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睡眠障害「中途覚醒」|夜中に目が覚める原因・対策・治療法

夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」。
一度目が覚めると、なかなか眠りにつけず、朝まで悶々としてしまう…。
そんな経験はありませんか?

中途覚醒は、単に「夜中に目が覚めること」だけでなく、その後の再入眠が難しく、結果として睡眠時間が短くなったり、睡眠の質が低下したりすることで、日中の眠気や集中力の低下、倦怠感など、様々な不調につながる可能性があります。
これは、不眠症の一種として、多くの方が悩んでいる睡眠の問題です。

この記事では、なぜ夜中に目が覚めてしまうのか、その主な原因を掘り下げ、今日からご自身で始められる具体的な治し方や対策について詳しく解説します。
また、必要に応じて医療機関で受けられる治療法や、中途覚醒に関するよくある疑問にもお答えします。

あなたの「眠れない夜」を減らし、質の高い睡眠を取り戻すためのヒントが、きっと見つかるはずです。
ぜひ最後まで読んで、中途覚醒の改善に役立ててください。

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目次

中途覚醒とは?

中途覚醒とは、睡眠の途中で目が覚めてしまい、その後再び眠りにつくことが難しくなる状態を指します。
多くの人が一時的に経験する可能性があるものですが、頻繁に起こったり、日中の活動に支障をきたすようであれば、睡眠障害の一つである不眠症の症状として捉える必要があります。

中途覚醒の定義と判断基準(何回以上?)

医学的な定義では、中途覚醒は不眠症の主要な症状の一つとされています。
具体的には、眠りについてから朝起きるまでの間に何度も目が覚めたり、一度目が覚めると30分以上再入眠に時間がかかったりする状態が、週に3日以上あり、それが3ヶ月以上続いている場合、慢性不眠症の中途覚醒タイプと診断されることがあります。

ただし、「何回以上目が覚めたら中途覚醒」という明確な回数基準はありません。
健康な人でも、一晩に数回、非常に短い時間(数秒から数分)だけ目が覚める「瞬間覚醒」と呼ばれる生理的な覚醒は起こっています。
これはほとんど意識に残らないため、覚醒したとは感じません。

問題となるのは、目が覚めたことを自覚し、その後に再び眠りに入るのが難しく、その状態が苦痛であったり、日中の眠気や疲労感など、生活に支障をきたしているかどうかです。
たとえ目が覚めるのが1回でも、そこから2時間眠れないといった状態が続くのであれば、それは中途覚醒として対策を検討すべきサインと言えます。

睡眠障害の種類と中途覚醒の関係

中途覚醒は、不眠症の中でも最も一般的な症状の一つです。
不眠症は、主に以下の4つのタイプに分類されます。

  • 入眠困難(寝つきが悪い): 寝床に入ってから眠りにつくまでに30分~1時間以上かかる状態。
  • 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める): 睡眠の途中で目が覚めてしまい、その後再入眠が難しい状態。
  • 早朝覚醒(朝早く目が覚める): 起床時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後再び眠れない状態。
  • 熟眠障害(眠りが浅い): 睡眠時間は確保できているにもかかわらず、眠りが浅く、ぐっすり眠ったという満足感が得られない状態。

中途覚醒は、この中の2つ目のタイプに該当します。
しかし、不眠症の人はこれらの症状が単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもよくあります。
例えば、寝つきも悪いし、夜中も目が覚める、といったケースです。

また、中途覚醒は不眠症だけでなく、他の睡眠障害の症状として現れることもあります。

  • 睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり弱くなったりすることで、体が酸素不足になり、そのたびに覚醒が起こります。
    本人は覚醒を自覚しないことも多いですが、眠りが分断され、熟睡感が得られず、日中の強い眠気や倦怠感につながります。
    大きなイビキや、家族からの指摘で気づくことが多いです。
  • むずむず脚症候群: 寝床に入ったり、夜中に目が覚めたりした際に、脚に不快なむずむず感や痛みが生じ、脚を動かしたくなる衝動に駆られる病気です。
    この不快感によって眠りが妨げられ、中途覚醒の原因となります。
  • 周期性四肢運動障害: 睡眠中に手足が周期的にピクつく不随意運動です。
    この運動によって本人は気づかないことも多いですが、眠りが分断され、睡眠の質が低下し、中途覚醒や熟眠障害を引き起こします。

このように、中途覚醒は不眠症の一症状であると同時に、他の睡眠障害のサインである可能性も考えられます。
ご自身の睡眠パターンを注意深く観察し、どのような時に目が覚めるのか、他に気になる症状はないかを確認することが、原因を探る第一歩となります。

中途覚醒の主な原因

中途覚醒は、様々な要因が複雑に絡み合って発生することがほとんどです。
その原因は、生活習慣から身体の病気、精神的な状態、環境、そして加齢といった幅広いものに及びます。
ご自身のパターンを振り返りながら、当てはまる可能性のある原因を探ってみましょう。

生活習慣の乱れ

私たちの睡眠と覚醒のリズムは、日々の生活習慣に大きく影響されます。
特に、以下のような習慣は中途覚醒を引き起こしやすくなります。

  • 不規則な睡眠時間: 毎日寝る時間や起きる時間がバラバラだと、体内時計が乱れてしまいます。
    特に、週末に寝坊したり、平日の睡眠不足を補うために長時間寝たりすると、リズムが狂いやすくなり、夜中に目が覚めやすくなります。
  • カフェインの摂取: コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。
    就寝前に摂取すると、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠を浅くし、夜間の覚醒を招く可能性があります。
    カフェインの効果は摂取量や個人差によりますが、数時間続くため、夕食後以降の摂取は避けるのが賢明です。
  • アルコールの摂取: 「寝酒」としてアルコールを飲む方もいますが、これは逆効果です。
    アルコールは一時的に眠気を誘う作用がありますが、時間が経つと分解され、睡眠を浅くしたり、利尿作用で夜中に目が覚めたりします。
    また、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性もあります。
  • 喫煙: タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります。
    寝る前の喫煙は、眠りに入るのを妨げ、夜間の覚醒を増やすことが知られています。
  • 就寝前の激しい運動や食事: 就寝直前に激しい運動をすると、体温が上がり、脳が覚醒してしまいます。
    また、寝る直前の食事は胃腸の活動を活発にし、睡眠を妨げることがあります。
    夕食は寝る時間の2~3時間前までに済ませるのが理想です。
  • 寝る直前のスマートフォンやPCの使用: 画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させ、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌を抑制します。
    これにより、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質が低下し、中途覚醒の原因となります。

ストレスや精神的な要因

私たちの心と睡眠は密接につながっています。
ストレスや精神的な負担は、中途覚醒の大きな原因の一つとなります。

  • ストレス: 仕事や人間関係、将来への不安など、様々なストレスは脳を興奮状態にさせ、交感神経を優位にします。
    これにより、眠りに入りにくくなったり、眠りが浅くなったりし、夜中に目が覚めやすくなります。
    特に、目が覚めた後に「また眠れないのではないか」といった不安を感じると、さらに覚醒してしまい、悪循環に陥ることがあります。
  • 不安や悩み: 抱えている不安や悩みが頭から離れないと、寝床についても考え事をしてしまい、脳が休まりません。
    夜中に目が覚めた際も、すぐに悩み事が浮かんできてしまい、再入眠を妨げます。
  • うつ病: うつ病の主要な症状の一つに睡眠障害があります。
    特に、早朝覚醒が特徴的と言われますが、中途覚醒もよく見られます。
    眠れないこと自体がさらに気分を落ち込ませることもあります。
  • 適応障害: 環境の変化などによって強いストレスを感じ、心身のバランスを崩した際に不眠症を伴うことがあります。
  • 睡眠に対する過度のこだわりや不安: 「眠らなければならない」「ぐっすり眠れないと体に悪い」といった過度なこだわりや、「また夜中に目が覚めるのではないか」という予期不安が、かえって脳を覚醒させ、中途覚醒を引き起こすことがあります。

身体的な病気

様々な身体の病気や症状が、睡眠を妨げ、中途覚醒の原因となることがあります。

  • 睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中に気道が狭くなったり塞がったりすることで、呼吸が停止したり弱くなったりする病気です。
    体内の酸素濃度が低下し、脳が覚醒して呼吸を再開させようとします。
    この覚醒は通常短く、本人は気づかないことが多いですが、睡眠が分断されるため、夜中に何度も目が覚めたり、熟睡感が得られなかったりします。
    大きないびきや日中の強い眠気が特徴です。
  • むずむず脚症候群: 主に夕方から夜間にかけて、安静時に脚に不快な感覚(むずむず、かゆみ、虫が這うような感じ、痛みなど)が生じ、脚を動かさずにはいられなくなる病気です。
    この症状が寝床に入った後や夜間覚醒時に現れると、不快感のために眠りにつくのが困難になり、中途覚醒の原因となります。
  • 夜間頻尿: 夜間に排尿のために何度も目が覚める状態です。
    加齢に伴って起こりやすくなりますが、前立腺肥大症、過活動膀胱、糖尿病、心不全などの病気が原因となっていることもあります。
  • 呼吸器系の病気: 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがあると、夜間に咳や息苦しさが生じ、目が覚める原因となります。
  • アレルギー性鼻炎: 鼻づまりや鼻水によって、呼吸がしづらくなり、睡眠が妨げられることがあります。
  • 皮膚疾患: アトピー性皮膚炎や湿疹などがあると、夜間に強いかゆみが生じ、眠りを妨げることがあります。
  • 関節リウマチやその他の痛みを伴う疾患: 関節の痛みや体の痛みが、寝ている間に強くなり、覚醒を招くことがあります。
  • 胃食道逆流症: 胃酸が逆流することで、胸焼けや咳などの症状が寝ている間に悪化し、睡眠を妨げることがあります。
  • 周期性四肢運動障害: 睡眠中に周期的に手足がピクつく病気です。
    本人は気づかないことが多いですが、睡眠が分断され、睡眠の質が低下します。

これらの身体的な病気は、中途覚醒の根本的な原因となっている可能性があるため、気になる症状がある場合は医療機関を受診することが重要です。

服用している薬の影響

現在服用している薬の中には、副作用として睡眠を妨げる可能性があるものがあります。

  • ステロイド: 炎症を抑えるために使われるステロイド薬は、高揚感や不眠を引き起こすことがあります。
  • 一部の降圧剤: 特にβ遮断薬と呼ばれるタイプの降圧剤は、悪夢や不眠を副作用として引き起こすことがあります。
  • 気管支拡張薬: 喘息の治療などに使われる気管支拡張薬は、交感神経を刺激し、心拍数を上げたり、覚醒を引き起こしたりすることがあります。
  • 抗うつ薬や精神安定剤の一部: 薬の種類によっては、睡眠パターンに影響を与え、中途覚醒を招くことがあります。
  • 利尿剤: 夜間に尿意を催しやすくなり、夜間頻尿による中途覚醒の原因となります。
  • パーキンソン病治療薬: 薬の作用によって、睡眠中に異常行動や夢遊病のような症状が現れ、睡眠が妨げられることがあります。

服用中の薬について気になる副作用がある場合は、自己判断で中止したりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
薬の種類や量を調整することで、中途覚醒が改善する可能性があります。

寝室環境の問題

寝室の環境が、快適な睡眠を妨げ、中途覚醒の原因となっていることがあります。

  • 温度と湿度: 寝室の温度が高すぎたり低すぎたり、湿度が適切でないと、寝苦しさを感じて目が覚めやすくなります。
    一般的に、睡眠に適した温度は20〜22℃、湿度は40〜60%と言われています。
  • 明るさ: 寝室が明るすぎると、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制され、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
    外からの光や電子機器の光を遮断することが重要です。
    夜中に目が覚めてしまった時も、強い光(特に白色LED)を浴びないように注意が必要です。
  • 騒音: 外部からの騒音(車の音、近所の音など)や、家庭内の音(テレビの音、同居人の生活音など)は、眠りを妨げたり、覚醒を招いたりします。
    特に、断続的な音は睡眠を分断しやすい傾向があります。
  • 寝具: マットレスや枕が体に合っていないと、体のどこかに負担がかかり、寝返りが増えたり、痛みで目が覚めたりすることがあります。
    シーツやパジャマの素材も、肌触りが悪かったり、通気性が悪かったりすると、寝心地が悪くなり睡眠の質を低下させます。

加齢による変化

年齢を重ねると、睡眠のパターンに変化が現れるのが一般的です。

  • 睡眠構造の変化: 高齢になると、深い睡眠(徐波睡眠)の時間が減り、浅い睡眠(レム睡眠やステージ1・2のノンレム睡眠)の割合が増える傾向があります。
    これにより、外部の刺激に敏感になり、目が覚めやすくなります。
  • 体内時計の変化: 加齢に伴い、体内時計が前倒しになり、早寝早起きの傾向が強くなることがあります。
    これに伴い、夜間の睡眠が短くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
    厚生労働省のガイドラインによると、成人の睡眠時間は加齢とともに減少傾向にあり、高齢者では睡眠構造の変化や体内時計の前倒しが起こりやすいとされています。
  • 基礎疾患や服薬の増加: 年齢を重ねると、高血圧、糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など、様々な基礎疾患を抱えることが多くなり、それらの症状や、治療のために服用する薬が睡眠に影響を与える可能性が高まります。
  • 夜間頻尿: 前述の通り、加齢は夜間頻尿のリスクを高めます。

加齢に伴う睡眠の変化はある程度自然なことですが、それが原因で日中の活動に支障が出ている場合は、対策や治療を検討する必要があります。
単なる老化と諦めずに、専門家に相談することも大切です。

自分でできる中途覚醒の治し方・対策

中途覚醒の改善には、薬物療法だけでなく、ご自身の生活習慣や睡眠に対する考え方を見直すことも非常に重要です。
ここでは、今日からご自身で始められる具体的な対策「睡眠衛生」を中心に解説します。

規則正しい生活リズムを作る

体内時計を整えることは、質の高い睡眠を得るための基本中の基本です。

  • 毎日同じ時間に起きる: 休日も平日から大きくずらさないことが重要です。
    たとえ夜中に目が覚めて睡眠時間が短くなった日でも、朝は一定の時間に起きるように心がけましょう。
    これにより、次の夜に自然な眠気を生じやすくなります。
  • 毎日同じ時間に寝る: 毎日同じ時間に起きることを優先し、眠気を感じたら寝床に入るようにします。
    無理に早く寝ようとすると、かえって寝つきが悪くなることがあります。
  • 朝、太陽の光を浴びる: 起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。
    日光は体内時計をリセットする強力な刺激となり、覚醒と睡眠のリズムを整えるのに役立ちます。
    曇りの日でも効果はあります。
  • 三食きちんと食べる: 特に朝食は体内時計のリセットに重要です。
    規則正しい食事も生活リズムを整える上で欠かせません。

寝室環境を快適に整える

快適な寝室環境は、入眠をスムーズにし、睡眠中の覚醒を減らすために重要です。

  • 温度と湿度: 睡眠に適した室温(20~22℃)と湿度(40~60%)を保ちましょう。
    エアコンや加湿器・除湿器などを活用します。
    夏は涼しく、冬は暖かく、乾燥しすぎないように注意が必要です。
  • 明るさ: 寝室はできるだけ暗くしましょう。
    厚手のカーテンや遮光ブラインドを使用して、外からの光を遮ります。
    また、室内にある電化製品の小さな光(LEDなど)も気になる場合は、カバーをかけたり向きを変えたりする工夫をします。
    夜中に目が覚めてしまった時も、強い光(特に白色LED)を浴びないように注意が必要です。
  • 騒音: 外部の騒音が気になる場合は、二重窓にしたり、厚手のカーテンを使ったりする物理的な対策が有効です。
    耳栓やノイズキャンセリング機能を備えたイヤホンなども、一時的に利用を検討できます。
    家族の生活音が気になる場合は、寝室を分けるなどの工夫も必要かもしれません。
  • 寝具: ご自身の体格や好みに合ったマットレスや枕を選びましょう。
    硬すぎず柔らかすぎず、体圧が分散されるものが理想です。
    また、季節に合わせて掛け布団や毛布を調整し、体温を快適に保つことも大切です。
    肌触りの良いパジャマやシーツを選ぶことも、睡眠の質を高める上で効果的です。

就寝前のNG行動(スマホ、飲食など)を避ける

就寝前の過ごし方は、その夜の睡眠の質に大きく影響します。

  • 就寝2時間前からのカフェイン・アルコール・ニコチン摂取を避ける: 前述の通り、これらは覚醒作用があり、睡眠を妨げます。
    特にカフェインは効果が長く続くため注意が必要です。
  • 就寝1時間前からのスマートフォン、PC、テレビの使用を控える: ブルーライトは脳を覚醒させてしまいます。
    寝る前はリラックスできる読書(紙媒体)、音楽鑑賞、軽いストレッチなどに切り替えましょう。
  • 就寝直前の食事や激しい運動を避ける: 食事は消化にエネルギーを使うため、寝る直前の食事は胃腸に負担をかけ、睡眠を妨げます。
    夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想です。
    運動は睡眠にとって良い効果がありますが、就寝直前の激しい運動は体温を上げ、脳を覚醒させてしまうため避けましょう。
    軽いストレッチやヨガなどはリラックス効果がありおすすめです。
  • 就寝前の熱すぎるお風呂を避ける: 熱すぎるお湯は体を興奮させてしまいます。
    就寝1~2時間前に、38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる方が、体温が一度上がってから下がるタイミングで眠気を感じやすくなり、リラックス効果も得られます。

適度な運動を取り入れる

日中の適度な運動は、夜間の睡眠を深くする効果があります。

  • タイミング: 運動は、夕方から就寝3時間前くらいまでに行うのが理想的です。
    就寝直前の激しい運動は避けましょう。
  • 種類: ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動が特に効果的です。
    毎日続けられる、無理のない範囲の運動を取り入れましょう。
  • 強度: 息切れするほどきつい運動でなくても構いません。
    少し息が弾む程度の軽い運動でも、継続することで睡眠の質改善につながります。
  • 習慣化: 運動は短期間で劇的な効果が出るものではありません。
    毎日の習慣として、楽しんで続けられる方法を見つけることが大切です。

日中の過ごし方を工夫する

日中の過ごし方も、夜の睡眠に影響を与えます。

  • 昼寝は短時間・午後の早い時間に: 長時間や夕方遅くの昼寝は、夜の睡眠を妨げる可能性があります。
    昼寝をする場合は、午後3時より前に、20~30分程度の短い仮眠にとどめましょう。
  • 日中にしっかりと光を浴びる: 前述の通り、朝に光を浴びることは体内時計のリセットに重要ですが、日中も積極的に外に出て太陽の光を浴びることで、体内時計を整え、夜に自然な眠気を生じやすくする効果があります。
  • 活動と休息のバランス: 日中に適度に体を動かし、脳を使うことは、夜の質の高い睡眠につながります。
    しかし、過労はかえって不眠を引き起こすこともあります。
    活動と休息のバランスを大切にしましょう。
  • 眠くならないようにする工夫: 日中に強い眠気を感じると、つい居眠りしてしまいますが、それが夜の中途覚醒につながることもあります。
    眠気を感じたら、軽い運動をしたり、顔を洗ったり、換気をしたりして、眠気を覚ます工夫をしましょう。
    どうしても我慢できない場合は、前述の通り、短時間で午後の早い時間に仮眠を取るようにします。

中途覚醒を気にしない考え方

夜中に目が覚めた時に、「また眠れない」「どうしよう」と焦ったり不安になったりすることは、脳を覚醒させてしまい、さらに眠りから遠ざけてしまいます。
このような思考パターンを変えることも、中途覚醒の改善には重要です。

  • 目が覚めても焦らない: 「目が覚めるのは自然なことだ」と受け止めましょう。
    すぐに眠りにつけなくても自分を責めないことが大切です。
  • 「眠らなければならない」というプレッシャーを手放す: 「眠り」はコントロールしようとすればするほど遠ざかるものです。
    眠ろうと努力するのではなく、「リラックスしよう」と考える方が効果的な場合があります。
  • 眠れない時は一度寝床から出る: 眠れないまま寝床にいると、「寝床=眠れない場所」というネガティブな関連付けが生まれてしまいます。
    20~30分経っても眠れない場合は、一度寝床から出て、リビングなどでリラックスできること(静かな音楽を聴く、眠気を誘うような本を読むなど、ただしスマホや明るい光は避ける)をします。
    眠気を感じてから再び寝床に戻りましょう。
    これを繰り返すことで、「寝床=眠る場所」という関連付けを強めることができます。
  • 睡眠日誌をつける: 自分の睡眠パターンを客観的に記録することで、「意外と眠れているかもしれない」「目が覚めるのは特定の時間帯だけだ」など、客観的に把握することができます。
    これにより、睡眠に対する過度な不安が軽減されることがあります。
    また、原因を探るヒントにもなります。

これらの自分でできる対策(睡眠衛生)は、すぐに劇的な効果が現れるものではありません。
しかし、継続して行うことで、徐々に睡眠の質が改善し、中途覚醒が減っていくことが期待できます。
焦らず、ご自身のペースで取り組みましょう。

医療機関での治療法

自分でできる対策を試しても中途覚醒が改善しない場合や、日中の活動に大きな支障が出ている場合は、医療機関に相談することを検討しましょう。
専門家のアドバイスや治療によって、中途覚醒が改善する可能性があります。

受診を検討する目安

以下のような場合は、医療機関への受診を検討することをお勧めします。

  • 自分でできる対策を1ヶ月以上継続しても改善が見られない
  • 中途覚醒によって、日中の眠気、倦怠感、集中力低下、気分の落ち込みなどが顕著で、仕事や学業、日常生活に支障が出ている
  • 夜中に何度も目が覚めるだけでなく、大きないびきをかく、呼吸が止まる、脚に不快な感覚があるなど、他の睡眠障害を疑わせる症状がある
  • 不眠の背景に、うつ病や不安障害などの精神疾患、あるいは身体的な病気が隠れている可能性がある
  • 「眠れないこと」自体に対して、強い不安や恐怖を感じている

受診を検討する際は、精神科、心療内科、または睡眠外来を受診すると良いでしょう。
かかりつけ医に相談して紹介状を書いてもらうことも可能です。

薬物療法(睡眠薬など)

中途覚醒に対する薬物療法では、主に睡眠薬が処方されます。
睡眠薬には様々な種類があり、それぞれ作用時間や作用機序が異なります。
中途覚醒に対しては、夜中に目が覚めても再び眠りにつきやすくするために、比較的効果が長く続くタイプや、夜中に目が覚めた際に頓服として服用できるタイプが選択されることがあります。

睡眠薬の種類 特徴 中途覚醒への対応 注意点
ベンゾジアゼピン系 GABA受容体に作用し、脳の活動を抑制。即効性があり効果が強いものが多い。作用時間によって種類がある。 中間型~長時間作用型が中途覚醒後の再入眠維持に用いられることがある。超短時間作用型を頓服に使うことも。 依存性、耐性、離脱症状のリスク。筋弛緩作用による転倒リスク(特に高齢者)。日中の眠気、ふらつきなどの副作用。慎重な使用が必要。
非ベンゾジアゼピン系 ベンゾジアゼピン系と同様にGABA受容体に作用するが、筋弛緩作用などの副作用が比較的少ないとされる。 作用時間によって様々な種類があり、中途覚醒のタイプや再入眠の状況に合わせて選択される。 ベンゾジアゼピン系よりは少ないが、依存性や耐性、副作用のリスクはゼロではない。健忘(一時的に記憶がなくなる)の報告もある。
メラトニン受容体作動薬 睡眠を促すホルモンであるメラトニンに似た働きをし、体内時計を調整する。自然な眠気を誘う。依存性が少ない。 体内時計の乱れによる中途覚醒に有効な場合がある。効果発現までに時間がかかることがある。再入眠を直接促す効果は弱い。 他の睡眠薬に比べて即効性は低い。効果が出るまで数日~数週間かかることも。日中の眠気や頭痛などの副作用。
オレキシン受容体拮抗薬 覚醒を維持する脳内物質であるオレキシンの働きをブロックし、眠りに入りやすくする。自然な睡眠に近い。依存性が少ない。 眠りに入った後の覚醒を減らす効果が期待できる。 悪夢や奇妙な夢を見やすい、日中の眠気などの副作用。比較的新しい薬であり、長期的なデータは蓄積途中。
抗うつ薬・抗精神病薬 睡眠作用を持つこれらの薬が、不眠症の治療に転用されることがある(非定型抗精神病薬、鎮静作用のある抗うつ薬など)。 特に、不眠の背景にうつ病や不安障害がある場合に、それらの治療と同時に睡眠改善効果も期待して用いられる。 原疾患の治療が主目的であり、副作用も考慮する必要がある。他の睡眠薬との併用や、漫然とした使用は避けるべき。
漢方薬 体質や症状に合わせて処方される。自然な眠りを促し、心身のバランスを整えることを目指す。依存性は少ない。 ストレスや冷え、胃腸の不調など、様々な原因による不眠、中途覚醒に用いられる。 効果発現までに時間がかかることがある。体質に合わないと効果がなかったり、副作用が出たりすることも。専門医や漢方医に相談が必要。

睡眠薬は、医師の適切な診断のもと、用法・用量を守って正しく服用することが非常に重要です。
依存性や副作用を心配される方もいますが、医師の指導に従い、必要に応じて減量・中止していくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
一時的な不眠や、自分でできる対策の効果が出るまでの補助として用いる場合もあれば、基礎疾患の治療と並行して一定期間使用する場合もあります。
自己判断での増量や中止は危険ですので絶対に行わないでください。

非薬物療法(認知行動療法など)

不眠症、特に慢性不眠症に対しては、薬物療法だけでなく、非薬物療法も非常に有効であることがわかっています。
中でも、「認知行動療法(CBT-I: Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)」は、不眠症に対する標準的な治療法として推奨されています。
国立精神・神経医療研究センターの報告では、認知行動療法(CBT-I)は慢性不眠症に対して薬物療法と同等以上の効果を持ち、睡眠効率の改善や再入眠困難の軽減に有効であることが示されています。
米国家庭医学会のガイドラインでも、認知行動療法(特に睡眠衛生指導と刺激制御法)を中心とした非薬物療法が慢性不眠症の管理に推奨されています。

認知行動療法は、不眠に関する誤った考え方や行動を修正し、健康的な睡眠習慣を身につけることを目指す心理療法です。
通常、数週間~数ヶ月かけて、週に1回程度のセッションを行います。
主な要素は以下の通りです。

  • 睡眠衛生教育: 前述の「自分でできる対策」で紹介したような、規則正しい生活リズム、快適な寝室環境、就寝前の過ごし方など、健康的な睡眠習慣に関する正しい知識を学び、実践します。
  • 刺激制御法: 「寝床=眠れない場所」というネガティブな関連付けを解消し、「寝床=眠る場所」という関連付けを強めるための方法です。
    眠気を感じてから寝床に入ること、眠れない時は一度寝床から出て眠気を感じたら戻ることなどを実践します。
  • 睡眠制限法: 寝床で過ごす時間を、実際の睡眠時間に近づけることで、睡眠を凝縮させ、睡眠効率(寝床にいる時間に対する睡眠時間の割合)を高める方法です。
    最初は寝床にいる時間を短く設定し、睡眠が安定してきたら徐々に時間を増やしていきます。
    これは自己判断で行うと体調を崩す可能性もあるため、必ず専門家の指導のもとで行います。
  • 認知再構成法: 不眠に対する否定的な考え方(例:「眠れないと明日が台無しだ」「睡眠薬がないと眠れない」など)を特定し、より現実的で建設的な考え方に変えていく練習をします。
  • リラクセーション法: 筋弛緩法や呼吸法、イメージ法など、心身をリラックスさせるための様々な方法を学び、実践します。
    就寝前や夜中に目が覚めた際に活用することで、不安や緊張を和らげ、眠りに入りやすくする効果が期待できます。

認知行動療法は、薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果が長期間持続するとされており、不眠症の根本的な改善につながる治療法です。
専門の医療機関や、CBT-Iを実施できる心理士などがいる施設で受けることができます。

中途覚醒に関するQ&A

中途覚醒に悩む方がよく抱く疑問にお答えします。

睡眠薬を飲んでも中途覚醒するのはなぜ?

睡眠薬を服用しているにもかかわらず中途覚醒が起こる場合、いくつかの原因が考えられます。

まず、睡眠薬の種類や量、効果時間が合っていない可能性があります。
例えば、中途覚醒が明け方近くに起こる場合、作用時間が短い睡眠薬では効果が持続せず、途中で切れてしまうことがあります。
また、効きすぎる睡眠薬は、睡眠が浅くなったり、逆に覚醒しやすくなったりすることもあります。
医師と相談し、ご自身の睡眠パターンに合わせて薬の種類や量を調整してもらう必要があるかもしれません。

次に、中途覚醒の根本的な原因が睡眠薬で解決できていない可能性があります。
睡眠薬は、脳の覚醒を抑えたり、眠気を誘ったりする対症療法的な側面が強い薬です。
しかし、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、夜間頻尿、痛み、かゆみといった身体的な問題が中途覚醒の原因である場合、それらの原因疾患を治療しない限り、睡眠薬の効果だけでは十分な睡眠が得られないことがあります。

さらに、睡眠薬に頼りすぎることによる精神的な問題も考えられます。
「薬を飲んだのに眠れない」という焦りや不安が、かえって脳を覚醒させてしまう悪循環です。
また、長期間の服用による依存性や耐性が生じている可能性も否定できません。

睡眠薬を服用しても中途覚醒が続く場合は、自己判断せずに必ず処方している医師に相談してください。
医師は、薬の種類や量を再検討したり、他の原因疾患の可能性を調べたり、認知行動療法などの非薬物療法を提案したりすることで、より適切な治療法を見つけてくれるでしょう。

中途覚醒は治る?治った人の例は?

中途覚醒は、原因を特定し、適切な対策や治療を行うことで、十分に改善または完治が期待できる症状です。
多くの人が中途覚醒の悩みから解放されています。

「治った人」の例としては、以下のようなケースが考えられます。

  • 生活習慣を見直して改善した人: 不規則な生活リズムを正し、カフェインやアルコールを控え、寝室環境を整えるといった睡眠衛生を徹底することで、自然な眠りが戻り、夜間の覚醒が減ったというケースは非常に多いです。
    特に、寝る前のスマホをやめたらぐっすり眠れるようになった、といった具体的な行動改善で効果を実感する人もいます。
  • 原因となっている病気を治療して改善した人: 睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP療法など)を開始したら、夜間の覚醒がなくなり、日中の眠気も解消されたという人や、むずむず脚症候群の治療薬を服用したら、不快な症状が消えて朝まで眠れるようになった人などがいます。
    夜間頻尿の原因となっている病気を治療したり、服用中の薬を見直したりすることで改善するケースもあります。
  • ストレスや精神的な問題を解決して改善した人: ストレスの原因から離れたり、カウンセリングや精神療法を受けたりすることで、心の状態が安定し、それに伴って睡眠も改善したという人や、不眠に対する不安やこだわりを認知行動療法で修正することで、自然な眠りを取り戻した人もいます。
  • 睡眠薬を適切に使用して改善した人: 一時的な不眠に対して、医師の指導のもとで短期間睡眠薬を服用し、不眠の悪循環を断ち切ることで、薬なしでも眠れるようになったという人もいます。

重要なのは、原因は一つではないこと、そして自分に合った対策や治療を見つけることです。
諦めずに専門家に相談したり、様々な対策を試したりすることが、改善への道を開きます。

健康な人の睡眠時覚醒時間の平均は?

健康な人でも、睡眠中には短い覚醒が何度か起こっています。
これは生理的なものであり、「瞬間覚醒」と呼ばれます。
通常、この覚醒は数秒から数分程度で、目が覚めたことを意識に残さないまま再び眠りにつくため、本人にとっては「朝までぐっすり眠れた」という感覚になります。

睡眠段階は、深いノンレム睡眠から浅いノンレム睡眠、そしてレム睡眠へと周期的に繰り返されますが、この周期の変わり目や、レム睡眠の終わり、あるいは外部からの小さな刺激(音、光、温度変化など)によって、一時的に覚醒レベルが上がることは自然なことです。

健康な成人の場合、一晩の合計の覚醒時間(目を覚ましている時間の合計)は、通常20分以内と言われています。
年齢が上がると、深い睡眠が減り浅い睡眠が増えるため、瞬間覚醒の頻度や時間が少しずつ増える傾向にあります。
例えば、高齢になると合計覚醒時間が30分を超えることも珍しくありません。

問題となる中途覚醒との違いは、覚醒したことを自覚するかどうか、そして覚醒後に再入眠が困難かどうか、そしてそれが日中の活動に影響を及ぼしているかどうかです。
夜中に目が覚めても、すぐにまた眠りにつける場合や、それが苦痛でなく日中の活動に支障がない場合は、生理的な覚醒の範囲内である可能性が高いと言えます。
しかし、目が覚めて時計を見てしまい、「もうこんな時間だ」「眠れない」と焦りを感じ、再入眠に時間がかかるようであれば、それは中途覚醒として対策を考える必要があります。

まとめ:中途覚醒の改善に向けて

夜中に何度も目が覚める中途覚醒は、多くの方が悩むつらい症状です。
その原因は、不規則な生活習慣やストレス、寝室環境、あるいは身体の病気や服用している薬など、様々な要因が複雑に絡み合っていることが多いです。

中途覚醒の改善には、まずご自身の睡眠パターンや日中の過ごし方、体の状態などを振り返り、原因を探ることが第一歩となります。
そして、規則正しい生活リズム、快適な寝室環境作り、就寝前のNG行動を避ける、適度な運動を取り入れるといった「睡眠衛生」を実践することが、ご自身でできる重要な対策です。
夜中に目が覚めても焦らず、リラックスを心がけることも大切です。

自分でできる対策を試しても改善が見られない場合や、日中の活動に大きな支障が出ている場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
精神科、心療内科、睡眠外来などで、専門医による診断や、睡眠薬を用いた薬物療法、あるいは不眠症に対する有効な非薬物療法である認知行動療法(CBT-I)など、ご自身に合った治療法を提案してもらうことができます。
国立精神・神経医療研究センターや米国家庭医学会などの専門機関も、認知行動療法を中心とした非薬物療法の有効性を示しています。

中途覚醒は、原因を特定し、適切な対策や治療を行えば、十分に改善が期待できる症状です。
「体質だから」「もう年だから」と諦めずに、質の高い睡眠を取り戻すために、ぜひ積極的に行動してみてください。
健やかな睡眠は、日中の活動を充実させ、心身の健康を維持するために欠かせません。

【免責事項】
本記事は、睡眠障害 中途覚醒に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスを提供するものではありません。
個別の症状については、必ず医師の診断を受け、その指導に従ってください。
本記事の情報を利用されたことで生じたいかなる不利益や損害についても、当方では一切の責任を負いかねます。

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