肝機能障害について
まれに、肝機能障害が副作用として現れることがあります。症状としては、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などがあります。重篤な肝機能障害に至ることは非常に稀ですが、これらの症状に気づいた場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けてください。肝臓に持病がある方や、他の肝臓に影響を与える可能性のある薬を服用している方は、事前に医師に伝えておくことが大切です。
トリンテリックスの副作用はいつから?発現時期と期間
トリンテリックスの副作用が現れる時期や、それがどのくらい続くかは、副作用の種類や個人の体質によって異なります。しかし、一般的に抗うつ薬の副作用は、服用を開始してから比較的早い時期、特に数日から1週間以内に現れやすい傾向があります。
副作用の種類 | 発現時期の傾向 | 持続期間の傾向 |
---|---|---|
比較的よく見られる副作用 | ||
吐き気、頭痛、消化器症状 | 服用開始後 数日〜1週間 | 多くは数週間で軽減、体が慣れると消失することも。 |
傾眠(眠気)、不眠 | 服用開始後 数日〜1週間 | 数週間で軽減することが多いが、続く場合もある。 |
特に注意が必要な副作用 | ||
セロトニン症候群 | 服用開始後 数時間〜数日 | 薬の中止後、多くは24時間以内に改善。 |
賦活症候群 | 服用開始後 数日〜2週間 | 数週間で軽減することが多いが、続く場合もある。 |
低ナトリウム血症 | 服用開始後 数日〜数週間 | 原因薬の中止、治療により改善。 |
出血傾向 | 服用中いつでも可能性あり | 原因薬の中止により改善。 |
肝機能障害 | 服用中いつでも可能性あり | 原因薬の中止、治療により改善。 |
痙攣 | 服用中いつでも可能性あり | 処置により改善。 |
服用初期(数日〜1週間)には、吐き気や頭痛、胃の不快感、眠気などが比較的多く現れます。これらの症状は、体が薬に慣れてくるにつれて、数週間程度で自然に軽くなる、あるいは消失していくことが多いです。
ただし、傾眠(眠気)や不眠といった症状は、体質によっては比較的長く続く場合もあります。また、用量を増やした際にも、再度副作用が現れたり、以前より強くなったりすることがあります。
一方、セロトニン症候群や賦活症候群のような重篤な副作用は、服用開始後の比較的早い時期(セロトニン症候群は数時間〜数日、賦活症候群は数日〜2週間程度)に起こりやすいとされていますが、服用期間に関わらずいつでも起こる可能性があります。特に、他の薬との併用を開始したり、トリンテリックスの用量を急激に増やしたりした際には注意が必要です。
低ナトリウム血症や出血傾向、肝機能障害、痙攣なども、服用期間に関わらず起こる可能性のある重篤な副作用です。これらの症状については、早期に発見して適切に対応することが重要です。
副作用の現れ方や持続期間は、患者さん一人ひとりの体質、年齢、基礎疾患、併用薬などによって大きく異なります。不安な症状がある場合は、自己判断で薬を中止したりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
トリンテリックスの副作用が出た場合の具体的な対処法
トリンテリックスを服用していて副作用が出た場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。副作用の程度や種類によって対応は異なりますが、基本的には自己判断せず、医療機関に相談することが最も重要です。
1. まずは症状を観察する
- どのような症状が、いつから、どのくらいの強さで現れているのかを記録しておきましょう。
- 症状が現れるタイミング(服薬後○時間、特定の行動中など)や、症状を和らげる、あるいは悪化させる要因(食事、運動、休息など)にも注目しましょう。
- これらの情報は、医師や薬剤師に相談する際に非常に役立ちます。
2. 比較的軽度な副作用の場合
吐き気、軽度の頭痛、胃部不快感、軽度の眠気や不眠など、日常生活に大きな支障がない、比較的軽度な副作用の場合は、体の慣れとともに軽減することが多いため、数日間様子を見るという選択肢もあります。ただし、症状が続く場合や悪化する場合は、必ず相談してください。
症状の種類によっては、ご自身で試せる対処法もあります。
- 吐き気: 空腹時を避けて食後に服用する。一度に多量に飲み込まず、少量の水で少しずつ飲む。刺激の強い食事を避ける。症状が強い場合は、医師に相談して吐き気止めの併用を検討する。
- 眠気: 服薬時間を夜に変更する(ただし不眠を招く可能性もあるため医師と相談)。眠気を感じやすい時間帯には、車の運転や危険な作業を避ける。
- 不眠: 服薬時間を午前中に変更する(ただし日中の眠気を招く可能性もあるため医師と相談)。就寝前のカフェイン摂取やスマホ操作を避ける。軽い運動を取り入れる。医師に相談して一時的に睡眠薬を処方してもらう。
- 便秘: 水分を多めに摂る。食物繊維が豊富な食品(野菜、果物、海藻など)を積極的に摂る。適度な運動を取り入れる。
- 下痢: 消化の良いものを食べる。水分を十分に補給して脱水を防ぐ。
3. 医師や薬剤師に相談すべき場合
以下のような場合は、自己判断で対処せず、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
- 副作用の症状がつらい、我慢できない場合
- 副作用が数週間経っても改善しない、あるいは悪化する場合
- 日常生活に支障が出ている場合(例: 眠気で仕事にならない、不眠で体がきついなど)
- これまで経験したことのない、いつもと違う症状が現れた場合
- 重篤な副作用のサインが疑われる場合(例: セロトニン症候群や賦活症候群の症状、黄疸、血便など)
医師は、症状の程度や患者さんの状態を詳しく診察し、以下のいずれかの対応を検討します。
- 服薬タイミングの調整: 吐き気なら食後、眠気なら夜間など。
- 用量の調整: 一時的に減量したり、増量をゆっくり行ったりする。
- 対症療法薬の処方: 吐き気止め、整腸剤、睡眠薬、鎮痛薬など、副作用の症状を和らげる薬を一時的に併用する。
- 他の薬への変更: トリンテリックスが合わないと判断された場合、他の抗うつ薬や治療法への変更を検討する。
- 薬の中止: 副作用が重篤であったり、他の方法で対処できない場合は、薬の中止が検討されます。
重要な注意点
- 自己判断でトリンテリックスの服用量を変えたり、中止したりしないでください。 特に、抗うつ薬は急に中止すると、離脱症状(めまい、吐き気、頭痛、シャンビリ感、不安など)が現れることがあります。必ず医師の指示に従ってください。
- 他の医療機関を受診する場合や、市販薬を使用する場合は、必ずトリンテリックスを服用していることを伝えてください。 飲み合わせによっては、副作用を強めたり、予期しない健康被害を引き起こしたりする可能性があります。お薬手帳などを活用しましょう。
副作用が出ると不安になるかもしれませんが、多くは一時的なものです。医師や薬剤師と連携を取りながら、ご自身に合った治療法を見つけていくことが大切です。
トリンテリックス副作用に関するQ&A
トリンテリックスの副作用について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
トリンテリックスの主な副作用は何ですか?
トリンテリックスで最も頻繁に報告されている副作用は、吐き気(悪心)です。その他にも、傾眠(眠気)、頭痛、便秘、下痢、不眠などが比較的よく見られます。これらの副作用は、多くの場合、服用初期に現れやすく、体が慣れるにつれて軽減していく傾向があります。しかし、症状の感じ方や持続期間には個人差があります。
トリンテリックスの副作用はいつ出やすいですか?
副作用は、トリンテリックスの服用を開始してから数日から1週間程度の比較的早い時期に現れやすいとされています。特に吐き気は、この時期に強く感じやすい副作用です。また、薬の用量を増量した際にも、再度副作用が現れたり、症状が強くなったりすることがあります。ただし、セロトニン症候群や低ナトリウム血症などの重篤な副作用は、服用期間に関わらず発生する可能性があり、注意が必要です。
トリンテリックスのデメリットは副作用ですか?
「デメリット」という言葉は主観的ですが、トリンテリックスの服用を検討したり、継続したりする上で、副作用は患者さんが最も懸念される点の一つであり、治療における課題と言えるでしょう。特に、服用初期の吐き気は比較的多くの方にみられるため、治療を中断してしまう原因となる可能性もあります。
しかし、副作用のリスクはどの薬にも存在します。トリンテリックスのメリットとしては、新しい作用機序による効果への期待や、SSRIなどでみられる性機能障害の副作用が比較的少ない(あるいは改善する可能性がある)ことなどが挙げられます。
メリットとデメリット(副作用のリスクなど)を総合的に評価し、患者さんの症状や体質に最も合った薬を選択することが重要です。副作用が心配な場合は、遠慮なく医師や薬剤師に相談し、十分に納得した上で治療を進めてください。
その他にも、トリンテリックスに関する疑問や不安があれば、医師や薬剤師に質問してみましょう。
質問例 | 回答のポイント |
---|---|
性機能への影響はありますか? | SSRIに比べて性機能障害の頻度が低い、あるいは改善が期待できるという報告があります。ただし個人差があります。 |
薬をやめたい時はどうすればいいですか? | 自己判断での急な中止は離脱症状のリスクがあるため危険です。必ず医師と相談し、指示に従って徐々に減量していく必要があります。 |
アルコールと一緒に飲めますか? | アルコールは中枢神経抑制作用があり、薬の効果や副作用を強める可能性があります。服用中の飲酒は控えることが推奨されます。 |
妊娠中や授乳中に服用できますか? | 妊娠中や授乳中の服用については、治療上の有益性がリスクを上回ると判断される場合に限られます。必ず医師と相談してください。 |
他の薬との飲み合わせは大丈夫ですか? | 飲み合わせに注意が必要な薬が複数あります。現在服用している全ての薬(処方薬、市販薬、サプリメント含む)を医師・薬剤師に伝えてください。 |
まとめ|副作用が心配な場合は必ず医師・薬剤師に相談
トリンテリックス(ボルチオキセチン)は、うつ病やうつ状態に対して新しい作用で効果が期待される抗うつ薬です。一方で、他の薬と同様に副作用が起こる可能性があり、特に吐き気、眠気、頭痛などは比較的よく見られます。これらの多くは、服用開始初期に現れやすく、体が慣れるにつれて軽減していく傾向があります。
しかし、中にはセロトニン症候群や賦活症候群、低ナトリウム血症といった、頻度は低いものの注意が必要な重篤な副作用も存在します。これらの重篤な副作用の兆候(混乱、興奮、発熱、体の震え、けいれん、意識障害、異常な不安や焦燥感、自殺念慮など)に気づいた場合は、速やかに医師に連絡し、指示を仰ぐことが極めて重要です。
副作用の現れ方、強さ、そして持続期間は、患者さんの体質や状態によって大きく異なります。副作用が出た場合、症状によっては服薬タイミングの調整や対症療法薬の併用で対応できることがありますが、自己判断で薬の量を変えたり、服用を中止したりすることは危険です。特に、抗うつ薬の急な中止は離脱症状を引き起こす可能性があります。
トリンテリックスの服用に関して不安な点や、気になる副作用が現れた場合は、我慢せずに必ず主治医や薬剤師に相談してください。 専門家が、あなたの症状を詳しく聞き、適切なアドバイスや対処法を提案してくれます。副作用を乗り越え、安心して治療を続けるためにも、医療チームとのコミュニケーションを密にすることが何よりも大切です。
【免責事項】
本記事は、トリンテリックスの副作用に関する一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療を代替するものではありません。個別の症状や治療に関する判断は、必ず医師または薬剤師にご相談ください。本記事の情報に基づいて行った行為によって生じた一切の損害について、当方は責任を負いかねます。