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元睡眠薬エリミン(赤玉)が販売中止になった理由と現状

エリミンは、かつて日本で不眠症治療薬として使用されていた医薬品です。特に「赤玉」という通称で知られ、その distinctive な見た目から特定の層の間で広く流通し、社会問題にもなりました。主成分はニメタゼパムというベンゾジアゼピン系の化合物です。強力な催眠作用を持つ一方で、依存性や乱用リスクも高く、現在では日本国内での製造・販売は中止されています。この記事では、エリミンがなぜ販売中止に至ったのか、その効果や副作用、そして「赤玉」と呼ばれる背景、海外での扱い、個人輸入の危険性、そして現在利用可能な代替薬について詳しく解説します。

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エリミンとはどのような薬?

エリミンは、かつて日本の医療現場で処方されていた睡眠薬の一つです。特に強力な作用を持つベンゾジアゼピン系薬剤として知られていました。その独特な色と形状から「赤玉」という通称で広く認識されていましたが、この通称が思わぬ形で社会的な問題と結びつくことになります。

不眠症治療薬としての位置付け

エリミンは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中でも、比較的短時間作用型から中間時間作用型に分類される薬でした。不眠症の中でも、寝つきが悪い「入眠困難」や、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」に対して処方されることがありました。脳内のGABA受容体に作用し、神経活動を抑制することで催眠作用や鎮静作用をもたらします。その作用の強さから、重度の不眠症に対して用いられるケースもあったとされています。

しかし、ベンゾジアゼピン系睡眠薬全般に言えることですが、依存性や耐性の形成、また長期連用による様々な副作用のリスクが指摘されるようになり、処方ガイドラインがより慎重なものへと見直されていきました。エリミンも例外ではなく、その強力な作用ゆえに、依存や乱用といった問題が顕在化しやすい薬剤でもありました。

主成分ニメタゼパムについて

エリミンの有効成分は「ニメタゼパム」です。ニメタゼパムは、ベンゾジアゼピン骨格を持つ化合物であり、中枢神経系に作用します。具体的には、抑制性の神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)の受容体に結合し、GABAの作用を増強することで効果を発揮します。

GABAは脳の興奮を抑える働きがあるため、ニメタゼパムがGABAの働きを強めることで、催眠作用、鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用などがもたらされます。エリミンが睡眠薬として使用されていたのは、このうち特に強力な催眠作用に期待してのことでした。

ニメタゼパムの薬物動態(体内での吸収、分布、代謝、排泄)は、その作用時間や副作用の発現パターンに影響します。エリミンの効果の持続時間やピークについては後述しますが、個人の体質や肝臓・腎臓の機能などによっても変動するため、かつて処方されていた際も個別の状態に応じた慎重な投与が必要とされていました。

エリミンが販売中止になった理由

エリミンが日本国内で製造・販売中止になった背景には、主にその乱用による健康被害と依存性の問題があります。強力な作用を持つ薬は、治療に有効である一方で、適正な使用を逸脱した場合のリスクも高まります。エリミンはまさにその典型例となってしまいました。

なぜ日本で販売中止されたのか

エリミンが販売中止となった主な理由は以下の通りです。

  • 乱用と依存性の高さ: エリミンは他のベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較しても作用が強力であり、短期間の使用でも依存を形成しやすい特性を持っていました。特に、医療目的ではなく、精神的な高揚感や酩酊感を得る目的で不正に入手し、多量に服用するケースが社会問題化しました。覚せい剤などの他の薬物と併用されることも多く、その危険性が指摘されました。
  • 深刻な健康被害の発生: 不正な方法でエリミンを入手・乱用した結果、重篤な意識障害、呼吸抑制、昏睡といった深刻な健康被害が発生しました。最悪の場合、死に至るケースも報告され、その危険性が強く認識されるようになりました。医療機関で適切に処方された場合でも副作用のリスクはありますが、乱用による被害は桁違いに大きく、救急搬送される事例が後を絶ちませんでした。
  • 違法な流通の蔓延: 処方箋医薬品であるにも関わらず、闇ルートなどを通じて違法に入手・販売される事例が増加しました。特に後述する「赤玉」という通称が、一般の人々にも広く知られることで、好奇心や安易な気持ちで手に取るきっかけを与えてしまった側面もあります。このような違法な流通は、薬の品質や量が保証されないだけでなく、使用者の安全を著しく脅かしました。
  • 代替薬の存在: 不眠症治療薬の研究開発が進み、より安全性が高く、依存性や副作用のリスクが比較的低い新しいタイプの睡眠薬が登場してきたことも、エリミンの製造・販売中止を後押しした要因の一つと考えられます。医療現場においても、リスクの高いエリミンに代わる治療選択肢が増えたことで、その存在意義が相対的に低下しました。

これらの要因が複合的に絡み合い、医療上のメリットよりも社会的なリスクや健康被害のリスクが看過できないレベルになったと判断され、エリミンは日本国内での製造・販売が中止される運びとなりました。

具体的な販売中止時期

エリミン錠の日本国内での製造および販売は、2015年12月31日をもって中止されました。

これは、製造販売元であった製薬会社が、前述のような社会的な問題や健康被害のリスクを総合的に判断し、製造・販売の継続が困難であると結論付けた結果です。この中止は、厚生労働省の指示や命令によるものではありませんが、薬剤の安全性や社会的な影響を考慮した企業の自主的な判断によるものです。しかし、実質的には日本国内で正規のルートでエリミンを入手することはこの日以降不可能となり、処方も行われなくなりました。

販売中止後も、過去に処方されたものが手元に残っていたり、あるいは不正なルートで流通している可能性はゼロではありません。しかし、現在、日本国内で正規にエリミンを手に入れる手段は存在しません。

エリミンが「赤玉」と呼ばれる背景

エリミンは、その独特な見た目から「赤玉」という通称で広く知られていました。この通称が、薬の性質や社会的な側面と深く関わっています。

錠剤の見た目と通称

エリミン錠は、直径が数ミリ程度の比較的小さな円形の錠剤で、鮮やかな赤色(赤橙色)をしていました。当時の多くの錠剤が白色や淡い色であった中で、この鮮やかな赤色は非常に特徴的でした。そのため、医療関係者の間だけでなく、一般の人々の間でもすぐに「あの赤い錠剤」として認識されるようになり、やがて「赤玉」という通称が定着しました。

この「赤玉」という通称は、その見た目の分かりやすさから、医療現場以外でも口語的に使用されるようになりました。しかし、この通称が、薬の適正使用から外れた文脈で使われるようになるにつれ、問題を引き起こすことになります。

通称と乱用問題の関連性

「赤玉」という通称は、エリミンの乱用が広がる上で、皮肉にもその存在を知らしめ、流通を助長する側面を持ってしまいました。

  1. 特定の薬を特定しやすくする: 薬物乱用の世界では、しばしば隠語や通称が使われます。「赤玉」という分かりやすい通称は、違法な取引の際に特定の薬(エリミン)を容易に特定できる共通言語となりました。「赤玉ちょうだい」といえばエリミンを指す、といった具合です。
  2. 危険性を認識させにくい: 「赤玉」という響きは、一見すると薬物であることやその危険性を感じさせにくい、むしろ親しみやすい(良くない意味で)印象を与えてしまう可能性がありました。正式名称である「エリミン」や主成分の「ニメタゼパム」と比べて、薬であるという意識が薄れ、「手軽に手に入るもの」という誤った認識を生む温床となったかもしれません。
  3. 口コミによる拡散: 口頭でのやり取りやインターネット上の非合法なコミュニティにおいて、「赤玉」というキーワードは情報伝達のスピードを速め、エリミンの存在や入手方法に関する情報が広がるのを助長しました。

このように、「赤玉」という通称は、エリミンの特徴的な見た目から生まれた単なる愛称に留まらず、薬物乱用という社会問題と密接に結びつき、その蔓延の一因となってしまったと考えられています。販売中止後もなお、「赤玉」という言葉が、かつて存在した危険な睡眠薬の代名詞として語り継がれているのは、そのインパクトの大きさと問題の根深さを示しています。

エリミンの効果、成分、強さ、半減期

エリミンは、主成分であるニメタゼパムの薬理作用により、不眠症に対する効果を発揮していました。その効果の特性や強さ、体内での動態は、他の睡眠薬と比較する上で重要なポイントとなります。

主な効果と作用機序

エリミンの主な効果は以下の通りです。

  • 催眠作用: 寝つきを良くし、眠りを深くする効果。
  • 鎮静作用: 精神的な興奮を抑え、落ち着かせる効果。
  • 抗不安作用: 不安感を軽減する効果。
  • 筋弛緩作用: 筋肉の緊張を和らげる効果。

これらの効果は、前述の通り、主成分ニメタゼパムが脳内のGABA受容体に結合し、GABAの作用を増強することによって発現します。GABAは神経細胞の活動を抑制する働きがあるため、その働きが強まることで脳全体の活動レベルが低下し、眠気を誘発したり、不安を和らげたり、筋肉をリラックスさせたりします。不眠症治療薬としては、特に催眠作用が重視されていました。

他の睡眠薬との比較(強さ)

かつて使用されていたベンゾジアゼピン系睡眠薬や、現在主流の睡眠薬と比較して、エリミンの強さや作用時間は以下のようになります。

薬の種類(主成分) 分類(作用時間) 主な効果 強さ(一般的な評価) 半減期(目安) 備考
エリミン(ニメタゼパム) 中間作用型 催眠、鎮静、抗不安 強い 約6~12時間 販売中止、乱用リスク高
ハルシオン(トリアゾラム) 超短時間作用型 催眠 強い 約2~4時間 入眠困難向け、依存性注意
レンドルミン(ブロチゾラム) 短時間作用型 催眠 強い 約7時間 入眠困難、中途覚醒向け
リスミー(ロプラゾラム) 中間作用型 催眠、鎮静 中程度~強い 約6~12時間 中途覚醒、早朝覚醒向け
ドラール(クアゼパム) 長時間作用型 催眠、抗不安 中程度 約39~120時間 早朝覚醒向け、眠気の持ち越し注意
ベゲタミン(抱水クロラール等) 催眠、鎮静 非常に強い 販売中止、重篤な副作用リスク高
マイスリー(ゾルピデム) 非ベンゾジアゼピン系(超短時間作用型) 催眠 強い 約2~3時間 入眠困難向け、筋弛緩作用・抗不安作用は弱い
ルネスタ(エスゾピクロン) 非ベンゾジアゼピン系(短時間作用型) 催眠 強い 約5~8時間 入眠困難、中途覚醒向け
デエビゴ(レンボレキサント) オレキシン受容体拮抗薬(長時間作用型) 睡眠維持、入眠促進 中程度 約17時間 新しいタイプ、依存性低い

(※上記の「強さ」や「半減期」は一般的な目安であり、個人差や文献によって異なる場合があります。また、作用時間分類も厳密な定義は一つではありません。)

この表からわかるように、エリミンはベンゾジアゼピン系の中でも比較的強力な催眠作用を持つ薬剤として位置づけられていました。特に、同じく販売中止となったベゲタミンほどではないにしても、その強力さが乱用や依存のリスクにつながった一因と考えられます。

半減期と体内からの消失

薬剤の「半減期」とは、薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。半減期が短いほど薬は速やかに体から排出され、作用時間も短くなります。逆に、半減期が長いほど薬の効果は長く持続し、体内に蓄積しやすくなります。

エリミン(ニメタゼパム)の半減期は、文献によって多少ばらつきがありますが、一般的に約6時間から12時間とされています。これはベンゾジアゼピン系睡眠薬の中では「中間作用型」に分類される範囲です。

半減期が6~12時間ということは、服用後、催眠効果が最も強く現れるのは服用から数時間後であり、その後徐々に効果が薄れていきますが、翌朝まで眠気やふらつきといった作用が残る可能性があります(いわゆる「持ち越し効果」や「二日酔い」)。特に、高用量を服用した場合や、肝臓の機能が低下している人の場合、半減期がさらに長くなることもあり、翌日まで強い眠気が残るリスクが高まります。

この半減期が、エリミンの治療上のメリット(比較的長く効果が持続し、中途覚醒にも対応できる)と、副作用や依存のリスク(繰り返し服用することで体内に蓄積しやすい、離脱症状が出やすい)の両面に関わっていました。

考えられる副作用と注意点

エリミンに限らず、ベンゾジアゼピン系睡眠薬には共通して以下のような副作用や注意点があります。エリミンの場合は、その作用の強さゆえに、これらのリスクがより顕著に出やすい傾向がありました。

  1. 持ち越し効果(二日酔い): 翌朝まで眠気やだるさ、集中力の低下、ふらつきなどが残ることがあります。特に車の運転や危険を伴う機械の操作は避ける必要があります。
  2. ふらつき・転倒: 筋弛緩作用や鎮静作用により、特に高齢者ではバランスを崩しやすく、転倒による骨折のリスクが高まります。
  3. 依存性: 長期間(特に数ヶ月以上)連用すると、身体的・精神的な依存を形成しやすいです。薬がないと眠れない、不安になるなどの状態になります。
  4. 離脱症状: 依存が形成された状態で急に服用を中止したり、量を減らしたりすると、不眠の悪化(リバウンド不眠)、不安、イライラ、動悸、吐き気、手の震え、発汗、痙攣などの離脱症状が現れることがあります。減量や中止は医師の指示のもと、慎重に行う必要があります。
  5. 耐性: 同じ量を服用しても効果が薄れてくることがあります(耐性)。効果を得ようとして自己判断で増量すると、さらに依存のリスクを高めます。
  6. 健忘: 服用後の出来事を覚えていない「前向性健忘」が起こることがあります。特に飲酒した後に薬を服用すると、リスクが高まります。
  7. 奇異反応: まれに、逆に興奮したり、攻撃的になったり、多弁になったり、幻覚や妄想が現れたりすることがあります。
  8. 呼吸抑制: 特に他の鎮静作用のある薬(アルコール、他の睡眠薬、抗精神病薬、麻薬性鎮痛薬など)と併用すると、呼吸を抑制する作用が増強され、危険な状態になる可能性があります。これが乱用による死亡リスクの主要な要因の一つでした。

これらの副作用やリスクのため、かつてエリミンが処方されていた際も、必要最小限の量で、できるだけ短期間の使用に留めることが推奨されていました。しかし、乱用という文脈では、これらの注意点が完全に無視され、高用量の服用や他剤との併用が常態化していたため、深刻な健康被害につながったのです。

エリミンは海外通販や個人輸入が可能?

エリミンは日本国内では販売中止となりましたが、一部の国では現在も製造・流通している可能性があります。そのため、「海外から取り寄せることはできるのか?」「個人輸入代行サイトで買えるのか?」と考える人がいるかもしれません。しかし、結論から言うと、エリミンの個人輸入は極めて危険であり、違法となる可能性も高い行為です。

海外での扱い(タイなど)

エリミン(ニメタゼパム)は、国際的には「ベンゾジアゼピン系」として精神作用のある物質のリストに掲載されており、その流通や使用には厳しい規制が課されています。しかし、国によっては現在も医療用として承認され、流通している場合があります。

特にインターネット上の情報では、タイなど一部の東南アジアの国々でニメタゼパム(商品名エリミンとは限らない場合もありますが、同一成分の薬)が比較的容易に入手可能であるかのように示唆されることがあります。これらの国では、日本ほど医薬品の規制が厳しくない場合や、処方箋なしで特定の薬が入手できてしまう実態がある可能性が指摘されています。

しかし、海外で合法的に製造・販売されているとしても、それはその国の法規制に基づいたものであり、日本国内に持ち込む場合や、日本国内から個人輸入する場合には、日本の法律が適用されます。また、海外で流通しているものがすべて正規品であるとは限りません。

個人輸入のリスクと違法性

日本国内では製造・販売が中止されているエリミン(ニメタゼパム)を、海外から個人輸入することは、以下のようないくつもの深刻なリスクと違法性を伴います。

  1. 麻薬及び向精神薬取締法違反: エリミンの主成分であるニメタゼパムは、日本の麻薬及び向精神薬取締法における「向精神薬」に指定されています。向精神薬は、その乱用リスクや依存性から、厳重な管理下に置かれている薬剤です。
    • 輸入規制: 向精神薬の個人輸入は、原則として認められていません。一部例外的に医師の指示に基づき、治療目的で少量であれば可能となる場合がありますが、エリミンのように日本国内で販売中止となっている薬剤について、このような例外が認められる可能性は極めて低いです。許可なく輸入すれば、法律違反となり、罰則の対象となります。
    • 譲渡・譲り受けの禁止: 麻薬及び向精神薬取締法により、向精神薬の無許可での譲渡(売買など)、譲り受け(購入など)は禁止されています。個人輸入したものを他人に譲る行為、あるいは他人から譲り受ける行為も法律違反となります。
  2. 偽造品の危険性: インターネット上の個人輸入代行サイトや海外のサイトで販売されている医薬品には、驚くほど高い割合で偽造品(偽物)が含まれていることが知られています。
    • 成分が異なる: 有効成分が全く含まれていない、量が少ない、あるいは全く別の危険な成分が含まれている可能性があります。
    • 製造環境が不明: 衛生管理がされていない劣悪な環境で製造されている可能性が高く、不純物や有害物質が混入しているリスクがあります。
    • 健康被害の可能性: 偽造品を服用することで、期待する効果が得られないだけでなく、予期しない重篤な副作用や健康被害を引き起こす可能性が非常に高いです。最悪の場合、命に関わることもあります。
  3. 健康状態の不明: 個人輸入では、医師の診察を受けることなく自己判断で薬を入手・服用することになります。自身の健康状態、持病、現在服用している他の薬との飲み合わせなどを専門家に確認しないため、重篤な副作用や薬物相互作用のリスクを著しく高めます。特にエリミンのような強力な薬は、使用が適さない人が服用すると非常に危険です。
  4. 品質管理の不安: 正規の医薬品は、厳しい品質管理のもとで製造、流通、保管されています。個人輸入される薬は、製造から輸送、保管に至るまでのプロセスが不明瞭であり、品質が劣化していたり、不適切な成分変化を起こしているリスクがあります。

これらの理由から、エリミンを海外通販や個人輸入で入手しようとすることは絶対に避けるべきです。それは単に危険なだけでなく、日本の法律に違反する行為です。不眠で悩んでいる場合は、危険な方法に頼るのではなく、必ず医療機関を受診し、医師の診断のもと適切な治療を受けるようにしてください。

エリミンの代替となる薬

エリミンが販売中止となった現在、不眠症の治療には他の様々な薬剤や非薬物療法が用いられています。かつて処方されていた他の睡眠薬の中にも、同様に販売中止になったものがあります。

ベゲタミンなど他の販売中止薬との比較

エリミンと同様に、乱用や依存、重篤な副作用のリスクから日本国内での製造・販売が中止された睡眠薬としてベゲタミンが有名です。ベゲタミンは、抱水クロラールとバルビツール酸系薬(抱水クロラールA末、抱水クロラールB末)、さらに精神安定剤(抱水クロラールA末のみ)を配合した非常に強力な鎮静・催眠剤でした。

薬の種類 主成分 販売中止時期(目安) 中止理由(主なもの) 強さ(一般的評価) 依存性・副作用リスク
エリミン ニメタゼパム(ベンゾジアゼピン系) 2015年12月 乱用、依存、健康被害 強い 高い
ベゲタミン 抱水クロラール、バルビツール酸系など 2014年 重篤な副作用、乱用、依存 非常に強い 非常に高い

ベゲタミンは、エリミンよりもさらに強力な催眠・鎮静作用を持つ一方で、呼吸抑制や意識障害などの重篤な副作用リスクが非常に高く、薬物乱用や自殺目的での過量服用の手段として悪用されるケースが後を絶ちませんでした。このため、エリミンよりも一足早く、2014年に販売中止となりました。

これらの販売中止となった薬剤に共通するのは、強力な作用とそれに伴う高い依存性、重篤な副作用リスクです。過去の反省を踏まえ、現在の不眠症治療においては、これらの薬剤に代わる、より安全性が高く、依存性や副作用のリスクを低減した薬剤や治療法が主流となっています。

現在処方される不眠症治療薬

現在、日本で不眠症に対して医療機関で処方される主な薬剤は、以下のようなものがあります。

  1. 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬: ベンゾジアゼピン系と似た作用機序を持ちますが、筋弛緩作用や抗不安作用が弱く、依存性やふらつきなどの副作用が比較的少ないとされています。「マイスリー(ゾルピデム)」、「ルネスタ(エスゾピクロン)」、「アモバン(ゾピクロン)」などがあります。入眠困難によく用いられます。
  2. ベンゾジアゼピン系睡眠薬: かつて主流でしたが、現在は依存性や副作用に注意しながら、必要に応じて慎重に使用されます。作用時間の違いにより、超短時間型、短時間型、中間作用型、長時間作用型に分類され、不眠のタイプ(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)によって使い分けられます。「ハルシオン(トリアゾラム)」、「レンドルミン(ブロチゾラム)」、「リスミー(ロプラゾラム)」、「ユーロジン(エスタゾラム)」、「デパス(エチゾラム)※厳密にはチエノジアゼピン系」、「ダルメート(フルラゼパム)」、「ソメリン(ハロキサゾラム)」など多数の種類があります。
  3. オレキシン受容体拮抗薬: 脳の覚醒に関わる神経伝達物質「オレキシン」の働きを抑えることで、自然な眠気を誘う新しいタイプの睡眠薬です。依存性や持ち越し効果が比較的少ないとされています。「ベルソムラ(スボレキサント)」、「デエビゴ(レンボレキサント)」などがあります。入眠困難、睡眠維持困難の両方に用いられます。
  4. メラトニン受容体作動薬: 脳内で自然に分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの働きを補うことで、体内時計を調整し、眠りを促します。「ロゼレム(ラメルテオン)」があります。体内時計の乱れに伴う不眠(例:交代勤務、時差ボケ)に有効とされることがあります。
  5. 抗うつ薬、抗精神病薬、抗ヒスタミン薬など: 不眠の背景にうつ病や不安障害、その他の精神疾患がある場合、または副作用として眠気を伴うこれらの薬剤が不眠治療に用いられることもあります。

これらの薬剤は、それぞれの作用時間や特性、副作用が異なります。また、不眠の原因は様々(ストレス、生活習慣、病気、薬剤など)であり、薬物療法だけでなく、睡眠衛生指導や認知行動療法といった非薬物療法も重要です。

不眠で悩んでいる場合は、自己判断で市販薬やサプリメントに頼ったり、ましてや違法な手段で過去の危険な薬を入手しようとしたりせず、必ず精神科や心療内科、またはかかりつけ医に相談してください。医師は、不眠の原因を診断し、患者さんの状態や希望に合わせて、最も適切で安全な治療法を選択してくれます。

エリミンに関するよくある質問

エリミンについて、多くの人が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

エリミンは何の薬ですか?

エリミンは、かつて日本で処方されていた不眠症治療薬(睡眠薬)です。主成分はニメタゼパムというベンゾジアゼピン系の薬剤で、脳の働きを抑制することで眠りを促す効果がありました。特に鮮やかな赤色の錠剤だったことから「赤玉」という通称で知られていましたが、現在では国内での製造・販売は中止されています。

禁止になった睡眠薬は?

法的に「禁止」されたわけではありませんが、製薬会社が自主的に製造・販売を中止した睡眠薬はいくつかあります。エリミン(ニメタゼパム)は2015年末に中止されました。また、それ以前には、重篤な副作用リスクが高く、乱用も問題となったベゲタミン(抱水クロラール、バルビツール酸系など)も2014年に製造・販売が中止されています。これらの薬は、医療上のメリットよりもリスクが大きいと判断され、市場から姿を消しました。

エリミンは販売中止になったのはいつですか?

エリミン錠の日本国内での製造および販売は、2015年(平成27年)12月31日をもって中止されました。

赤玉と呼ばれる薬は何ですか?

「赤玉」と呼ばれる薬は、かつて日本で流通していた睡眠薬のエリミン錠です。錠剤が鮮やかな赤色をしていたことから、そう呼ばれるようになりました。強力な作用を持つベンゾジアゼピン系薬剤でしたが、依存性や乱用による健康被害が問題となり、2015年末に販売中止となりました。

専門家による監修・情報源

この記事は、薬学および医学分野の一般的な情報に基づいて作成されています。正確性には配慮していますが、個別の病状や治療法に関する判断は、必ず医療専門家にご相談ください。
情報源としては、医薬品の添付文書、厚生労働省や関連学会の公開情報、信頼できる医療系ウェブサイトなどを参考にしています。ただし、個別の参考文献リストは省略しています。

免責事項: この記事は情報提供のみを目的としており、医療上のアドバイスや診断、治療の代替となるものではありません。記事中の情報に基づいてご自身の判断で行動することはお控えください。薬の使用については、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。また、記事の情報の正確性については万全を期しておりますが、内容を保証するものではありません。本記事を利用したことにより生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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