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むちゃ食い障害はうつ病を合併する場合もある?



むちゃ食い障害とは?
「むちゃ食い障害」とは「過食性障害」「神経性過食症」と呼ばれることもあり、摂食障害の中の一種とされているものです。
明らかに食べ過ぎてしまう症状が現れ、自分自身で自覚しているにも関わらず、コントロールをすることができません。
食べた後には後悔はするのですが、吐き出したり、下剤を乱用したりするような行動が見られないことが特徴です。
- 摂食障害の一つとして注目されている「むちゃ食い障害」
むちゃ食い障害は、4つ目の新たな摂食障害として注目されている障害です。
摂食障害は、大きく拒食症と過食症に分類されますが、「極端なやせ願望」や「肥満恐怖」が共通しており、拒食症から過食症に移行するケースも少なくありません。
また食べ物を噛み砕くだけで飲み込まず、袋などに出すといった「特定不能の摂食障害(チューイング)」に分類される症状もあります。
むちゃ食い障害については、過食症にみられるような、摂取した食べ物を吐き出すような行動や下剤を乱用するような行為は見られません。
むちゃ食い障害の特徴
むちゃ食い障害の特徴として、短い間に大量の食べ物を摂取し、食べ過ぎたあとに自己嫌悪に陥いることで、抑うつ症状に悩まされてしまうといったものがあります。
食べ過ぎを自覚してはいますが自身でコントロールすることはできません。
しかし吐き出したり、下剤を乱用したりするような行為は見られないのが特徴です。
多くの場合は肥満であり、過体重であることがほとんどです。減量プログラムに取り組んでいる人の中には、約3割がむちゃ食い障害であることが分かっています。
肥満や過体重の人ほど、この症状を持っている人の割合が多くなりますが、割合としては女性の3.5%程度、男性の2%程度と考えられています。
海外においては、摂食障害の中でも特にこのむちゃ食い障害が増加していることが知られています。
むちゃ食いをしている本人にも自覚はありますが、自分自身で食べ過ぎをコントロールすることはできません。
食べ過ぎたあとには後悔しますが、吐き出したり、下剤を乱用したりするような行為は見られず、自分の体型や体重に関心はありません。
ただ自己嫌悪から抑うつ症状が強くなり、うつ病を発症させてしまうこともありますので注意が必要です。
ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!
むちゃ食い障害の症状と原因
「むちゃ食い障害」は、明らかに食べ過ぎる症状が現れますが、一般的な過食症のように吐き出すことや下剤を乱用するような行為はありません。
過食を自覚しており、食べた後にはいつも後悔するのですが、自分自身でコントロールすることができないことが特徴です。
食べ過ぎることによって、自己嫌悪や抑うつ症状、罪責感などの苦痛を感じるようになり、生きにくくなってしまいます。
むちゃ食い障害の症状
とても短時間の間に大量の食べ物を摂取することが特徴で、本人の行動によってむちゃ食い障害であると診断されることになります。
食べ過ぎる行為は罪悪感を伴うものですが、自分自身でコントロールすることはできません。 一般的な過食症の場合、根底には「極端なやせ願望」や「肥満恐怖」がありますので、食べ過ぎたあとには吐き出したり、下剤を乱用したりする行為が見られます。
しかしむちゃ食い障害の場合には、体重の増加や自身の体型には関心がありませんので、どんどん体重が増え、肥満や過体重であることがほとんどです。
むちゃ食い障害の原因
むちゃ食い障害は現在のところはっきりとした原因は分かっていませんが、過度なストレスを感じたときに症状を引き起こすものだと考えられています。
原因は多岐にわたり、「文化・社会的要因」「心理的要因」「生物学的要因」と、さまざまな要因が潜在し、絡み合いながら発症しています。
「文化・社会的要因」「心理的要因」については、ほかの摂食障害にもみられる原因であり、「痩せている人が美しい」「太ってしまうと醜くなってしまう」などといった価値観によって症状を引き起こす要因となるものです。
容姿を理由としていじめられたような経験によって、それらの価値観がさらに増大することがありますし、生真面目な性格によって自分が決めたルールを守らないと気が済まないということもあります。
また「生物学的要因」が指摘されることがありますが、これは遺伝によるものや、脳機能の異常などによるものです。
むちゃ食い障害の原因になりうる遺伝子にいくつかあることが分かっていますが、その遺伝子を持っているからといってすべての人が障害を引き起こす訳ではありません。
またむちゃ食い障害を発症するといった、特定の遺伝子については詳しく分かっていません。第10染色体上の領域が関係していると考えられていますが、まだ研究段階となっています。
また近年の研究においては、脳機能の異常によるものであるとしたデータが存在します。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足することによって、本来ならば正常に機能するはずの抑制行動のコントロールができなくなってしまいます。
食べ過ぎた場合、通常であれば抑制ネットワークによって行動を制限することができるのですが、食べ過ぎてもその行動を抑えることができないのです。
むちゃ食い障害の診断と治療方法


むちゃ食い障害の診断は、医師による評価によって行いますが、基本的には本人からの申告によるもので、過食の状態や自制ができない状況などが確認されることになります。
治療は精神療法が中心となりますが、抑うつ症状などが強い場合には抗うつ薬を用いられることもあり、また場合によっては減量薬や食欲抑制薬を用いられることもあります。
むちゃ食い障害の診断
むちゃ食い障害の診断は、次のような症状が現れた場合に、医師によって評価を行います。
- 食べるペースが通常と比べてとても速い
- 食べ過ぎている状態が週1回以上、少なくとも3か月継続している
- 空腹を感じなくても食べ続け、自分で食欲をコントロールできない
- 食べ過ぎた後には自己嫌悪に陥ったり、抑うつ症状がみられたりする
- 食べ過ぎることに恥ずかしさを感じ、1人で食べている
- 食べ過ぎても吐き出したり、下剤を乱用したりすることはない
- 食べ過ぎても過剰な運動をすることはない
むちゃ食い障害の治療方法
むちゃ食い障害と診断された場合には、次のような治療に取り組むことになります。
- 精神療法(認知行動療法・対人関係療法)
- 抗うつ薬(SSRI系)
- 減量薬や食欲抑制薬の検討
精神療法には、認知行動療法・対人関係療法があり、長期的にみて食べ過ぎるといった行動を抑えるためには有効だと考えられています。
自分自身の思考にどのような傾向があるのか理解できるようになり、食べ過ぎる場面において、どのように対処すべきなのか理解できるようになります。
ただし、食べ過ぎる傾向を掴んでいくためのものですから、すぐに行動抑制できるものではなく、また減量に対しては効果がないと考えられています。
そのため抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によって、食べ過ぎる行動を抑制し、体重管理を行っていきます。
また同時にオルリスタットと呼ばれる減量薬やトピラマートと呼ばれる食欲抑制薬が検討されることもあります。
うつ病などの合併症を
引き起こす場合もある


むちゃ食い障害においては、明らかに通常よりもはるかに食べ過ぎてしまい、自己嫌悪に陥るなど苦痛を伴いますから、うつ病などの合併症を引き起こすことがあります。
合併症のうち代表的なものを挙げると次の通りです。
- うつ病
- アルコール依存症
- 生活習慣病
- 胃腸障害
- 肝機能・腎機能障害
このうち、特にうつ病を合併することが少なくありません。
食べ過ぎてしまったあとには、自己嫌悪に陥り、抑うつ症状が強く現れることがあります。
食べている途中は無我夢中で、頭が真っ白になり、自分自身でもコントロールできないのですが、過食後においては罪悪感でいっぱいになってしまうのです。
その状況が続いてしまうことで、うつ病を発症させてしまう原因となってしまいます。
むちゃ食い障害での食べ過ぎが続いてしまうことで、生活意欲が失われてしまい、今まで興味があったことにも関心を示さなくなることがあります。
また、同時に肥満や過体重へと変化していくことによって、活動量が減ってしまい、自宅に引きこもってしまうことが多くなります。
それらの行動がきっかけとなって、うつ病を重症化させてしまうこともあり、うつ病の進行によってさらに食べ過ぎてしまうといった悪循環に陥ることもあります。
食べ過ぎばかりが目立ってしまうために、うつ病に気付くことが遅れてしまうこともあります。
例えば、もともとお酒を飲む習慣がある人であれば、食べ過ぎに加えて、飲みすぎになってしまうこともあり、その場合にはアルコール依存症が合併することもあります。
食べ過ぎてしまう習慣によって、生活習慣病を引き起こすリスクも高くなり、また胃腸に負担をかけることによって、胃腸障害に発展することもあります。
また食べ過ぎが継続することによって、腎機能や肝機能に障害が現れてしまうことも少なくありません。
うつ病かな?と思ったら
うつ病の自己診断をしてみましょう


うつ病を疑うような症状があるのであれば、まずうつ病の自己診断をしてみましょう。
うつ病は軽い間には気付きにくいものの、治療せずに放置していることでどんどん悪化してしまいます。
うつ病は自分自身の心の甘えによるものではありませんし、気の持ちようで良くなるようなものでもありません。
気分の落ち込みがいつもより激しかったり、楽しみを感じられなくなったりしているようであれば、うつ病を疑うようにしてください。
うつ病の自己診断はとても大切です
むちゃ食い障害を発症している人にとって、うつ病の自己診断をしておくことはとても重要です。
冒頭からお伝えしている通り、むちゃ食い障害を発症している人の多くにうつ病を合併させてしまっていることが知られているからです。
食べ過ぎた後には自己嫌悪に陥り、抑うつ症状がひどくなる人が多いのですが、この症状が以前より強く、継続しているのであればうつ病を疑ってみることが大事です。
また、あくまで食べ過ぎによる自分自身の心の甘えや気の持ちようなどと考えて、うつ病だと気付かないことも少なくありません。
うつ病は心の病ではなく、脳内の働きに異常がみられることによって引き起こされるものだと考えられています。
そのため早くうつ病であると気付いて、治療を開始しないと、どんどん悪化させてしまい、治りにくくなってしまうこともあるのです。
まずは自己診断に取り組んでみて、気になる症状がある場合であれば、すぐに精神科や心療内科に受診することが必要です。
ストレスやうつ症状について
ぜひご相談ください!
むちゃ食い障害の症状によって、強いストレスを感じている場合においては、そのストレスがきっかけとなってうつ病を発症させてしまうことがあります。
気になる症状が2週間以上継続している、自己診断によって、うつ病であると考えられるのであれば、うつ病治療専門クリニックである品川メンタルクリニックにご相談ください。
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身体に優しいうつ病・ストレス治療を
品川メンタルクリニックで
品川メンタルクリニックでは、身体に優しいうつ病・ストレス治療を提供しています。
うつ病専門クリニックですので、むちゃ食い障害などの摂食障害の専門治療は行っていません。 しかし、合併症として引き起こされたうつ病は品川メンタルクリニックで治療ができます。
薬に頼らないから身体に優しい「磁気刺激治療(TMS)」について
品川メンタルクリニックでは、薬に頼らないうつ病治療法「磁気刺激治療(TMS)」に取り組んでいます。磁気刺激治療(TMS)は、脳内の働きに異常がみられる部分に対して磁気刺激を与え、脳の働きを活発化させることによって、うつ病の症状を改善させることができます。
うつ病は脳の病気で、脳内の働きが悪くなって、血流が悪くなることが特徴です。
精神科や心療内科で行われる一般的なうつ病治療の場合、抗精神薬や抗うつ薬を用いた、薬に頼った治療が中心となります。
しかし抗精神薬や抗うつ薬は、長く服用するなかで薬の調整を行わねばならず、なかなか効果が現れなかったり、副作用に悩まされてしまうことが少なくはありません。
磁気刺激治療(TMS)は、治療期間が約1ヶ月半~6ヶ月という短期間であり、個人差はありますが比較的早い期間で効果を実感される患者さんもいます。
副作用はほとんど見られませんので安心して治療に取り組めます。
また、成人だけではなく、未成年(12歳以上の中学生から)※、高齢者、妊産婦などへの提供も可能となっている、安心・安全なうつ治療法であるのが大きな特徴です。
※診察は10歳以上から受けられますが、TMS治療が対象かどうかは医師の判断になりますのでご了承ください。
短期間の治療が可能です!
薬に頼らない新たなうつ病治療があります!
脳の血流量でうつ病かどうかが分かる!光トポグラフィー検査について
品川メンタルクリニックでは、脳の血流量でうつ病かどうかが分かる検査機器「光トポグラフィー検査」を導入しています。
光トポグラフィー検査は、うつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・健常をグラフ化された波形データで検査する機器です。
品川メンタルクリニックでは、検査結果をその日のうちにお渡しできますので、うつ病かどうかをすぐに確認することができます。
一般的な精神科や心療内科などのメンタルクリニックにおいては、医師の診断のみでうつ病かどうかを判断することが多く、誤診も少なくはありません。
誤診されてしまった場合には、薬物治療を行っても効果が思うように現れない場合があります。
品川メンタルクリニックのうつ病診断は、光トポグラフィー検査によるグラフデータと医師の問診によって行います。そのため、いち早く適切な治療に取り組むことができるのです。
状態を的確に知ることが大切です!
うつ病かどうかをグラフデータで診断サポート!
品川メンタルクリニックは「磁気刺激治療(TMS)」「光トポグラフィー検査」を専門に行なっているクリニックです。
むちゃ食い障害の傾向があり、うつっぽい症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考:

2009年大分大学医学部卒業。現在、品川メンタルクリニックの梅田院院長。我々の精神科医療の仕事は、殊に患者さんを「ラク」にすること、それは可能な限り、安心を提供することだと思っています。
精神保健指定医
■関連リンク
品川メンタルクリニックでは、うつ病かどうかが分かる「光トポグラフィー検査」や薬を使わない新たなうつ病治療「磁気刺激治療(TMS)」を行っております。
うつ病の状態が悪化する前に、ぜひお気軽にご相談ください。