MBTIは、個人の性格を16種類に分類するツールとして世界中で活用されています。
それぞれのタイプには独自の思考パターン、行動傾向、価値観があり、それらを理解することは、自分自身や他者との関係性を深める上で非常に役立ちます。
今回は、MBTIの16タイプの中でも、「管理者」として知られるISTJと、「主人公」として知られるENFJの相性に焦点を当てて解説します。
実直で責任感が強いISTJと、情熱的で他者への影響力が強いENFJ。
一見対照的なこの二つのタイプは、どのような相性を示すのでしょうか。
恋愛、仕事、友人関係など、さまざまな側面から二人の関係性の可能性と課題を探り、より良い関わり方を見つけるためのヒントをお届けします。
あなたの人間関係をより豊かにするための参考にしてください。

ISTJ（管理者）と ENFJ（主人公）の相性

ISTJとENFJは相性が良い？関係性の全体像

ISTJとENFJは、認知機能の組み合わせにおいて多くの違いを持っています。
ISTJは内向的感覚 (Si) を主機能とし、外向的思考 (Te) を補助機能に持っています。
一方、ENFJは外向的感情 (Fe) を主機能とし、内向的直観 (Ni) を補助機能に持っています。
この機能の違いが、それぞれの価値観や行動様式に大きな影響を与えます。

しかし、この違いがあるからこそ、お互いにない視点や強みを補い合う相互補完的な関係性を築くことが可能です。
互いの違いを理解し、尊重し合うことができれば、非常に学びが多く、成長を促し合える良好な相性になり得ます。

ISTJ（管理者）の基本的な特徴

ISTJタイプは、現実的で論理的、そして非常に責任感が強い「管理者」です。
伝統やルールを重んじ、物事を順序立てて正確に進めることを得意とします。

• 内向的感覚 (Si) 優位: 過去の経験や事実に基づき、詳細を正確に記憶・整理する能力に長けています。安定と継続性を好み、変化には慎重な姿勢をとることが多いです。
• 外向的思考 (Te) 補助: 効率性や論理性を重視し、客観的な基準に基づいて判断を下します。目標達成のために計画を立て、着実に実行することを好みます。
• 内向的感情 (Fi) 第三機能: 自分の内面的な価値観や感情を持っていますが、それを表に出すことは少ないです。親しい人の感情には配慮を示しますが、広く他者の感情を読み取るのは得意ではないことがあります。
• 外向的直観 (Ne) 劣等機能: 新しい可能性やアイデアを模索することは苦手意識があり、未知のリスクを避ける傾向があります。

ISTJは、信頼性が高く、困難な状況でも冷静に対処できる頼れる存在です。
詳細への注意深さと実務能力が高く、組織や家庭の基盤を支える役割を果たすことが多いでしょう。
一方で、感情表現が控えめであったり、変化への適応に時間がかかったりすることがあります。

ENFJ（主人公）の基本的な特徴

ENFJタイプは、カリスマ性があり、他者への深い共感と強いリーダーシップを発揮する「主人公」です。
人々を惹きつけ、共通の目標に向けて導く能力に優れています。

• 外向的感情 (Fe) 優位: 他者の感情やニーズに非常に敏感で、調和を大切にします。人々をサポートし、励ますことに喜びを感じ、集団全体の幸福や成長を願います。
• 内向的直観 (Ni) 補助: 長期的な視点を持ち、複雑な状況から本質を見抜く洞察力があります。未来の可能性や大きなビジョンを描くことを得意とします。
• 外向的感覚 (Se) 第三機能: 現在の状況や具体的な事実に注意を払うこともできますが、計画よりも状況への適応を優先することがあります。
• 内向的思考 (Ti) 劣等機能: 論理的な分析や批判的思考は苦手意識があり、感情的な側面を優先しやすい傾向があります。

ENFJは、人との繋がりを大切にし、周囲の人々の可能性を引き出すことに情熱を燃やします。
温かく、社交的で、多くの人から慕われる存在です。
しかし、他者の期待に応えようとしすぎたり、自分の感情を抑え込んでしまったりすることがあります。

二つのタイプの違いと共通点

ISTJとENFJの間には、思考の焦点、意思決定の方法、エネルギーの方向性など、多くの違いがあります。

特徴	ISTJ（管理者）	ENFJ（主人公）
主機能	内向的感覚 (Si) – 過去/事実	外向的感情 (Fe) – 他者の感情/調和
補助機能	外向的思考 (Te) – 論理/効率	内向的直観 (Ni) – 将来/ビジョン
エネルギー	内向的 (I) – 内省的、静か	外向的 (E) – 社交的、活動的
情報処理	感覚的 (S) – 現実的、具体的	直観的 (N) – 抽象的、概念的
判断	思考的 (T) – 論理的、客観的	感情的 (F) – 価値観、共感的
外界への態度	判断的 (J) – 計画的、組織的	判断的 (J) – 決断的、体系的

主な違い:

• エネルギーの方向性 (I vs E): ISTJは内向的で一人や少人数で過ごすことでエネルギーを回復しますが、ENFJは外向的で多くの人と関わることでエネルギーを得ます。
• 情報処理の方法 (S vs N): ISTJは具体的な事実や過去の経験を重視して現実を見ますが、ENFJは全体像や将来の可能性、隠された意味を読み取ろうとします。
• 意思決定の基準 (T vs F): ISTJは論理的、客観的な分析に基づいて判断しますが、ENFJは自分や他者の価値観、感情的な影響を考慮して判断します。

共通点:

• 外界への態度 (J): ISTJもENFJも「判断型 (Judging)」です。これは、物事を計画的に進め、整理することを好み、明確な結論や決定を求めやすい傾向があることを意味します。この共通点は、関係において安定感や共通の目標設定をしやすいという点でプラスに働くことがあります。

これらの違いは、すれ違いや誤解の原因になる可能性も秘めていますが、同時に、互いに異なる視点を提供し合い、視野を広げる機会でもあります。

なぜISTJとENFJは相互補完的な関係性なのか

ISTJとENFJが相互補完的な関係性を築ける理由は、彼らが持つ認知機能の違いが、お互いの弱点を補い、強みを引き出し合うように働くからです。

• ISTJの現実主義とENFJの理想主義: ISTJは具体的な事実に基づいた現実的な視点を提供し、ENFJが描く壮大なビジョンや計画が地に足着いたものになるようサポートできます。一方、ENFJはISTJが時に見落としがちな新しい可能性や将来の展望を示し、彼らの視野を広げることができます。
• ISTJの論理とENFJの共感: ISTJの論理的で客観的な思考は、ENFJが感情に流されそうになったときに冷静な判断基準を提供できます。逆に、ENFJの深い共感力は、ISTJが他者の感情や人間関係のダイナミクスを理解するのを助け、より温かいアプローチを促します。
• 計画性と柔軟性のバランス: どちらも判断型(J)であるため、物事を計画的に進める点で共通理解がありますが、ENFJの補助機能Niは長期的なビジョンや流れを重視するため、ISTJのSiが重視する「過去に基づいた確実な計画」に、より柔軟性や新しい視点をもたらすことができます。
• 行動力と安定性: ENFJは人々を動かす情熱と行動力がありますが、時に細部を見落とすことがあります。ISTJは細部への注意深さと着実な実行力で、ENFJのビジョンを実現するための安定した土台を提供できます。

このように、ISTJとENFJは、お互いが「持っていないもの」を提供し合うことで、一人では成し遂げられないような大きな成果を生み出したり、人間的に成長し合ったりすることが可能です。
違いを欠点と捉えるのではなく、相互に学び合う機会として捉えることが、この二つのタイプの関係性を豊かにする鍵となります。

【関係性別】ISTJとENFJの相性詳細

ISTJとENFJの関係性は、それがどのような文脈（恋愛、友人、仕事など）にあるかによって異なる側面を見せます。
それぞれの関係性における相性を詳しく見ていきましょう。

恋愛における相性

恋愛関係において、ISTJとENFJは互いに惹かれ合う可能性があります。
安定を求めるISTJと、深い繋がりと成長を求めるENFJは、意外な組み合わせに思えるかもしれませんが、互いの異なる特性が魅力的に映ることがあります。

恋愛での惹かれ合う点

• ISTJの安定感とENFJの情熱: ISTJの持つ揺るぎない信頼性、誠実さ、そして着実さは、ENFJに安心感と安定感を与えます。ENFJの情熱的でロマンチックな側面や、パートナーへの深い愛情表現は、ISTJの控えめな感情に新しい色をもたらし、彼らを温かく包み込みます。
• ISTJの現実的なサポートとENFJの精神的なサポート: ISTJは、生活の安定や具体的な問題解決において現実的なサポートを提供できます。ENFJは、ISTJの感情的なニーズを察知し、精神的な支えとなり、彼らが感情を表に出しやすい雰囲気を作ることができます。
• 互いの成長を促す: ISTJはENFJに現実的な視点や計画性の重要さを教え、ENFJはISTJに他者への共感や感情表現の大切さを教えることができます。互いの「苦手」な領域を補い合うことで、人間的な成長を促し合える関係です。

恋愛関係で直面しやすい課題

• 感情表現の違い: ISTJは感情を内面に秘める傾向があり、感情表現が控えめです。ENFJは感情を共有し、パートナーからの感情的な反応を求める傾向があるため、ISTJの控えめな態度を「感情がない」「自分に関心がない」と誤解してしまう可能性があります。
• コミュニケーションスタイルの違い: ISTJは事実に基づいて論理的にコミュニケーションを取ることを好みますが、ENFJは感情や人間関係の側面を重視します。問題が発生した際に、ISTJが事実関係を淡々と述べようとするのに対し、ENFJが感情的な側面からアプローチしようとして、すれ違いが生じることがあります。
• 計画性 vs 柔軟性: どちらも判断型ですが、ISTJは具体的な詳細まで計画を立てたいのに対し、ENFJは大きなビジョンに基づきつつも、状況に応じた柔軟な対応を好むことがあります。休日の過ごし方や将来の計画などで意見の対立が生じる可能性があります。
• ENFJの他者への関心: ENFJは多くの人と関わることにエネルギーを得るため、友人やコミュニティ活動に多くの時間を割くことがあります。内向的なISTJは、プライベートな時間を重視するため、ENFJの社交性に戸惑いを感じたり、自分との時間が足りないと感じたりする可能性があります。

これらの課題を乗り越えるためには、オープンなコミュニケーション、互いの違いへの理解と尊重、そして妥協点を見つける努力が不可欠です。
特に、ISTJは意識的に感情を表現する努力を、ENFJはISTJのプライベートな時間を尊重する努力をすることで、関係はより安定します。

友人としての相性

友人としてのISTJとENFJは、お互いに刺激を与え合い、新たな視点をもたらす関係性を築くことができます。
深い友情に発展する可能性も十分にあります。

友情を深めるためのポイント

• 共通の興味を見つける: 例え少ない共通点でも、一緒に楽しめる活動（例えば、ボランティア活動や特定の趣味サークルなど）を見つけることで、自然な交流が生まれ、友情を深めることができます。
• お互いの得意なことを共有する: ISTJは具体的な情報や実務的なアドバイスを提供でき、ENFJは励ましや人間関係のアドバイスを提供できます。互いの得意分野で助け合うことで、信頼関係が築かれます。
• ISTJはENFJの社交性を理解する: ENFJが多くの友人と広く浅く付き合う側面も持つことを理解し、彼らの社交的なエネルギーを尊重します。
• ENFJはISTJの深い信頼を待つ: ISTJは親しくなるのに時間がかかりますが、一度信頼した相手には非常にLoyal（忠実）です。ENFJはISTJのペースを尊重し、焦らず関係を築いていくことが大切です。

友人関係で注意すべきこと

• ISTJのプライベート空間: ISTJは一人の時間を大切にし、感情や個人的な話をあまり表に出しません。ENFJは親しい相手とは感情を深く共有したいと思う傾向があるため、ISTJの閉じこもりがちな姿勢を「心を開いてくれていない」と感じてしまうかもしれません。
• 意見の衝突: 物事を論理的に考えるISTJと、感情や価値観を重視するENFJは、特定の話題について意見が対立することがあります。例えば、社会問題について話す際に、ISTJは事実に基づいたデータや統計を重視する一方、ENFJは人々の感情や倫理的な側面を強く主張するといった具合です。
• ENFJのオーバーケア: ENFJは友人に対しても面倒見が良く、助けになりたいという気持ちが強いですが、ISTJは自分のことは自分で解決したい、他人に頼りたくないという気持ちが強いです。ENFJの善意のサポートが、ISTJにとっては「干渉されている」と感じられてしまう可能性があります。

仕事における相性

仕事の場では、ISTJの実行力とENFJのリーダーシップが組み合わさることで、非常に効率的で成功に繋がるチームを形成できます。
互いの強みを活かした役割分担が鍵となります。

上司と部下での相性

• ISTJ上司とENFJ部下: ISTJ上司は明確な指示と期待を示し、部下がそれに沿って着実に業務を進めることを求めます。ENFJ部下は、上司の目標を理解し、チーム全体の士気を高めながら業務を推進する能力に優れています。ISTJ上司はENFJ部下の人間関係構築能力を評価し、ENFJ部下はISTJ上司の安定した指示を頼りにできます。課題としては、ISTJ上司がENFJ部下の感情的な側面やビジョンを理解しにくいこと、ENFJ部下がISTJ上司の融通の利かない面に窮屈さを感じることがあります。
• ENFJ上司とISTJ部下: ENFJ上司は、チームのビジョンを示し、メンバーの成長を促すことに長けています。ISTJ部下は、上司のビジョンを着実に実行に移すための具体的な計画を立て、詳細な作業を正確にこなす能力に優れています。ENFJ上司はISTJ部下の信頼性と実務能力を高く評価し、ISTJ部下はENFJ上司のリーダーシップとポジティブな雰囲気に支えられます。課題としては、ENFJ上司がISTJ部下の感情的なニーズに気づきにくいこと、ISTJ部下がENFJ上司の理想主義や感情的な決定に戸惑うことがあります。

同僚としての相性

同僚として、ISTJは計画の立案や細部の確認、タスクの実行を担当し、ENFJはチーム内のコミュニケーション円滑化、協力体制の構築、メンバーのモチベーション維持を担当すると、それぞれの強みが活かせます。
ISTJはENFJの社交性と前向きな姿勢から刺激を受け、ENFJはISTJの信頼性と安定した仕事ぶりに安心感を得ます。
ただし、意見の相違が生じた場合に、論理vs感情の対立になりやすい点は注意が必要です。
互いの専門性やアプローチ方法を尊重し、建設的な議論を心がけることが重要です。

ビジネスパートナーとしての相性

ビジネスパートナーとして、ISTJとENFJは強力なコンビを組むことができます。
ISTJは事業の基盤となる堅実な計画、財務管理、リスク評価などを担当し、ENFJは市場のニーズの把握、顧客との関係構築、チームの結束強化、将来的な事業の方向性設定などを担当します。
ISTJの現実的な視点がENFJのビジョンに実行可能性を与え、ENFJの人間的な側面がISTJのビジネスに温かさと広がりをもたらします。
互いの役割を明確にし、定期的にオープンなコミュニケーションを取ることで、成功するビジネスを築ける可能性が高いです。

関係性	惹かれ合う点/強み	課題/注意点
恋愛	安定感と情熱、互いの成長促進	感情表現、コミュニケーション、計画性
友人	新しい視点、得意分野での助け合い	プライベート空間、意見の衝突、オーバーケア
上司-部下	計画性とリーダーシップ、実行力	価値観の理解、感情的なニーズへの配慮
同僚	役割分担、チームワークの円滑化	意見の相違、アプローチ方法の違い
ビジネスP	堅実な計画とビジョン、実行力と人間性	役割分担、定期的なコミュニケーション

家族・親戚としての相性

家族や親戚としての関係では、血縁という強い繋がりがあるため、MBTIの相性が良くない場合でも関わりを持つことになります。
ISTJは家族の伝統やルールを重んじ、家族のために安定した環境を提供しようとします。
ENFJは家族の絆を大切にし、家族一人ひとりの感情的な幸福や成長を願います。

• ISTJの役割: 家族のルールやスケジュールを守り、現実的な問題（家計、手続きなど）に対処する。
• ENFJの役割: 家族間のコミュニケーションを円滑にし、悩みを聞いたり、イベントを企画したりする。

課題としては、ISTJが感情的なサポートを苦手とすることや、ENFJが家族の個人的な空間に踏み込みすぎることがあります。
しかし、互いの善意（ISTJの安定への貢献、ENFJの家族への愛情）を理解できれば、補い合いながら良好な家族関係を築けます。
例えば、ISTJが具体的な手助けで愛情を示し、ENFJが言葉や態度で感謝を伝えるといった、互いの愛情表現を理解することが大切です。

親友としての相性

親友としてのISTJとENFJは、お互いに深く信頼し合える関係になる可能性があります。
ISTJは親友と認めた相手には深い忠誠心を持ち、困った時には黙ってでも力になります。
ENFJは親友の感情の機微を察知し、温かい励ましやサポートを惜しみません。

• ISTJ: 秘密を守り、約束を守る信頼できる存在。地に足の着いた現実的なアドバイスを提供。
• ENFJ: どんな時も味方でいてくれる、感情的な支え。視野を広げるような新しい視点や可能性を提示。

親友としての課題は、感情の波が異なる点です。
ENFJが感情的に落ち込んでいるときに、ISTJが論理的な解決策を提示しすぎてしまうと、ENFJは「理解されていない」と感じるかもしれません。
逆に、ISTJが個人的な問題を抱えているときに、ENFJが感情的なサポートを押し付けすぎると、ISTJは負担に感じるかもしれません。
互いの感情的なニーズやサポートの仕方について理解し合うことが、親友関係を深める鍵です。

その他の関係性（隣人、趣味仲間など）

隣人や趣味仲間など、限定的な関わり合いにおいては、ISTJとENFJは比較的スムーズな関係を築きやすいでしょう。

• 隣人: ISTJはルールを守り、静かで秩序を保つ良い隣人となり得ます。ENFJは社交的で、地域のイベントに積極的に関わることで、近所付き合いを円滑にします。互いに適切な距離感を保ちつつ、必要な時に助け合うことができる関係です。
• 趣味仲間: 共通の趣味においては、ISTJはその趣味に関する知識を深めたり、技術を着実に習得したりすることに集中します。ENFJはその趣味のコミュニティを活性化させたり、メンバー同士の交流を深めたりする役割を果たします。ISTJの専門性とENFJの協調性が組み合わさることで、趣味をより楽しむことができるでしょう。

これらの関係性では、深い感情的な関わりが少ない分、互いの違いが表面化しにくく、それぞれの強みが活かされやすい側面があります。

ISTJとENFJの関係を良好に保つには

ISTJとENFJの関係を良好に保つためには、互いの根本的な違いを理解し、それを尊重する姿勢が不可欠です。
特にコミュニケーションと価値観の理解が鍵となります。

コミュニケーションの鍵

ISTJとENFJの間で最も大きな課題の一つとなりやすいのが、コミュニケーションスタイルの違いです。

• ISTJからENFJへ:
  • 感情への配慮: ENFJは感情や人間関係を非常に重視します。何かを伝える際には、事実だけでなく、それが相手や周囲の人に与える感情的な影響についても考慮していることを示すと、ENFJはより心を開いてくれます。
  • 励ましと感謝: ENFJは他者からの肯定的なフィードバックや感謝によってエネルギーを得ます。ISTJは感情表現が苦手かもしれませんが、ENFJの努力や貢献に対して具体的に感謝の言葉を伝えることで、彼らのモチベーションを維持できます。
  • ビジョンへの関心: ENFJは将来のビジョンや理想について話すのが好きです。ISTJは現実的で「それで具体的にどうなるの？」と思いがちですが、ENFJの描くビジョンに耳を傾け、関心を示すことで、より深い繋がりを感じさせることができます。
• ENFJからISTJへ:
  • 論理と事実: ISTJは感情的な訴えよりも、論理的で具体的な事実に基づいたコミュニケーションを好みます。何かを説明したり説得したりする際には、感情的な言葉を抑え、客観的な情報や過去の事例を提示すると、ISTJは納得しやすいです。
  • プライベートの尊重: ISTJは個人的な空間や時間を大切にし、感情や内面をすぐに表に出しません。ENFJは相手に寄り添いたい気持ちから踏み込みすぎることがありますが、ISTJが心を開くには時間が必要であることを理解し、焦らず、彼らのペースを尊重することが大切です。
  • 感謝の具体的な表現: ISTJは言葉での感謝や感情表現が少ない代わりに、具体的な行動で示します（例：頼まれたことを黙々とこなす、時間通りに来る）。ENFJは、ISTJのこうした行動を愛情や配慮の表現として受け止め、それを具体的に感謝する言葉を伝えることで、ISTJは自分の貢献が認められていると感じられます。

互いの価値観を理解し尊重する重要性

ISTJとENFJは、根本的に重視する価値観が異なります。
ISTJは秩序、責任、信頼性、伝統などを重んじ、ENFJは共感、調和、成長、他者への貢献などを重んじます。
これらの違いは、意思決定や行動の基準において衝突を生む可能性があります。

• 理解への努力: なぜ相手がそのような考え方や行動をとるのか、その背景にある価値観を理解しようと努めることが重要です。
  MBTIのようなツールを使って、互いのタイプの傾向や認知機能について学ぶことも有効です。
• 違いの尊重: 相手の価値観が自分と違っていても、それを否定せず、一つの個性として尊重する姿勢が不可欠です。
  どちらの価値観が優れているということではなく、それぞれに強みと弱みがあることを認識します。
• 共通の価値観や目標を見つける: 違いがある中でも、関係性における共通の目標や大切にしたいこと（例：お互いの幸福、特定のプロジェクトの成功）を見つけることで、協力し合うための基盤ができます。

違いを乗り越え成長する具体的な方法

ISTJとENFJの関係は、互いに学び合い、人間として成長するための素晴らしい機会となり得ます。
違いを乗り越えるための具体的な方法をいくつか紹介します。

• 定期的な「チェックイン」タイム: 意識的に二人で向き合う時間を作り、お互いの気持ちや関係性について話し合う機会を持ちましょう。
  この時、非難するのではなく、「私はこう感じた」「私にはこう見えた」といった「私（I）」メッセージで話すことが大切です。
  ENFJは感情を言葉にするのが得意ですが、ISTJも努力して自分の内面を伝えるようにします。
• 互いの「ホームグラウンド」に足を踏み入れる: ISTJは具体的な活動やルーティンを、ENFJは人間関係や社会的な活動を好みます。
  お互いの「ホームグラウンド」に積極的に参加してみましょう。
  ISTJがENFJと一緒にボランティア活動に参加したり、ENFJがISTJと一緒に静かな時間を過ごしたりすることで、相手の世界を体験し、理解を深めることができます。
• 共通の目標を設定し協力する: 一緒に何かを達成する経験は、絆を深めます。
  旅行の計画、家の改装、地域のイベントへの参加など、具体的な共通の目標を設定し、それぞれの得意な部分を活かして協力して取り組みます。
  ISTJの計画性とENFJの実行力・人間関係スキルが組み合わされば、大きな成果を生み出せるでしょう。
• ユーモアを大切にする: 違いから生じる誤解や小さな衝突を、深刻に捉えすぎず、時にはユーモアを交えて乗り越えることも大切です。
  お互いをからかいすぎない範囲で、軽いジョークを言い合える関係は、ストレスを軽減します。
• 相手の成長をサポートする: 互いの弱点や苦手な部分を補い合うだけでなく、相手が人間的に成長したいと思っていることをサポートします。
  例えば、ISTJが感情表現を豊かにしたいと思っているなら、ENFJは安全な空間でそれを受け止める手助けをします。
  ENFJが計画性や現実的な視点を養いたいと思っているなら、ISTJは具体的な方法やアドバイスを提供できます。

まとめ：ISTJとENFJの相性から学ぶこと

ISTJ（管理者）とENFJ（主人公）の相性は、一見すると多くの違いがあるため難しいように見えるかもしれません。
しかし、その違いこそが、この二つのタイプが互いに深く影響を与え合い、学び、成長できる関係性を築く最大の理由となり得ます。

ISTJはENFJに現実的な視点、計画性、そして揺るぎない信頼性をもたらします。
彼らの安定した存在は、ENFJが理想を追求する上での強固な土台となります。
一方、ENFJはISTJに感情的な深さ、他者への共感、そして広い視野をもたらします。
彼らの温かいサポートとインスピレーションは、ISTJが内面の感情と向き合い、新しい可能性に目を向けるきっかけとなります。

恋愛においても、友人関係においても、仕事の場においても、この二つのタイプが良好な関係を築くための鍵は、「理解と尊重」、そして「オープンなコミュニケーション」です。
互いの価値観やコミュニケーションスタイルの違いを認識し、それを否定するのではなく、お互いを補い合う強みとして受け入れることが大切です。
違いを乗り越えるために意識的な努力は必要ですが、その過程で得られる学びや成長は、関係性をより豊かなものにするでしょう。

MBTIはあくまで自己理解、他者理解のためのツールであり、個人の相性を決定づけるものではありません。
同じタイプであっても個人差は大きく、育ってきた環境や経験によっても性格や行動は異なります。
この記事が、ISTJとENFJの関係性における可能性を探る一助となり、互いの違いを認め合い、支え合いながら、より良い関係を築いていくためのヒントとなれば幸いです。