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なぜ2時間おきに目が覚める?中途覚醒の原因と対策

夜中に頻繁に目が覚めてしまう「中途覚醒」。一度目が覚めるとなかなか寝付けず、朝までウトウトを繰り返したり、そのまま朝を迎えてしまったりすることも少なくありません。
このような眠りの悩みは、多くの人が経験することです。特に「2時間おきに目が覚める」など、周期的に覚醒してしまうと、睡眠時間が細切れになり、十分な休息がとれません。日中の眠気や疲労感につながり、仕事や日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

なぜ夜中に目が覚めてしまうのでしょうか?その原因は一つではなく、ストレス、生活習慣、そして様々な身体的な問題が複雑に関係していることがあります。この記事では、「2時間ごとに目が覚める」といった中途覚醒の主な原因とメカニズムを詳しく解説し、今日から実践できるセルフケアの方法や、病院を受診すべきケース、専門的な治療法についてもお伝えします。あなたのつらい眠りの悩みを理解し、改善するための第一歩を踏み出しましょう。

健康な人でも、一晩の睡眠中に何度か短い覚醒を挟むことは自然なことです。しかし、その覚醒時間が長かったり、頻繁すぎたりして、睡眠が分断されてしまうのが中途覚醒です。なぜ夜中に「2時間ごと」など、定期的に目が覚めてしまうのでしょうか。そのメカニズムと主な原因について掘り下げていきましょう。

レム睡眠・ノンレム睡眠と覚醒

私たちの睡眠は、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つの異なる状態を繰り返しています。ノンレム睡眠は脳も体も休息している深い眠りで、段階(ステージ1~4)があります。ステージ3~4が最も深い眠り(徐波睡眠)です。レム睡眠は体は休んでいますが、脳は比較的活発に働いている眠りで、夢を見やすい状態です。このノンレム睡眠とレム睡眠は、一晩に約90分周期で繰り返されます。

中途覚醒は、この睡眠サイクルの移行期、特にレム睡眠からノンレム睡眠に移行する際や、睡眠の浅いステージ(ステージ1~2)で起こりやすいとされています。周期的な覚醒は、この約90分周期の睡眠サイクルと関連している可能性も考えられますが、「2時間ごと」という具体的な時間間隔は、個人の睡眠構造やその時の心身の状態によって変動します。

中途覚醒を引き起こす原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下のカテゴリーに分類できます。

  • ストレス・精神的な要因
  • 身体的な病気や症状
  • 生活習慣の問題

これらの要因が単独で、あるいは複数組み合わさることで、睡眠が浅くなり、覚醒閾値(目が覚めやすさ)が低下し、周期的な中途覚醒につながるのです。

ストレス・精神的な要因

ストレスや不安、心配事は、脳を覚醒させる神経伝達物質(ノルアドレナリンやコルチゾールなど)の分泌を増やします。これにより、脳が過剰に活性化され、リラックスして深い眠りに入ることが難しくなります。

  • 日中のストレス: 仕事でのプレッシャー、人間関係の悩み、経済的な不安など、日常的なストレスは自律神経のバランスを崩し、夜間の心拍数や呼吸数を上げてしまうことがあります。これにより、睡眠が浅くなり、少しの物音や体の動きでも目が覚めやすくなります。
  • 寝る前の考え事: 布団に入ってから今日の出来事を反芻したり、明日の予定や心配事を延々と考えてしまったりすると、脳が休まらず覚醒レベルが上がってしまいます。
  • うつ病や不安障害: これらの精神疾患は、脳内の神経伝達物質の異常を伴うことが多く、不眠、特に中途覚醒や早朝覚醒といった症状を伴うことが非常に多いです。心の健康状態は、睡眠の質に大きく影響します。

ストレスや精神的な要因による中途覚醒は、特に就寝直後よりも、夜中から朝方にかけて起こりやすい傾向があります。これは、ストレスホルモンの分泌が特定の時間帯に変動することや、睡眠の浅いステージが増えることなどが関連しています。

身体的な病気や症状との関連

中途覚醒は、何らかの身体的な病気や症状のサインであることも少なくありません。体が発する不快な信号が、睡眠を妨げ、覚醒を誘発します。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。気道が狭くなることで起こり、特に肥満の方や、顎が小さい方に多く見られます。呼吸が止まるたびに体内の酸素濃度が低下し、脳が危険を察知して覚醒を促します。多くの場合、完全に目覚めるわけではなく、無自覚のうちに短い覚醒を繰り返しますが、これにより深い睡眠が妨げられ、中途覚醒として認識されることもあります。

  • 主な症状: 激しいいびき、睡眠中の呼吸停止(家族などに指摘されることが多い)、日中の強い眠気、集中力低下、夜間頻尿、朝の頭痛など。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心疾患、脳卒中などの重篤な病気のリスクを高めるため、疑わしい場合は専門医の診察が不可欠です。

頻尿・体の痛み

睡眠を妨げる物理的な不快感も、中途覚醒の大きな原因となります。

  • 頻尿: 特に夜間に何度もトイレに行くために目が覚めてしまう「夜間頻尿」は、加齢、前立腺肥大(男性)、過活動膀胱、糖尿病、心不全など、様々な原因によって引き起こされます。夜中に目が覚める原因として、最も自覚しやすいものの一つです。
  • 体の痛み: 関節痛、腰痛、頭痛、神経痛など、慢性的な痛みがあると、寝返りを打つなどの体の動きや、特定の姿勢で痛みが強まり、目が覚めてしまいます。痛みが気になってなかなか寝付けないこともあります。

更年期障害

女性の場合、更年期(閉経前後の約10年間)にはホルモンバランスが大きく変化します。特に女性ホルモン(エストロゲン)の減少は、自律神経の乱れを引き起こし、様々な不調を招きます。

  • 主な症状: ほてり(ホットフラッシュ)、大量の発汗、動悸、イライラ、不安感など。これらの症状が夜間に現れると、不快感から目が覚めたり、寝付けなくなったりすることがあります。特に寝汗は、体温調節機能の乱れによるもので、寝具が湿って不快になり、中途覚醒の直接的な原因となります。

更年期障害による不眠は、単なる睡眠の問題だけでなく、全身的な不調の一部として捉える必要があります。

その他の疾患

上記以外にも、中途覚醒を引き起こす可能性のある病気は多数存在します。

  • むずむず脚症候群: 就寝中や安静時に、脚に不快な感覚(むずむずする、虫が這うような感じなど)が生じ、動かしたいという強い衝動に駆られる病気です。不快感から目が覚めたり、眠りにつけなくなったりします。
  • 逆流性食道炎: 胃酸が食道に逆流し、胸焼けやゲップなどの症状を引き起こします。特に横になっていると症状が悪化しやすく、夜間に胸焼けや咳で目が覚めることがあります。
  • 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。動悸、発汗、体の震え、イライラといった症状が現れ、これらが睡眠を妨げることがあります。
  • 周期性四肢運動障害: 睡眠中に無意識に手足がピクつく、あるいは蹴るような動きを繰り返す病気です。自分では気づかないことが多いですが、この動きによって睡眠が妨げられ、中途覚醒の原因となります。
  • 呼吸器疾患: 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがあると、夜間に咳や呼吸困難が悪化し、目が覚めることがあります。
  • 心疾患: 狭心症や心不全などがあると、夜間に胸痛や息苦しさが出現し、中途覚醒につながることがあります。

このように、中途覚醒の原因は様々です。自分がなぜ2時間ごとに目が覚めるのかを理解するためには、日頃の生活習慣や体の状態を注意深く観察することが重要です。

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2時間ごとに目が覚めることで起こる影響

夜中に2時間おきに目が覚めるなど、睡眠が分断される状態が続くと、単に「眠れない」というだけでなく、日中や長期的な心身の健康に様々な悪影響を及ぼします。

日中の眠気や集中力の低下

最も顕著な影響は、日中の強い眠気です。十分な長さと質の睡眠がとれていないため、脳が十分に休息できていません。

  • パフォーマンスの低下: 集中力、記憶力、判断力が低下し、仕事や学業の効率が悪くなります。簡単なミスが増えたり、新しい情報を覚えられなくなったりします。
  • 注意力散漫: ぼーっとしてしまうことが増え、事故につながるリスクも高まります(運転中の居眠りなど)。
  • 反応速度の低下: 体の反応が鈍くなり、危険を回避する能力が低下します。

これらの影響は、日常生活のあらゆる場面に支障をきたす可能性があります。

心身への影響

中途覚醒による慢性的な睡眠不足は、心身の健康に長期的な影響を与えます。

  • 精神的な不安定さ: イライラしやすくなる、気分が落ち込む、不安感が増すなど、感情のコントロールが難しくなります。ひどい場合は、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高めることもあります。
  • 身体的な不調: 疲労感が常にあり、体がだるい、重いといった感覚が続きます。頭痛や肩こり、胃腸の不調などの身体症状が現れることもあります。
  • 免疫力の低下: 睡眠不足は免疫システムの働きを弱め、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
  • 生活習慣病のリスク増加: 慢性的な睡眠不足は、血糖値や血圧のコントロールを悪化させ、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。また、食欲を増進させるホルモンが増え、肥満につながりやすくなることもあります。
  • ホルモンバランスの乱れ: 成長ホルモンやストレスホルモンなど、睡眠中に分泌される様々なホルモンのバランスが乱れ、体の機能に影響を及ぼします。

このように、たかが「夜中に目が覚める」と軽視せず、その影響の大きさを理解することが、改善に向けた第一歩となります。

2時間ごとに目が覚める場合の対策と改善方法

中途覚醒は、その原因によって対策が異なります。まずは自分でできるセルフケアを試してみましょう。それでも改善が見られない場合や、特定の症状がある場合は、医療機関の受診を検討することが重要です。

セルフケアによる改善策

薬に頼る前に、まずは日頃の生活習慣や睡眠環境を見直すことから始めましょう。これを「睡眠衛生」といいます。

睡眠環境の整備

快適な睡眠のためには、寝室の環境を整えることが非常に重要です。

  • 温度と湿度: 寝室の温度は18〜22℃、湿度は50〜60%程度が理想的とされています。夏はエアコンで温度を下げすぎず、冬は加湿器などで乾燥を防ぎましょう。
  • 明るさ: 寝室はできるだけ暗くしましょう。遮光カーテンを使ったり、常夜灯を使わないようにしたりします。小さな光でも脳は感知して覚醒を促すことがあります。
  • 騒音: 外の騒音や家の中の音が気になる場合は、耳栓を使ったり、厚手のカーテンをかけたりするのも有効です。
  • 寝具: 自分に合ったマットレス、枕、掛け布団を選びましょう。体がリラックスできる寝具は、睡眠の質を高めます。季節に合わせて寝具を調整することも大切です。

寝る前のリラックス習慣

心身をリラックスさせて、スムーズに眠りに入れる状態を作る習慣を取り入れましょう。

  • ぬるめのお風呂: 就寝の1〜2時間前に38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体温が一度上がり、その後の体温下降とともに眠気を誘います。
  • 温かい飲み物: カフェインの入っていないハーブティー(カモミールなど)やホットミルクは、リラックス効果が期待できます。
  • ストレッチや軽いヨガ: 体の緊張をほぐし、リラックス効果があります。ただし、激しい運動は避けましょう。
  • 読書や音楽鑑賞: リラックスできる内容の読書(ただし、刺激的な内容や集中力が必要なものは避ける)や、静かな音楽を聴くことも有効です。
  • 腹式呼吸や瞑想: 呼吸に意識を向けたり、心を落ち着かせたりすることで、脳の興奮を鎮めることができます。

ストレスを管理する方法

ストレスは中途覚醒の大きな要因の一つです。自分に合ったストレス解消法を見つけ、実践することが大切です。

  • 趣味や楽しみの時間を作る: 自分が心から楽しめることに時間を使い、リフレッシュしましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、ストレス解消に効果的です。ただし、寝る直前の激しい運動は避け、夕方までに終えるのが理想です。
  • 親しい人に相談する: 悩みや不安を誰かに話すだけでも、気持ちが楽になることがあります。
  • ストレスの原因を分析し、対処法を考える: ストレスを感じる状況や出来事を書き出し、それに対してどのような対処が可能かを具体的に考えてみることも有効です。
  • リラクゼーション法を学ぶ: 筋弛緩法や自律訓練法など、体系的なリラクゼーション法を学ぶことで、自分でストレスをコントロールできるようになります。

その他のセルフケア

  • 規則正しい生活リズム: 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように努めましょう。休日も平日との差を1〜2時間以内にとどめるのが理想です。
  • 朝日を浴びる: 朝起きたらすぐにカーテンを開け、朝日を浴びましょう。体内時計がリセットされ、覚醒と睡眠のリズムが整いやすくなります。
  • 寝る前のカフェイン・アルコール・ニコチンを避ける: これらは睡眠を妨げるため、特に就寝前数時間は摂取しないようにしましょう。
  • 寝る前のスマホ・PCの使用を控える: ブルーライトの影響を避けるため、就寝1時間前からは使用を控えるのがおすすめです。
  • 寝る前の食事を避ける: 就寝直前に食事をすると、消化活動のために体が休まらず、睡眠が浅くなることがあります。夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想です。
  • 日中の過ごし方: 昼寝をする場合は、午後3時までに20〜30分程度にするのが良いでしょう。長い昼寝や遅い時間の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を与えます。

これらのセルフケアを継続することで、中途覚醒が改善される可能性があります。しかし、すぐに効果が出なくても焦らず、根気強く続けることが大切です。

病院を受診すべき目安

セルフケアを試しても改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は、一人で悩まず医療機関を受診することを強く推奨します。

  • セルフケアを数週間〜数ヶ月試しても中途覚醒が改善しない。
  • 日中の強い眠気があり、仕事や学業、日常生活に支障が出ている(居眠り運転の危険など)。
  • 激しいいびきや、睡眠中に呼吸が止まっていると家族などに指摘された(睡眠時無呼吸症候群の疑い)。
  • 夜間頻尿がひどく、睡眠が中断される回数が多い。
  • 体の痛み、胸焼け、息苦しさなど、明らかな身体症状があり、それが原因で目が覚めていると感じる。
  • 手足の不快な感覚や、睡眠中の手足の動きが気になる(むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害の疑い)。
  • 気分の落ち込み、強い不安感、イライラなどが続き、精神的な不調も感じている。
  • 体重の急激な変化、動悸、発汗など、甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患が疑われる症状がある。
  • 眠れないことに対して、強い不安や恐怖を感じるようになり、不眠そのものに囚われている。

これらの症状がある場合は、単なる生活習慣の問題ではなく、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが、睡眠の改善だけでなく、全身の健康を守るために重要です。

医療機関での診断と治療法

中途覚醒で医療機関を受診する場合、何科に行けば良いか迷うかもしれません。一般的には、まずかかりつけの内科医に相談するか、以下のような専門科を受診するのが良いでしょう。

  • 睡眠専門医・睡眠外来: 不眠症や睡眠呼吸障害など、睡眠障害全般を専門的に診察・治療しているため、最も適しています。睡眠ポリグラフ検査など、専門的な検査も可能です。
  • 精神科・心療内科: ストレス、不安、うつ病など、精神的な要因が強く疑われる場合に適しています。
  • 呼吸器内科: 睡眠時無呼吸症候群や喘息など、呼吸器系の問題が疑われる場合に適しています。
  • 泌尿器科: 夜間頻尿が主な原因である場合に適しています。
  • 整形外科・ペインクリニック: 体の痛みが原因である場合に適しています。
  • 婦人科: 更年期障害など、女性特有の原因が疑われる場合に適しています。

医師は、まず詳しい問診を行います。いつから中途覚醒が始まったか、どれくらいの頻度か、目が覚めたらどうしているか、日中の眠気はあるか、いびきや呼吸停止を指摘されたことがあるか、服用中の薬はないか、既往歴はないかなど、様々な質問を通じて原因を探ります。必要に応じて、以下のような検査が行われることがあります。

  • 睡眠日誌: 毎日、寝た時間、起きた時間、夜中に目が覚めた回数と時間、昼寝の有無、カフェインやアルコールの摂取量などを記録します。医師が睡眠パターンを把握するのに役立ちます。
  • アクチグラフ: 腕時計型やリストバンド型の装置を装着し、体の動きから睡眠・覚醒のパターンを数日間記録します。客観的に睡眠状態を評価できます。
  • 睡眠ポリグラフ検査(PSG検査): 医療機関に一泊入院し、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、 SpO2(血液中の酸素濃度)などを同時に測定する検査です。睡眠の深さ、睡眠中の呼吸状態、体の動きなどを詳細に調べることができ、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの診断に不可欠です。
  • 簡易睡眠検査: 自宅でできる簡易的な睡眠時無呼吸症候群の検査です。指や鼻にセンサーをつけて一晩の呼吸状態やSpO2を測定します。

診断に基づき、医師は適切な治療法を提案します。治療法は原因によって異なります。

  • 薬物療法:
    • 睡眠導入剤: 寝付きを良くする薬ですが、中途覚醒に対しては、夜間の覚醒を減らす効果が期待できるものもあります。ただし、依存性や副作用のリスクもあるため、医師の指導のもと、慎重に使用されます。
    • 抗うつ薬・抗不安薬: ストレスや精神的な不調が原因の場合に処方されることがあります。睡眠を安定させる効果を持つものもあります。
    • 原因疾患に対する薬: 頻尿に対する薬、痛みを和らげる薬、甲状腺ホルモンを調整する薬など、原因となっている病気を治療する薬が処方されます。
  • 認知行動療法(CBT-I): 不眠に対する考え方や行動パターンを修正していく心理療法です。不眠に囚われている状態を改善し、睡眠に対する不安を軽減することで、自然な眠りを回復させることを目指します。セルフケアをさらに発展させたような内容で、睡眠効率を高めるための具体的な指導も行われます。
  • CPAP療法: 睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法です。就寝時にマスクを装着し、装置から空気を送り込むことで気道が開通した状態を保ち、無呼吸を防ぎます。これにより睡眠の分断が解消され、中途覚醒や日中の眠気が改善されます。
  • その他: むずむず脚症候群には特定の薬が有効な場合があります。更年期障害による不眠には、ホルモン補充療法などが検討されることもあります。

医療機関では、単に睡眠薬を処方するだけでなく、原因を特定し、その原因に合わせた多角的なアプローチで治療を行います。医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。

医療機関での検査内容と治療法の比較表

検査内容 目的・特徴 主に診断できる疾患
睡眠日誌 睡眠パターン(時間、覚醒回数など)を記録し、医師が傾向を把握。手軽に実施可能。 不眠症全般の評価
アクチグラフ 体の動きから客観的に睡眠・覚醒を数日間記録。自宅で実施可能。睡眠効率などを評価。 不眠症全般の評価、概日リズム睡眠障害
睡眠ポリグラフ検査(PSG) 脳波、呼吸、心電図などを精密測定。睡眠の質、呼吸状態、体の動きを詳細に分析。入院が必要。 睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、ナルコレプシーなど
簡易睡眠検査 自宅で呼吸や酸素濃度を測定。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング。 睡眠時無呼吸症候群の可能性評価
治療法 目的・特徴 主な対象 メリット デメリット・注意点
睡眠薬 寝付きや夜間の覚醒を改善。 不眠症 即効性がある 依存性、耐性、副作用(ふらつき、眠気など)のリスク
認知行動療法(CBT-I) 不眠に関する考え方や行動を修正。 不眠症(特に慢性不眠症) 非薬物療法で安全性が高い、持続的な効果が期待できる 効果が出るまで時間がかかる、専門的な指導が必要
CPAP療法 就寝時にマスクで空気を送り込み気道確保。 睡眠時無呼吸症候群 呼吸状態が劇的に改善、合併症リスク低下 装置の装着に慣れが必要、毎晩の装着が必要
原因疾患の治療薬 underlying disease (例: 頻尿、痛み、精神疾患) を治療。 原因となる特定の疾患がある場合 不眠の原因そのものを治療できる 効果が出るまで時間がかかる、薬剤ごとの副作用
ホルモン補充療法 ホルモンバランスの乱れ(更年期など)を改善。 更年期障害など ほてりや発汗など、関連症状も改善 適用できない場合や副作用のリスクがある

どの治療法が適切かは、個々の原因や状態によって異なります。必ず医師と十分に相談し、自分に合った治療計画を立てることが重要です。

【まとめ】つらい夜中の覚醒を改善するために

夜中に2時間ごとに目が覚めるという悩みは、日中の活動に大きな影響を与え、心身の健康を損なう可能性があります。その原因は、ストレスや生活習慣といった比較的身近なものから、睡眠時無呼吸症候群や更年期障害など、医療的な介入が必要な病気まで多岐にわたります。

まずは、ご自身の生活習慣や睡眠環境を見直し、セルフケアを試してみることから始めてみましょう。規則正しい生活、快適な寝室環境、寝る前のリラックス習慣、そしてストレスの管理は、睡眠の質を高めるために非常に重要です。

しかし、セルフケアだけでは改善しない場合や、強い日中の眠気、激しいいびき、夜間頻尿、体の痛みなど、気になる症状がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。特に睡眠時無呼吸症候群のように、放置すると重篤な病気につながる可能性のある疾患もあります。

医療機関では、専門的な検査や問診を通じて原因を特定し、薬物療法、認知行動療法、CPAP療法など、原因に合わせた適切な治療法が提案されます。一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることで、つらい夜中の覚醒を改善し、質の良い睡眠を取り戻すことができるでしょう。

この記事が、あなたの眠りの悩みを解決するための一助となれば幸いです。

【免責事項】
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個人の症状については、必ず医師の診察を受けてください。情報の正確性には努めていますが、内容の利用によって生じたいかなる結果についても、当方では責任を負いかねます。

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