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即日退職は可能?合法的に会社を辞める方法と注意点

そう考えて「即日退職」という言葉を検索しているあなたは、今の職場で心身ともに追い詰められている状況かもしれません。一刻も早く辞めたいという気持ちは痛いほど分かります。しかし、「即日退職」は、法的に認められるケースが限られていたり、会社とのトラブルに発展するリスクがあったりと、知っておくべき注意点もいくつか存在します。

この記事では、即日退職がそもそも法的に可能なのか、どのような条件なら認められるのかを雇用形態別に解説します。さらに、会社に直接交渉する方法や、退職代行サービスを利用する方法など、具体的な「即日退職」の方法をステップ形式で紹介。決断する前に知っておくべきリスクや注意点、そして即日退職以外の代替案についても詳しく解説します。

この記事を読めば、あなたの状況で即日退職が可能かどうか、どのような方法があるのか、どんな点に注意すべきかが分かり、最善の選択をするための知識が得られるでしょう。一人で悩まず、まずは正しい情報を手に入れましょう。

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目次

即日退職は法的に可能?条件と雇用形態別の扱い

「いますぐ会社を辞めたい!」と思ったとき、まず気になるのが法的に許されるのかどうかという点です。結論から言うと、原則として労働者が一方的に「明日から会社に行きません」と即日退職を通告することは、雇用契約上難しい場合があります。しかし、例外的に即日退職が認められるケースや、雇用形態によって扱いが異なるため、まずは基本的なルールを理解することが重要です。

民法上の退職に関する原則(2週間前告知)

日本の民法では、雇用期間の定めがない労働者(いわゆる正社員)が退職する場合、原則として退職の意思表示をしてから2週間が経過すれば、雇用契約を解除できると定められています(民法第627条第1項)。

これは、労働者が突然辞めることによって会社が被るであろう損害(業務の停滞、後任者探しなど)を最小限に抑えるためのルールです。会社側が退職を承認するかどうかにかかわらず、労働者が正式に退職の意思表示(通常は退職届の提出)を行えば、法的には2週間後に退職の効力が発生することになります。

したがって、この民法の原則に従う場合、例えば今日退職届を提出しても、実際に会社を辞められるのは2週間後ということになります。これが「即日退職は難しい」と言われる基本的な理由です。

即日退職が認められる例外的なケース

原則は2週間前の告知が必要ですが、以下のような例外的なケースでは、法的に即日退職が認められたり、会社が同意すれば事実上の即日退職が可能になったりします。

やむを得ない事由とは?

民法第628条では、雇用期間の定めの有無にかかわらず、「やむを得ない事由」がある場合には、労働者または使用者のどちらからでも直ちに(即日)雇用契約を解除できると定めています。

この「やむを得ない事由」とは、客観的に見てその労働契約を継続することが著しく困難であると認められる重大な理由を指します。具体的には以下のようなケースが該当しうる可能性があります。

  • 労働条件の著しい相違: 採用時に提示された労働条件(賃金、労働時間、業務内容など)が、実際の労働条件と大きく異なる場合。
  • 賃金、残業代の不払い: 約束された賃金や残業代が継続的に支払われない、または大幅に遅延する場合。
  • ハラスメント: パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど、重大なハラスメントを受けており、心身の健康を害する危険がある場合。
  • 長時間労働・過重労働: 法令に違反するような長時間労働や、心身に著しい負担をかける過重労働が常態化しており、改善されない場合。
  • 職場の安全配慮義務違反: 会社が労働者の安全や健康を守るための配慮義務を著しく怠っている場合(例: 危険な環境での作業を強要される、適切な健康管理が行われない)。
  • 心身の重大な不調: 業務が原因でうつ病などの精神疾患を発症したり、身体的な病気を患ったりし、医師から就労が困難であると診断された場合。特に、会社側の責任(過重労働やハラスメントなど)によって健康を害した場合、「やむを得ない事由」として認められやすい傾向があります。
  • 会社の法令違反: 労働基準法などの法令に会社が重大に違反しており、それが改善されない場合。

ただし、「やむを得ない事由」に該当するかどうかの判断は、個別の状況によって異なります。労働者自身が「やむを得ない」と思っても、客観的な証拠が不足していると、後々会社とのトラブルに発展する可能性もあります。特に、私的な理由(例: 引っ越し、家庭の事情)だけでは、「やむを得ない事由」とは認められないことがほとんどです。

会社の同意を得る

法的な「やむを得ない事由」がない場合でも、会社があなたの即日退職に同意すれば、即日またはそれに近い日付で退職することは可能です。これを合意退職といいます。

会社が同意するケースとしては、

  • 人員に余裕がある、または後任者の手配がすぐに可能である。
  • 退職希望者の業務が限定的で、引き継ぎ負担が少ない。
  • 退職希望者との関係性を悪化させたくない、円満に解決したい。
  • ハラスメントなど、会社側に原因があるため、早期の退職に応じる方が都合が良い。

などが考えられます。

ただし、会社には労働者の退職申し出を拒否する権利(雇用契約が存続している限り)があるため、あなたが即日退職を希望しても、会社が「2週間(または就業規則に定める期間)は勤務してほしい」と求めれば、原則としてそれに従う義務が生じます。会社が同意しない限り、合意による即日退職は成立しません。

雇用形態別の即日退職の可否

雇用形態によって、退職に関するルールや即日退職の可否が異なります。

正社員の場合の即日退職

期間の定めのない雇用契約である正社員の場合、原則は民法第627条に基づき2週間前告知が必要です。

即日退職が法的に認められるのは、前述の「やむを得ない事由」がある場合に限られます。会社が同意すれば合意退職として即日退職も可能ですが、会社に同意する義務はありません。

実質的な即日退職として、残っている有給休暇をすべて消化し、最後の出勤日を即日に設定するという方法が考えられます。この場合、退職日自体は2週間後になりますが、最終出社日を即日とすることで、翌日から会社に行かずに済みます。ただし、有給休暇の日数が2週間分以上残っていることが前提となります。

契約社員・期間の定めがある労働者の即日退職

契約社員やアルバイト、パートなど、雇用期間に定めがある(有期雇用契約)労働者の場合、原則として契約期間の途中で一方的に退職することはできません。契約期間中は労働者も使用者も契約に拘束されるためです。

契約期間中に退職できるのは、以下のいずれかに該当する場合です。

  1. やむを得ない事由がある場合: 正社員と同様に、民法第628条の「やむを得ない事由」があれば、即日退職が可能です。ただし、証明のハードルは高い場合があります。
  2. 契約期間が1年を超えている場合: 労働基準法第137条により、1年を超える有期雇用契約を結んだ労働者は、契約期間の初日から1年経過後であれば、使用者に申し出ることでいつでも退職できるようになります(退職の意思表示から2週間後)。これは、長期間拘束されることに対する労働者保護の観点からの規定です。
  3. 会社の同意がある場合: 会社が契約期間途中での退職に同意すれば、合意退職として即日退職も可能です。

契約期間の途中で、上記の条件を満たさずに一方的に退職した場合、会社から契約違反を理由に損害賠償を請求されるリスクが理論上はゼロではありません(ただし、実際に認められるケースは極めて稀です)。

試用期間中の即日退職

試用期間中であっても、原則として雇用契約は成立しているため、正社員と同様に2週間前告知が必要です。

ただし、労働基準法第21条には、「雇入れの日から14日以内」であれば、労働者はいつでも自由に労働契約を解除できるという特例があります。この期間内であれば、理由を問わず即日退職が可能となります。

試用期間が14日を超えている場合は、原則通り2週間前告知が必要となりますが、本採用後よりも比較的、会社側も退職に応じやすい傾向があるかもしれません。しかし、法的な義務としては2週間前告知が必要です。

雇用形態別の即日退職の可否をまとめると、以下のようになります。

雇用形態 退職の原則ルール 即日退職が可能なケース(主に)
正社員 退職の意思表示から2週間後 ① やむを得ない事由がある場合
② 会社の同意がある場合
③ (実質的)有給休暇を消化し、最終出社日を即日に設定
契約社員
(期間の定めあり)
契約期間満了まで解除不可(原則) ① やむを得ない事由がある場合
② 契約期間が1年を超えており、かつ契約初日から1年経過後(2週間前告知で退職可)
③ 会社の同意がある場合
試用期間中 試用期間終了まで解除不可(原則) ① 雇入れの日から14日以内(理由問わず即日退職可)
② 雇入れの日から14日超の場合:やむを得ない事由がある、または会社の同意がある場合(原則2週間前告知は必要)

※上記は一般的な原則であり、個別の雇用契約や就業規則、会社の状況によって詳細は異なる場合があります。

今すぐ会社を辞める即日退職の具体的な方法

法的な可能性や条件を踏まえた上で、「それでもいますぐ会社を辞めたい」という場合に、具体的にどのような行動をとるべきかを解説します。方法はいくつかありますが、あなたの状況や会社との関係性によって最適な手段は異なります。

会社に直接、即日退職を交渉する方法

まずは、会社に対して直接、即日退職を希望する意思を伝える方法です。この方法が成功するかどうかは、会社の理解や、あなたが伝える理由、そしてあなたの交渉次第となります。

やむを得ない事由を具体的に伝える

「やむを得ない事由」に該当するような状況にある場合は、その事実を具体的に会社に伝え、即日退職せざるを得ない状況であることを説明します。例えば、

  • ハラスメントを受けている場合: いつ、どこで、誰から、どのようなハラスメントがあったのか、それが心身にどのような影響を与えているのかを具体的に伝えます。もし証拠があれば提示します。
  • 心身の不調がある場合: 医師の診断書や意見書を提出し、業務継続が困難であることを客観的に示します。診断書には、即時休養が必要であることや、現在の職場環境での就労が適さないことなどを記載してもらうと、会社も状況を理解しやすくなります。
  • 重大な労働条件違反がある場合: 提示された労働条件と実際がどう異なっているのか、賃金不払いがいつから、いくら発生しているのかなどを具体的に伝えます。

単に「体調が悪いので」と伝えるよりも、「医師から診断書が出ており、このままの環境での就労は難しいため、すぐに退職する必要があります」のように具体的に伝える方が、会社も状況を深刻に受け止めざるを得なくなります。

伝える相手は、まずは直属の上司が一般的ですが、上司に伝えにくい状況であれば、人事部やコンプライアンス窓口などに相談することも検討しましょう。伝える際は、感情的にならず、冷静かつ毅然とした態度で事実を伝えることが重要です。

有給休暇や欠勤を利用した実質的な即日退職

法的な即日退職が難しい場合でも、残っている有給休暇をすべて消化することで、最終出社日を即日にして、事実上すぐに会社に行かなくなるという方法があります。

例えば、退職希望日から逆算して2週間分の有給休暇が残っている場合、退職届を提出する際に「○月○日(本日)を最終出社日とし、残りの期間は有給休暇を消化させていただきたく存じます。退職日は民法の定めに従い、退職の申し入れ日から2週間後(○月○日)とさせていただきます。」といった旨を伝えることができます。

有給休暇は労働者の権利ですので、基本的に会社はこれを拒否できません(ただし、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、時季変更権を行使できますが、退職が決まっている労働者に対する時季変更権の行使は権利濫用となる可能性が高いです)。

有給休暇が不足している場合、足りない日数を欠勤とする選択肢もあります。ただし、無断欠勤を続けると、会社からの信用を失うだけでなく、就業規則違反として懲戒処分の対象となったり、会社からの連絡や督促を受ける可能性があります。また、欠勤期間中は給与が支払われないため、経済的な影響も考慮する必要があります。

この方法は「法的な即日退職」とは異なりますが、「今すぐ会社に行きたくない」という目的を達成するための現実的な手段の一つと言えます。

最も迅速・確実な方法:退職代行サービスを利用する

会社との直接交渉が難しい、精神的に限界で会社の人と顔を合わせたくない、あるいは迅速かつ確実に即日退職を実現したいという場合に、近年有効な手段として利用が増えているのが退職代行サービスです。

退職代行サービスで即日退職が可能になる理由

退職代行サービスは、労働者の退職に関する手続きや会社との連絡を、労働者に代わってすべて行ってくれるサービスです。サービスを利用することで、労働者は会社と直接やり取りすることなく退職を進めることができます。

退職代行サービスが即日退職を実現できる主な理由は以下の通りです。

  • プロによる専門的な対応: 労働法や過去の事例に基づいた知識を持つプロが会社と交渉・連絡するため、会社側も無下に扱うことが難しくなります。
  • 法的な根拠に基づいた交渉/通知: 労働者が退職の意思表示をすれば2週間で雇用契約が終了するという民法の原則(または「やむを得ない事由」による即時解除)を盾に、会社に対して即日またはそれに近い退職日での処理を求めます。
  • 会社との直接対決を回避: 労働者が間に立たないため、会社側が引き止め工作をしたり、感情的なやり取りをしたりする余地が少なくなります。
  • 即日対応: 多くの退職代行サービスは依頼から即日〜数日以内に会社への連絡を行います。これにより、迅速に退職手続きを進めることができます。

特に、パワハラやセクハラなど、会社側に明らかな非がある「やむを得ない事由」があるケースでは、退職代行サービスを通じてその事実を会社に伝えることで、会社側が早期の退職に応じる可能性が高まります。法的な交渉が必要な場合は、弁護士や労働組合運営のサービスを選ぶことが重要です。

弁護士監修や労働組合運営などサービスの種類と選び方

退職代行サービスには、主に以下の3種類があります。

サービスの種類 特徴 対応できる範囲 費用相場(参考) こんな人におすすめ
弁護士 弁護士法に基づき、退職の意思表示の伝達に加え、会社との交渉(未払い賃金、退職条件など)、訴訟なども可能。法的なトラブルにも対応できる最も信頼性の高いサービス。 退職の意思表示伝達、退職日の交渉、未払い賃金・残業代・退職金の請求、ハラスメントの慰謝料請求、損害賠償請求への対応など法的な交渉全般。 5万円〜10万円以上 会社との間で既にトラブルがある、未払い賃金など請求したいものがある、損害賠償請求などが心配、確実に法的に処理したい。
労働組合(合同労組) 労働組合法に基づき、団体交渉権を行使して会社と交渉が可能。弁護士より費用が安い場合が多い。非弁行為(弁護士法に違反する行為)のリスクがない。 退職の意思表示伝達、退職日の交渉、有給消化の交渉、離職票などの書類請求など。ただし、未払い賃金請求などの「個別労働紛争」の交渉権には限界があることも。 2万円〜5万円程度 会社と少し交渉が必要だが、弁護士に依頼するほどの重大な問題ではない、費用を抑えたい、安心して利用したい(非弁行為リスク回避)。
一般企業 合同労働組合や弁護士と連携している場合もあるが、法律で認められた交渉権はないため、退職の意思表示を会社に「伝達」することしかできない(非弁行為リスクあり)。 退職の意思表示の伝達、退職関連書類の請求代行など。会社がスムーズに応じれば問題ないが、交渉が必要な場合は対応できない。 2万円〜3万円程度 会社が退職に反対しないと確信している、とにかく費用を抑えたい、会社との交渉は一切不要。

退職代行サービス選びのポイント:

  • 実績と信頼性: 運営歴や実績、利用者の口コミなどを確認しましょう。
  • 料金体系: 追加料金の有無、返金保証の有無などを明確に確認しましょう。相場と比較して極端に安い場合は注意が必要です。
  • 対応範囲: どこまでの対応が可能か(交渉できるか、未払い賃金請求は可能かなど)を必ず確認しましょう。特に法的な交渉が必要な場合は、弁護士または労働組合運営のサービスを選びましょう。
  • 連絡体制: 相談から実行までのスピード、連絡の取りやすさ(LINE対応など)を確認しましょう。
  • 非弁行為リスク: 一般企業が運営するサービスの中には、弁護士法に違反する「非弁行為」(弁護士資格がない者が法律事務を行うこと)を行っている可能性があります。労働組合や弁護士が運営・監修しているサービスであれば、このリスクは回避できます。

退職代行利用時の具体的な流れ

退職代行サービスを利用して即日退職を目指す場合の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 相談・依頼: サービスのウェブサイトやLINEなどから無料相談を行います。現在の状況や即日退職したい旨を伝えます。サービス内容や料金に納得できれば、正式に依頼・契約手続きを行います。
  2. 料金の支払い: サービスの料金を支払います。
  3. サービスからの連絡: 依頼後、サービスから会社への連絡の準備が完了した旨の連絡があります。
  4. サービスから会社へ連絡: サービスが、あなたに代わって会社(人事部や直属の上司など)に退職の意思表示と即日退職の希望を伝えます。同時に、今後の連絡はサービスを通じて行うよう求めます。
  5. 会社とのやり取り(代行): 会社からの質問や要望(退職理由、引き継ぎ、書類手続きなど)に対して、サービスがあなたと連携しながら対応します。基本的にはサービスが間に入ってやり取りを行うため、あなたは会社と直接話す必要はありません。
  6. 退職成立: 会社が退職を承認し、退職日が確定します。即日退職が認められる場合もあれば、交渉によって数日後の退職となる場合もあります。
  7. 必要書類の受け取り: 離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票などの退職に必要な書類を会社から受け取ります。通常は会社から自宅へ郵送されますが、受け取りについても代行サービスが調整してくれる場合があります。

このプロセスを経ることで、あなたは会社と直接連絡を取ることなく、精神的な負担を大きく減らして退職を進めることができます。

やむを得ない事由を証明する(診断書など)

法的な「やむを得ない事由」を根拠に即日退職を主張する場合、その事実を客観的に証明できる証拠があると、会社も退職に応じやすくなり、後々のトラブルを防ぐ上でも有利になります。

特に心身の不調を理由とする場合は、医師の診断書や意見書が最も強力な証拠となります。「現在の業務を継続することが困難である」「速やかな休養が必要である」といった内容が記載されている診断書を取得しましょう。必要に応じて、会社の責任(過重労働やハラスメントなど)によって体調を崩した旨を医師に伝えて、診断書に盛り込んでもらうことも検討します。

ハラスメントが原因の場合は、録音、メール、LINEの履歴、日記、目撃者の証言なども重要な証拠になります。労働条件の不払いであれば、給与明細やタイムカード(またはそれに代わる記録)などが証拠となります。

退職代行サービスを利用する場合も、これらの証拠をサービス側に提供することで、会社への説明や交渉がスムーズに進むことがあります。

即日退職を決断する前に知っておくべきリスクと注意点

「いますぐ辞めたい!」という強い衝動に駆られている時こそ、冷静になって即日退職に伴うリスクや注意点を確認することが重要です。勢いだけで行動すると、後々後悔したり、会社との間で不必要なトラブルを招いたりする可能性があります。

会社とのトラブルに発展する可能性

即日退職は、会社にとっては予期せぬ人員の離脱となるため、業務への影響や後任者探しなどで混乱を招く可能性があります。特に、会社の同意を得ずに一方的に即日退職を通告した場合、会社側が感情的になり、以下のようなトラブルに発展するリスクがあります。

  • 強い引き止めや罵倒: 上司や人事担当者から強い口調で引き止められたり、責められたりする。
  • 離職票などの書類発行遅延: 離職票や源泉徴収票といった、次の転職先や手続きに必要な書類の発行を意図的に遅らせられる。
  • 嫌がらせや悪評の流布: 退職後、関係各所にあなたの悪評を言いふらされる、または転職活動の際に不利になるような情報を流される(例: 照会があった場合に否定的な回答をする)。
  • 私物の返却・回収の困難: ロッカーやデスクに残した私物をスムーズに返却してもらえない。
  • 備品の返却要求: 会社の備品(PC、携帯電話、制服など)の返却を巡って問題になる。

これらのトラブルを避けるためには、可能な限り円満に退職交渉を進めるか、または退職代行サービスを利用して間に第三者を挟むことが有効です。

損害賠償請求される可能性は?

「即日退職したら会社から損害賠償を請求されるのではないか?」と不安に思う方もいるかもしれません。結論から言うと、労働者が一方的に即日退職したことを理由に、会社が労働者に対して損害賠償を請求し、それが法的に認められるケースは極めて稀です。

確かに、民法第628条には「やむを得ない事由がないのに、期間の定めのない雇用の解除をした者は、相手方に対し損害賠償の責任を負う。」と定められています。しかし、実際に会社が被った具体的な損害額(即日退職によって直接発生した、本来かかるべきでなかった費用や失われた利益)を立証するのは非常に困難です。

例えば、あなたの退職によってプロジェクトが頓挫し、会社が数千万円の損失を被ったとしても、「その損害があなたの即日退職のみによって発生した」と証明するのは難しいでしょう。会社の経営判断や他の要因も複合的に絡んでいることがほとんどだからです。

過去の裁判例を見ても、労働者に対する損害賠償請求が認められたケースは、会社の根幹を揺るがすような重要ポストの人物が、後任への引き継ぎや準備期間を一切与えずに突然辞職し、会社に多大な損害を与えた、といった極めて限定的な状況に限られます。

一般的な従業員が即日退職したことで、会社が損害賠償請求を行うことは現実的ではありませんし、仮に請求されたとしても、裁判でそれが認められるハードルは極めて高いと考えて良いでしょう。過度に心配する必要はありませんが、万が一請求された場合の対応についても知識を持っておくと安心です(退職代行サービスや弁護士に相談)。

業務の引き継ぎについて

退職する労働者には、雇用契約上の付随義務として、可能な範囲で業務の引き継ぎに協力する義務があると一般的に解釈されています。即日退職の場合、十分な引き継ぎ期間を設けることができませんが、だからといって一切引き継ぎをしないというのは望ましくありません。

引き継ぎ資料(マニュアル、顧客リスト、進行中の業務リストなど)を作成する、口頭で簡単に説明するなど、最低限できる限りの引き継ぎは行う姿勢を見せることが、円満退職のためにも、そしてあなた自身の評判のためにも重要です。

ただし、ハラスメントを受けているなど、会社に出向くこと自体が困難な「やむを得ない事由」がある場合は、無理に引き継ぎを行う必要はありません。退職代行サービスを利用する場合は、引き継ぎの意思がある旨をサービスを通じて会社に伝えたり、作成済みの引き継ぎ資料をサービス経由で渡したりといった対応が可能です。

給与や退職金の取り扱い

即日退職した場合でも、それまで働いた分の給与は全額受け取る権利があります。会社が「即日退職したから給与は払わない」などと言うことはできません。未払い給与がある場合は、会社に請求することができます。

退職金については、会社の退職金規程によります。規程に「即日退職の場合(または自己都合による一方的な退職の場合)は退職金を支給しない」といった定めがある場合、支給されない可能性があります。しかし、規程に明確な記載がない場合や、長年勤務していた場合などは、請求できる可能性もあります。退職金規程を確認するか、弁護士に相談してみると良いでしょう。

給与や退職金の支払いを巡って会社ともめたくない場合は、退職代行サービス(特に弁護士や労働組合)に依頼する際に、未払い給与や退職金の請求についても併せて依頼することを検討できます。

失業保険の受給要件と即日退職

会社を退職した後、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるのが雇用保険の基本手当(失業保険)です。即日退職した場合の失業保険の扱いは、退職理由によって異なります。

失業保険の受給資格を得るためには、原則として、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要です。これを満たしていることを前提として、

  • 会社都合退職: 倒産や解雇など、会社側の理由による退職の場合。待期期間(7日間)の経過後、すぐに基本手当が支給されます。給付制限期間はありません。
  • 自己都合退職: 労働者自身の都合による退職の場合(即日退職の多くがこれに該当)。待期期間(7日間)の経過後、原則として2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間を経てから基本手当が支給されます。給付制限の期間は、離職理由や過去の離職状況によって異なります。
  • 特定理由離職者/特定受給資格者: いわゆる「正当な理由のある自己都合退職」(やむを得ない理由による自己都合退職)に該当する場合。例としては、ハラスメント、長時間労働、労働条件の相違、家族の介護や病気など、本人の意思に反する、またはやむを得ない事情による退職が挙げられます。これらの「やむを得ない事由」が認められれば、自己都合退職であっても会社都合退職と同様に、給付制限期間なしで基本手当が支給される場合があります。

即日退職の理由が、前述の「やむを得ない事由」に該当し、それがハローワークで認められれば、特定理由離職者として給付制限なく失業保険を受け取れる可能性があります。診断書やハラスメントの証拠などが、この認定を受ける上で重要な役割を果たします。

即日退職後の生活設計を立てる上で、失業保険がいつからいくらもらえるのかは非常に重要な情報です。退職前にハローワークに相談するか、特定理由離職者に該当しうる理由の場合は、証拠を準備しておきましょう。

即日退職が難しい・迷う場合の代替案

「いますぐ辞めたい気持ちはあるけれど、即日退職はリスクが高そう」「法的に難しいと言われた」といった場合や、即日退職以外の選択肢も検討したい場合に、以下のような代替案があります。

休職制度の利用

心身の不調が理由で「いますぐ会社に行けない」という状況であれば、休職制度の利用を検討できます。多くの会社には、病気や怪我などで長期間働くことが困難になった場合に、一定期間休職できる制度があります。

休職には、医師の診断書が必要です。診断書を会社に提出し、休職を申し出ます。休職期間中の給与については、会社の規程によりますが、健康保険から傷病手当金が支給される場合があります(要件あり)。

休職期間中に心身を回復させ、復職を目指すこともできますし、休職期間中に今後のキャリアについてじっくり考えたり、転職活動を進めたりすることも可能です。いきなり退職するよりも、経済的・精神的な猶予期間を確保できる点がメリットです。

部署異動の相談

現在の部署の人間関係や業務内容に問題があり、それが退職したい理由となっている場合、社内の**部署異動**を会社に相談してみるのも一つの方法です。部署が変わることで、問題が解決し、働きやすくなる可能性があります。

ただし、会社に希望する部署への異動制度があるか、希望が通るかどうかは会社の状況やあなたのスキル・経験によって異なります。確実に異動できる保証はありませんが、会社への相談という形で、あなたの抱えている問題や働き続けたいという意欲を伝えることは無駄ではないでしょう。

転職活動を並行して進める

「今の会社は辞めたいが、次の仕事がまだ決まっていない」という場合は、現在の会社で働きながら**転職活動**を並行して進めるのが、最もリスクの少ない方法と言えます。

在職中に転職活動を行うメリットは、収入が途切れないため経済的に安定していること、焦らずじっくりと次の転職先を選ぶことができること、そして内定を得た後に現在の会社に退職交渉をすることで、より強気な姿勢で交渉に臨めることです。

デメリットとしては、転職活動に充てられる時間が限られること、会社や同僚に転職活動していることがバレるリスクがあることなどが挙げられます。

計画的に転職活動を進め、内定を得てから退職を申し出るのが、金銭的にも精神的にも最も安定した退職方法と言えるでしょう。ただし、「いますぐにでも辞めたい」という切迫した状況であれば、この方法は現実的ではないかもしれません。

即日退職に関するよくある質問(Q&A)

即日退職を検討している方が抱えやすい疑問点について、Q&A形式で解説します。

Q. メンタル不調で即日退職できますか?

A. メンタル不調の程度や原因によりますが、医師の診断書があり、「現在の職場で働き続けることが困難である」「速やかな休養が必要である」といった内容が明記されている場合は、「やむを得ない事由」として即日退職が認められる可能性が高いです。

特に、会社の過重労働やハラスメントなどが原因でメンタル不調を発症した場合、それは会社側の責任ともなりうるため、即時退職の正当性が高まります。医師に正直に状況を伝え、診断書を作成してもらいましょう。診断書があれば、会社側も状況を理解しやすく、退職に応じやすくなります。退職代行サービスを利用する場合も、診断書の提出は有効です。

Q. 会社を即日辞めたいのですが、どうすればいいですか?

A. いますぐ会社を辞めたい場合は、以下のいずれかの方法を検討します。

  1. 会社に直接交渉: 直属の上司や人事部に即日退職したい旨を伝え、理由を説明して会社の同意を得られるか交渉します。「やむを得ない事由」がある場合は、その事実を具体的に伝え、証明(診断書など)を提示します。
  2. 有給休暇を消化: 残っている有給休暇をすべて消化し、最終出社日を即日にすることで、会社に行かずに済みます。ただし、退職日自体は有給消化期間の満了日(原則として退職意思表示から2週間後)となります。
  3. 退職代行サービスを利用: 弁護士や労働組合、一般企業が運営する退職代行サービスに依頼し、会社との退職手続きを代行してもらいます。最も迅速かつ確実に会社と直接やり取りすることなく即日退職を実現できる可能性が高い方法です。

どの方法を取るにしても、まずはご自身の状況を冷静に整理し、法的な知識を踏まえた上で、どの方法が最適かを判断することが重要です。

Q. 職場を即日退職できますか?

A. 原則として、期間の定めのない雇用(正社員など)の場合は民法により2週間前告知が必要であり、期間の定めがある雇用(契約社員など)の場合は契約期間中の退職は原則不可です。

しかし、「やむを得ない事由」がある場合や、会社の同意を得られた場合は、法的に即日退職が可能です。また、有給休暇を消化することで実質的に即日〜近い期間で会社に行かなくなるという方法もあります。

あなたの雇用形態や退職理由によって可否が異なりますので、まずはご自身の状況を確認し、前述の「即日退職は法的に可能?条件と雇用形態別の扱い」の項目を参考にしてみてください。最も確実に即日退職を目指すなら、退職代行サービス(特に弁護士や労働組合)の利用を検討するのが現実的です。

Q. 即日退職する場合、退職届の書き方は?

A. 即日退職を希望する場合の退職届は、通常の退職届とは少し書き方が異なります。以下のポイントを踏まえて作成しましょう。

  • 退職理由: 「一身上の都合」でも構いませんが、「やむを得ない事由」を根拠とする場合は、その事由を具体的に記載する、または別途会社に説明する資料(診断書など)を添付する旨を記載するとより明確です。
  • 退職希望日: ここに「令和○年○月○日(本日)」と即日を記載します。
  • 退職の根拠(任意): 法的な「やむを得ない事由」を根拠とする場合は、「民法第628条に基づき、やむを得ない事由(〇〇)により、本日をもって退職させていただきます。」といった一文を加えることで、あなたの主張を明確にできます。会社の同意を得ての合意退職の場合は、「貴社にご相談申し上げました結果、ご承認いただきましたので、本日をもって退職させていただきます。」といった表現も考えられます。

例文(やむを得ない事由を根拠とする場合):

退職届

〇〇株式会社
代表取締役社長 △△ △△殿

私儀、この度、やむを得ない事由(過度な長時間労働による心身の不調)により、
本日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。

なお、本退職は民法第628条に基づき、やむを得ない事由による雇用契約の解除となりますことを申し添えます。
つきましては、退職に関する諸手続きにつきまして、ご指示いただけますようお願い申し上げます。

令和〇年〇月〇日

所属部署:
氏名: 〇〇 〇〇  印

退職届は会社のルールに従って提出しますが、即日退職を希望する場合は、直接手渡しで、即日退職したい意思を添えて提出するのが一般的です。退職代行サービスを利用する場合は、退職届の作成や提出についてもサポートしてもらえることが多いです。

Q. 即日退職すると損害賠償されますか?

A. 前述の通り、労働者が即日退職したことを理由に、会社が労働者に対して損害賠償を請求し、それが法的に認められるケースは極めて稀です。

理論上は損害賠償請求の可能性はありますが、実際に会社が被った具体的な損害を立証するハードルは非常に高く、一般的な従業員が一方的に退職しただけで損害賠償が認められることは現実的にほとんどありません。

過度な心配は不要ですが、万が一、会社から損害賠償請求を示唆されたり、内容証明郵便が送られてきたりした場合は、慌てずに弁護士や労働組合運営の退職代行サービスに相談することをおすすめします。彼らは法的な知識を持って適切に対応してくれます。

まとめ:即日退職を実現するためのステップ

即日退職は、原則として簡単なことではありませんが、法的に認められるケースや、現実的な方法、そしてそれをサポートしてくれるサービスも存在します。もしあなたがいますぐ会社を辞めたいと考えているなら、以下のステップで状況を整理し、行動を検討しましょう。

自分の状況整理と法的知識の確認

まず、なぜ即日退職したいのか、その理由を冷静に分析しましょう。あなたの退職理由が、「やむを得ない事由」に該当しうるものか、客観的な証拠(診断書、ハラスメントの記録など)はあるかを確認します。

次に、あなたの雇用形態(正社員、契約社員、アルバイトなど)と、それに応じた退職に関する法的な原則を理解しましょう。期間の定めの有無、契約期間、試用期間などによって、即日退職の可否や必要な手続きが異なります。この記事の前半部分を参考に、ご自身の状況に照らし合わせて確認してください。

会社への交渉または退職代行の検討

法的な「やむを得ない事由」がある場合や、会社の同意を得られそうな場合は、会社に直接即日退職を交渉することを検討します。伝える相手、伝え方、理由の説明方法などを事前に準備しておきましょう。

会社との直接交渉が難しい、精神的に追い詰められている、あるいは迅速かつ確実に即日退職を実現したい場合は、退職代行サービスの利用を強く検討しましょう。弁護士や労働組合運営のサービスであれば、法的な交渉やトラブル対応も任せられるため安心です。サービスの料金、対応範囲、実績などを比較し、信頼できるサービスを選びましょう。

必要な手続きと準備

退職の意思を会社に伝える方法を決めたら、必要な手続きや準備を行います。退職届の作成(即日希望の旨を明記)、もし「やむを得ない事由」を主張するならその証明となる証拠の準備(診断書など)を行います。

退職代行サービスを利用する場合は、サービス側の指示に従って手続きを進めます。

退職が確定したら、会社からの離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票などの必要書類の受け取り方法を確認しましょう。これらは次の手続き(失業保険、転職など)に必須となります。

困ったら専門家やサービスに相談

即日退職はデリケートな問題であり、法的な側面も絡みます。一人で悩まず、困ったときは専門家やサービスに相談することをためらわないでください。

  • 弁護士: 法的なトラブルが懸念される場合、会社への請求(未払い賃金など)をしたい場合、確実に法的に処理したい場合に相談できます。
  • 労働組合(ユニオン): 会社の労働環境に問題がある場合や、個人で加入できる合同労組などに相談し、会社と交渉してもらうことができます。
  • 退職代行サービス: 会社と直接連絡を取りたくない、迅速に退職したい場合に、手続きを代行してもらえます。

あなたの状況に合った最適な方法を選び、精神的な負担を最小限に抑えながら、新しい一歩を踏み出しましょう。


【免責事項】
この記事は、即日退職に関する一般的な情報を提供することを目的としており、特定の状況に対する法的なアドバイスや具体的な行動を推奨するものではありません。個別のケースについては、弁護士などの専門家にご相談ください。また、記載されている情報は2024年〇月現在の法令や一般的な解釈に基づいています。法改正などにより内容が変更される可能性もありますのでご注意ください。

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